シニア犬(老犬)に散歩は必要?距離や頻度、行きたがらないときの対処法

シニアになった愛犬を見ると、「散歩は疲れるかな…」「無理させてないかな…」と心配になりますよね。
シニア犬は若い頃のように元気に歩けなくなることも多く、どうしてあげればいいか迷うでしょう。
しかし、散歩をやめてしまうと、筋力や関節の衰えが進むだけでなく、精神的な刺激も減って認知症やストレスのリスクが高まります。
そこでこの記事では、高齢の愛犬たちと暮らしていた動物介護士の私が、シニア犬に散歩が必要な理由や、適切な距離や頻度について解説します。
散歩に行きたがらないときの対処法もご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
シニア犬に散歩は必要?無理のない範囲で行うことが大切
結論から言ってしまえば、シニア犬にも散歩は必要です。
犬の散歩はストレス解消や気分転換などの役割がありますが、シニア犬ではシニア期ならではのメリットもたくさんあり、健康を保つうえでも欠かせません。
もちろん、無理をさせない範囲で行うことが前提で、歩くことが難しい場合は抱っこや犬用カートを利用しましょう。
どうしてここまでシニア犬に散歩をさせるか?それは、散歩はシニア犬にとっても大切な役割があるからです。
シニア犬にとっての散歩の役割
シニア犬に散歩が必要な理由は大きく分けて3つあります。
- 筋力や関節の維持
…歳をとると筋力が落ち、関節の柔軟性も低下します。無理のない範囲で体を動かすことで、筋力や関節の維持につながります。 - 精神的な刺激・ストレス軽減
…散歩は外の景色や匂い、音に触れることで犬の脳を刺激します。特にシニア犬は室内だけでは刺激が少なく、運動不足からストレスや認知症のリスクが高まることがあります。 - 生活リズムの安定
…散歩の習慣は生活リズムを整えるのにも役立ちます。老犬になると睡眠のタイミングが不安定になりがちですが、日光浴をかねた散歩で体内時計を整えやすくなります。シニア犬が運動不足になるリスク
シニア犬が運動不足になるリスク
シニア犬の運動不足は、肥満や関節炎をはじめとするさまざまな病気のリスクが高くなります。
さらに精神面でも刺激が不足すると、イライラや無気力、問題行動の原因になることも。
適度な散歩は、老化の進行を緩やかにする大切な手段です。
シニア犬の散歩の距離や時間、頻度は?愛犬の状態に合わせて調整しよう
シニア犬は、若い頃と同じように体が動くわけではありません。
体力が落ちて疲れやすくなるだけでなく、回復するにも時間がかかります。
ここでは、散歩の距離や時間の目安、頻度について見ていきましょう。
散歩の距離と時間の目安
シニア犬の散歩は、距離や時間ではなく愛犬の状態に合わせて調整してあげることが大切です。
個体差もありますが、目安としては以下のような時間を基準に考えましょう。
- 小型犬:1回15〜30分程度
- 中型犬:1回30~60分程度
- 大型犬:1回60分前後
呼吸が荒くなったら、無理せず休憩をさせてあげることをおすすめします
ほかにも、途中で立ち止まったり地面に伏せたがるなどの行動は、「もう疲れた」のサインです。
また、坂道や硬いアスファルトは関節への負担が大きいため、できるだけ土や芝生など足に優しい場所を選んであげましょう。
散歩の頻度
シニア犬の散歩の頻度は、1日1〜2回が目安です。
ただ、若い頃のように長く歩かせることは負担となることがあります。
短時間にして回数を増やすなど、無理のないペースで続けることが健康維持につながります。
愛犬の体調や状態に応じて、調整してあげることが大切です。
また、雨の日や暑い日は無理せず、室内での遊びやストレッチなどに切り替えてあげると良いでしょう。
シニア犬が散歩に行きたがらないときの対処法
シニア犬になると、体調や気分によって散歩を嫌がることも珍しくありません。
行きたがらないときに無理に散歩に連れ出したり、無理に歩かせることは大きなストレスとなったり体の負担となってしまうことがあります。
まずはなぜ行きたがらないのかの原因を探り、原因に合わせて対処してあげましょう。
散歩に行きたがらない原因
シニア犬が散歩に行きたがらない理由はいくつかあります。
- 関節や筋肉の痛み
…関節炎や腰痛、足の疲れなどにより歩くことが負担になっている - 気温や天候の影響
…暑さや寒さに弱くなるため、外に出たくなくなっている - 精神的なもの
…外に出ることが怖い、疲れている、ストレスを感じているなどの理由がある
シニア犬は体のさまざまな機能が衰えるだけでなく、心身の不調を抱えやすくなります。
原因を探り、痛みや病気が疑われる場合はまずは獣医師に相談しましょう。
散歩に行きたがらないときの工夫
シニア犬が散歩に行きたがらないときは、愛犬の気持ちに合わせてあげることが大切です。
ただ、必ずしも散歩を嫌がっているとは限らないため、テストをしてみるといいでしょう。
玄関の外まで抱っこで連れて行き、家に入りたがるようであれば室内での軽い運動に切り替え、そのまま歩くようなら短時間の散歩を行います。
シニア犬は意欲低下や気分のムラがあることも珍しくありません。
私の高齢の愛犬もいつも散歩を嫌がっていましたが、一歩外に出ると人(犬)が変わったかのように張り切って散歩をしていましたよ。
シニア犬の散歩で注意すべきこと
シニア犬との散歩では年齢による体力や関節の変化、体調のムラに配慮する必要があります。
シニア犬は若い頃に比べて疲れやすく、無理をさせると体に負担がかかることもあるため、注意が必要です。
愛犬の体調を観察する
散歩中は歩き方や呼吸の荒さ、動きの鈍さなど、愛犬の様子を観察しましょう。
変わった様子が見られた場合はすぐに休ませたり、短時間の散歩に切り替えたりすることが大切です。
また、日々の様子をチェックしておくと、体調の変化に早く気づくことができます。
地面の温度を確認する
散歩に出る前は、手の甲で地面の温度を確認しましょう。アスファルトやコンクリートは夏場は熱くなりやすく、肉球を火傷させてしまう危険があります。
暑い日は熱中症対策もかねて。早朝や夕方など涼しい時間帯に散歩するのがおすすめです。また、芝生や日陰の多い道を選ぶことで、足への負担を軽減できますよ。
一方で、冬場は地面が冷えすぎると、凍傷や関節への負担につながることがあります。
寒い日は日中の暖かい時間に歩かせたり、犬用の靴や靴下を活用したりして、冷え対策をしてあげましょう。
無理に他の犬や人と接触しない
シニア犬は若い頃に比べて体力や気力が低下しているため、ちょっとした刺激でもストレスになることがあります。
ほかの犬が苦手になったり、急に吠えられて驚いたりすることもあるため、無理に交流をさせる必要はありません。
散歩中は周囲の状況をよく観察し、距離を取ったり、道を変えたりして安全を確保しましょう。
特に体調がすぐれない日や気分が乗らない日は、静かな時間帯や人の少ないコースを選ぶのもおすすめです。
まとめ
シニア犬になっても散歩は必要ですが、時間や頻度は愛犬の体力や体調に合わせて無理なく行うことが大切です。
散歩に行きたがらないときは、本当に行きたくないのか、体調が悪いのかなどを見極め、必要に応じて室内の運動に切り替えましょう。
また、自力で歩くことができない犬や長く歩くことが難しい犬では、抱っこや犬用カートで散歩に連れて行ってあげてくださいね。
少しの工夫で、シニア犬でも安全に、楽しく散歩を続けられるでしょう。
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