シニア犬(老犬)にヤギミルクを与えて大丈夫!全脂・脱脂の選び方も解説
愛犬がシニア犬になり、栄養をしっかり摂らせてあげたいと若い頃よりも考えるようになりますよね。
そんなときに、SNSなどでヤギミルクを与えているママさんパパさんを見かけて、シニア犬にヤギミルクを与えても大丈夫なのか気になっているのではないでしょうか。
また、「ヤギミルクの全脂と脱脂はどっちがいい?」「持病があっても大丈夫?」など、年齢を重ねた犬だからこそ、不安になる点も多いですね。
この記事では、高齢の愛犬たちと暮らしていた動物介護士や犬の管理栄養士の私が、シニア犬にヤギミルクを与えていい理由や給与量、注意点について解説します。
全脂や脱脂の選び方についてもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
シニア犬にヤギミルクを与えて大丈夫?与え方と量を守れば問題ない!

結論から言うと、ヤギミルクは与え方と量を守れば、シニア犬に与えても問題ありません。
ヤギミルクはヤギの乳ですが、牛の乳=牛乳よりも犬の母乳に近い性質を持つと考えられており、取り入れやすいという特徴があります。
そのため、シニア犬の体への負担が少なく、取り入れやすい食品なのです。
シニア犬だからこそヤギミルクが向いている理由5つ

シニア犬になると、消化力や食欲、水分摂取量などに少しずつ変化が出てきます。
ヤギミルクは、そうした年齢による変化を考えたときにも、取り入れやすい特徴を持っている食品です。
ここでは、シニア犬にヤギミルクを与えやすい5つの理由を見ていきましょう。
- 消化に配慮しやすい
- 水分補給をサポートしやすい
- 栄養を少量で補いやすい
- 食事への興味を引き出しやすい
- アレルギーが出にくい
①消化に配慮しやすい

ヤギミルクは、脂肪の粒が牛乳の1/6と小さく、タンパク質も胃の中で固まりにくいという性質があるため、消化吸収しやすいというメリットがあります。
シニア犬では、加齢によって胃や腸の働きが弱くなったり、消化酵素の分泌が減るため消化に負担がかかりやすくなりますが、消化に配慮されているので取り入れやすいでしょう。
また、量や濃さを調整しやすいため、その日の体調に合わせて取り入れやすい点も嬉しいポイントです。
②水分補給をサポートしやすい

ヤギミルクは香りや風味が強く、好む犬も多いため、水分補給をサポートしやすいでしょう。
水の色が変わらない程度のほんの少量でも香りや風味が感じられるので、あまり水を飲まないシニア犬にもおすすめです。
特にシニア犬は感覚の衰えでのどの渇きを感じにくくなったり、活動量の低下から水を飲む回数そのものが減ったりするため、水分が不足していることも少なくありません。
【シニア犬の水分不足のリスク】
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ヤギミルクを補助的に取り入れることで、無理のない形で水分摂取をサポートできるでしょう。
③栄養を少量で補いやすい

ヤギミルクは、タンパク質や脂質、ミネラル、タウリンなどを含んでおり、少量で栄養を補いやすいという特徴もあります。
| 成分名 | ヤギミルク(※100gあたり/液体) |
| エネルギー | 57kcal |
| たんぱく質 | 3.1g |
| 脂質 | 3.6g |
| カルシウム | 120mg |
| リン | 90mg |
| 鉄 | 0.1mg |
| 亜鉛 | 0.3mg |
| ビタミンA | 36μg |
| ビタミンB2 | 0.14mg |
もちろん主食にすることはできませんが、上記以外にもさまざまな栄養素を含んでいるため、効率よく栄養を補うことに役立ちます。
ヤギミルクは、食欲が落ちてあまり食べられないシニア犬や一度にたくさん食べられないシニア犬でも、無理なく栄養をプラスしやすいでしょう。
④食事への興味を引き出しやすい

ヤギミルクは香りや風味が強めなので、食欲が落ち気味なシニア犬でも食べるきっかけになりやすいと言えます。
シニア犬では、体調不良でなくても、嗅覚や代謝の衰え、嗜好の変化、気分のムラなどで食事への興味が薄れることも珍しくありません。
そんなときに、いつものフードに少量をふりかけてあげたり、ヤギミルクでふやかすことで、「食べてみよう」という気持ちを引き出しやすくなります。
⑤牛乳に比べてアレルギーが出にくい

ヤギミルクは、牛乳に比べてアレルギーの原因になりにくいと考えられています。
牛乳アレルギーの主な原因は、たんぱく質(カゼインやホエイ)に対する反応ですが、ヤギミルクは、牛乳とはたんぱく質の構造が異なります。
そのため、乳製品にアレルギーがある場合でも、問題なく食べられる・飲めるということも少なくありません。
シニア犬のヤギミルクは全脂タイプと脱脂タイプどちらがいいの?目的で選ぼう

ヤギミルクには、脂肪分を含んだ全脂タイプと、脂肪分を取り除いた脱脂タイプがあります。
どちらもヤギミルクであることに変わりはありませんが、脂肪分の量やカロリー、栄養バランスなどが異なります。
そのため、シニア犬の場合は体調や体型、与えたい目的に合わせて使い分けることが大切です。
以下に、全脂タイプと脱脂タイプの違いを比較してみたので、選ぶときの参考にしてください。
※横にスクロールしてご覧いただけます
| 比較項目 | 全脂タイプ | 脱脂タイプ |
| 脂肪分 | 多い | 少ない |
| カロリー | 高め | 低め |
| コク・風味 | 濃厚 | あっさり |
| 消化の負担 | 体質によっては やや重い場合あり |
比較的軽め |
| タンパク質・ミネラルの割合 | 比率は控えめ | 比率は高くなりやすい |
| リンの割合 | 低め | 高くなりやすい |
| 向いている目的 | ・エネルギーを効率よく補いたい ・食欲が落ちているときのサポート ・少量でも満足感を出したい ・体重減少を防ぎたい |
・カロリーや脂質を抑えたい ・日常的に少量ずつ取り入れたい ・水分補給や栄養補助を軽めに行いたい ・体調管理を優先したい |
| 向いているシニア犬 | ・痩せ気味 ・体重が落ちやすい ・食事量が減っている |
・ダイエット中 ・太りやすい ・内臓負担が気になる |
成分量や栄養バランスは商品によって異なるため、実際には成分表示も確認したうえで選ぶことが大切です。
シニア犬に与えるヤギミルクの給与量目安

ヤギミルクの給与量は、製品ごとに異なるため、パッケージに記載された量を目安にしましょう。
ただ、給与量は成犬を目安に設定されていることが多いので、その量よりも少なめにしてあげることをおすすめします。
シニア犬にヤギミルクを与えるときの注意点

ヤギミルクは、シニア犬にもおすすめの食品ですが、与えるときには注意してあげたいこともあります。
ここでは、シニア犬にヤギミルクを与えるときの注意点を見ていきましょう。
食物アレルギーに注意する

ヤギミルクは、牛乳に比べてアレルギーが起こりにくいですが、まったくアレルギーが起きないというわけではありません。
初めて与えるときは少量から与え、飲んだ後に以下のような症状がないか様子を見てあげましょう。
- 皮膚の赤みや痒み
- 目の周りや口の周り、耳を痒がる
- 足先を執拗に舐めたりかじっている
- 下痢や軟便
- 嘔吐
これらの症状は、30分~48時間くらいの間に見られます。
症状が見られたときは無理に与えず、獣医師に相談しましょう。
カロリーと与えすぎに注意する

ヤギミルクは栄養価が高いため、与えすぎると肥満の原因になったり、お腹の不調に繋がることがあります。
特にシニア犬は基礎代謝や運動量の低下から、太りやすい傾向にあるため、与えすぎないようにしましょう。
持病がある犬は獣医師に確認する

すでに腎臓病か肝臓病などの持病があるシニア犬は、与える前に獣医師に与えてもいいか確認しましょう。
状態によって与えてもいい場合と、与えてないほうがいい場合があります。
自己判断せずに、かかりつけの獣医師に相談したほうが安心です。
シニア犬にヤギミルクを与えるときによくあるQ&A

ここでは、シニア犬にヤギミルクを与えるときによくある疑問を解説します。
Q1.粉末タイプと液体タイプはどっちを選んだらいい?
A.使用頻度が低い場合や少量ずつ与えたい場合は粉末タイプ、手軽さを重視する場合は液体タイプを選ぶとよいでしょう。
ヤギミルクはどちらを選んでも問題ありませんが、扱いやすいのは粉末タイプです。
粉末タイプは保存期間が長く、必要な分だけ使えるため、シニア犬には量を調整しやすいというメリットがあります。
一方、液体タイプはそのまま使えて手軽ですが、開封後は劣化しやすいため管理が必要です。
Q2.原産国にこだわった方が良い?
A.原産地によって味や成分、安全性に違いがあるというデータはないため、特にこだわる必要はありません。
原材料の表示や、無添加かどうか、どのような工程で加工されているかが確認できる製品を選ぶと安心です。
Q3.ダイエット中にヤギミルクを与えてもいい?
A.カロリーを抑えやすい脱脂タイプなら与えやすいでしょう。
ただし、脂肪分が少なくなっている分、タンパク質やミネラル類の割合が増えます。
持病がある場合では脱脂が向いていないこともあるため、注意しましょう。
Q4.水代わりにしてもいい?
A.水の代わりとして常に与えることはおすすめできません。
水分補給のきっかけとして少量使うことは問題ありませんが、基本の水分補給は水で行うことが大切です。
まとめ

ヤギミルクは、与え方や量に気をつければ、シニア犬にも取り入れやすい食品です。
消化に配慮しやすく、水分や栄養を補いやすい点は、シニア犬にとってうれしい特徴と言えるでしょう。
一方で、どんな犬にも無条件に合うわけではありません。
全脂タイプと脱脂タイプの違いを理解し、体調や体重、与えたい目的に合わせて選ぶことが大切です。
愛犬の状態を見ながら、上手に活用してあげてくださいね。
<参考文献>


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