シニア犬の毛が薄くなる原因は?病気のサインと自宅でできるケア

COLUMN

愛犬がシニア期になり、「なんだか毛が薄くなってきた」と心配になることはありませんか?

シニア犬の毛が薄くなるのは老化による自然な体の変化ですが、急に毛が生えてこなくなったり、大量に毛が抜けている場合は病気のサインかもしれません。

この記事では、シニア犬の毛が薄くなる原因と、注意するべき病気のサイン、そして自宅でできるケアやお手入れの方法を解説します。

シニア犬の毛が薄くなるのはなぜ?主な原因5つ

シニア犬の毛が薄くなるのは、単なる老化だけではなく、病気のサインの可能性があります。

まずは、なぜシニア犬の毛が薄くなるのか、考えられる主な原因を見ていきましょう。

①老化のサイン

シニア犬の毛が薄くなるのは、自然な老化のサインのひとつです。

シニア期に入ると代謝が落ちて細胞の再生スピードがゆっくりになるため、毛の生え変わり(毛周期)のサイクルが遅くなり、新しい毛が生えにくくなったり、なかなか毛が伸びなくなります。

あわせて、毛が細くなる、艶やハリがなくなる、白髪が増えるというのも、シニア犬によく見られる変化です。

ただし、地肌が見えるほど毛が薄くなったり、部分的に抜けている場合は、病気の可能性を疑いましょう。

②ストレス

シニア犬は、若い頃よりも環境の変化や刺激に敏感になります。

たとえば、引っ越し、家族構成の変化、長時間の留守番など、ちょっとした出来事でもシニア犬は心身に負担がかかってしまうのです。

犬は精神的にストレスを感じると、自分の体を舐めて気持ちを落ち着かせようとすることがあり、前足やお腹など舐めやすい部分の毛が抜けて薄くなってしまいます。

また、ケガや病気といった身体的なストレスが原因の場合は、体全体の毛がなんとなく薄くなったり、刈った部分の毛がなかなか生えてこなかったりすることもあるので注意が必要です。

③栄養バランスの乱れ

犬も人間と同じように、毛を作るためには、たんぱく質・亜鉛・ビオチン・オメガ3脂肪酸などの栄養素が欠かせません。

しかし、シニア犬は食欲の低下や消化吸収力が衰えるため、これらの栄養素が不足しやすくなります。

また、偏った食生活が続くと、必要な栄養が不足して毛の成長に影響が出ることもあるので、バランスの良い食事を心がけてあげましょう。

④皮膚トラブルや慢性疾患

アレルギー性皮膚炎やマラセチア感染、細菌性皮膚炎などの皮膚トラブルも、シニア犬の毛が薄くなる原因になります。

もし、シニア犬が体を痒がっている、皮膚に赤みやかゆみ、フケ、臭いなどがある場合は、早めにかかりつけの動物病院で診察を受けましょう。

また、心臓病や腎臓病などの慢性疾患が進行している場合も、体の栄養やエネルギーがそちらに優先されるため、シニア犬の毛の再生を妨げてしまい、毛が薄くなったり、毛が伸びてこない原因となります。

⑤ホルモン疾患(内分泌疾患)の疑い

椅子の下で不安な様子の老犬

シニア期に入ってホルモンバランスが崩れると、その症状として、部分的な脱毛や毛が生えてこなくなることがあります。

ホルモン疾患のなかでも特にシニア犬に多いのが、甲状腺機能低下症と副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)です。

以下のような症状が見られる場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

  • 左右対称に同じ部位が脱毛している
  • 尻尾と顔周り以外の箇所の脱毛している
  • 毛が生えない部分の皮膚が黒ずんでいる
  • 急に毛並みが悪くなった
  • 皮膚が薄くなる
  • 水を飲む量やトイレの回数が増える
  • お腹がぽっこりと膨れている

そのほかに、食欲がない、元気がないなど、明らかな体調の変化がある場合も注意が必要です。

シニア犬にとっては「毛が薄くなる」こと自体が、病気や体調不良のサインになっているケースがあるため、日頃から皮膚や毛の状態をよく観察するようにしましょう。

シニア犬の毛が薄くなったときは?まずは獣医師に相談

このように、シニア犬の毛が薄くなるのは、老化だけでなく病気のサインの可能性があります。

少しでもシニア犬の変化に気づいたときは、早めに動物病院を受診して原因を確かめましょう。

動物病院では次のような点を伝えると、正しく原因を知るヒントになります。

  • いつ頃から毛が薄くなってきたか
  • 体を痒がっているかどうか
  • 生活環境やストレス要因に変化があったか

病気に気がつくきっかけは「なんとなく毛が薄くなってきたな」というちょっとした変化であることも少なくありません。

少しでも心配がある場合は、獣医師に相談・必要な検査をしておくと安心です。

シニア犬の毛が薄くなった時に自宅でできるケアとお手入れの方法

シニア犬の毛が薄くなった理由が分かったら、自宅でできるケアやお手入れをしてあげましょう。

病気が原因の場合は治療が優先ですが、そうでない場合は日々のケアやお手入れによって改善することもあります。

ここでは、自宅で無理なく取り組めるケアやお手入れの方法を紹介しますので、参考にしてみてくださいね。

①生活環境を整える

不衛生な環境によってホコリやダニが増えると、皮膚トラブルの原因になり、シニア犬の毛の成長を妨げてしまいます。

寝床や毛布はこまめに洗濯し、シニア犬の生活環境を清潔に保ってあげるようにしましょう。

また、直射日光が強すぎる場所や乾燥しすぎた環境も、シニア犬の皮膚に負担をかけてしまいます。

冬は湿度を一定に保ち、夏は風通しを良くして、季節ごとに調整してあげると良いでしょう。

さらに、シニア犬は環境ストレスにとても敏感です。

生活リズムを大きく変えない、急な模様替えを避ける、大きな音を減らすなど、落ち着ける環境づくりも心がけましょう。

②食事を見直そう

フードを食べる老犬

シニア犬の毛の健康は、バランスの良い毎日の食事から作られます。

年齢に合ったシニア用フードなどを活用して、たんぱく質・脂肪・ビタミン・ミネラルをバランス良く摂れる食事を心がけてあげましょう。

また、オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)を含むサーモンオイルや亜麻仁油などは、皮膚や毛艶の維持にも効果的です。

ただし、サプリメントを使用する場合は、必ず獣医師に相談しましょう。

③ブラッシング

シニア犬の毛が薄くなってきても、ブラッシングはできるだけ続けてあげましょう。

皮膚をやさしく刺激すると血行が促進されるため、シニア犬の皮膚や毛の健康維持につながります。

また、ブラッシングは毛並みを整えるだけでなく、毛に付着したホコリや汚れを取り除くこともできるので、シニア犬の毛を清潔に保つ効果もあります。

お手入れをするときは、柔らかいブラシを使って力を入れ過ぎないようにしましょう。

もし、ブラッシング中に皮膚の赤み・かさつき・フケなどの異常を見つけた場合は、早めに獣医師へ相談しましょう。

④マッサージで血行促進

マッサージもシニア犬の血行を促進する効果があるのでおすすめです。

やさしく撫でるだけでも皮膚の血流が良くなるため、シニア犬の毛の成長をサポートすることができるのです。

特に、背中・腰・肩まわり・脚の付け根は血流が滞りやすい場所なので、指の腹を使って円を描くように、ゆっくりとマッサージしてあげましょう。

マッサージは体を触る習慣にもなるので、しこり・皮膚の変化・痛みの有無などの早期発見にも役立ちます。

また、マッサージはリラックス効果も高く、ママさん・パパさんとのスキンシップの時間として、シニア犬の安心感を高めることにもつながりますよ。

まとめ|シニア犬の毛が薄くなった時はまず原因を確認しよう

シニア犬の毛が薄くなるのは、老化だけでなく、ホルモン異常や皮膚疾患など病気のサインかもしれません。

「しばらくすれば生えてくるだろう」と放置せず、早めに動物病院を受診するようにしましょう。

また、日頃から生活環境を清潔に保ち、栄養バランスの良い食事選び、ストレスケア、ブラッシングやマッサージといった自宅でできるケアを続けていくことが、シニア犬の毛の健康につながります。

日々の小さな変化に気づき、早めに対処することで、愛犬の健やかなシニア期をサポートしていきましょう。

宮原 優紀

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幼い頃から動物と暮らし、猫をはじめ犬やウサギ、フェレット、ハムスター、インコ、亀など様々なペットを飼育してきた経験を持つ。現在は4匹の猫と暮らしている。 2...

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