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シニア犬(老犬)に卵を与えても大丈夫!与え方や注意点を専門家が解説

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愛犬がシニア犬になると、食事について悩むことが増えてきますよね。

食べる量が減ったり、好き嫌いがはっきりしてきたり、栄養が足りているか不安になることも多いのではないでしょうか。

そんなときに、卵を与えてみようかと考えるのは自然なことですが、シニア犬に与えても大丈夫なのか気になりますね。

卵は栄養価が高く、適量であればシニア犬に与えても問題ありません。むしろ、シニア犬によっては積極的に取り入れてあげたい食品です。

そこでこの記事では、高齢の愛犬たちと暮らしていた動物介護士や犬の管理栄養士の私が、シニア犬に卵を与えるメリットや注意点について解説します。

シニア犬に卵を与えても大丈夫!卵は良質なタンパク質

結論から言うと、適量であればシニア犬が卵を食べても大丈夫です。

卵は、ビタミンCと食物繊維以外の栄養素がすべて含まれており、完全栄養食とも呼ばれることがある優れた食品です。

もちろん、卵だけで犬に必要は栄養がすべてとれるわけではありませんが、上手に活用することでシニア犬の健康を保つことに役立つでしょう。

【卵の主な栄養素】

成分 鶏卵・全卵・ゆで
(100gあたり)
主な働き
エネルギー 134kcal 生命維持や身体活動の原動力
たんぱく質 12.5g 筋肉や内臓、皮膚・被毛など、体を構成する重要な栄養素
脂質 10.4g 効率よいエネルギー源。生命維持に不可欠な多様な役割を担う
灰分(ミネラル) 1g 身体の構成・調整に欠かすことのできない栄養素
ビタミンA 170㎍ 皮膚や粘膜、目、骨の健康を維持する栄養素
ビタミンK 11㎍ 血液凝固に大きく関与する。丈夫な骨づくりにも不可欠な栄養素
ビタミンB2 0.32mg 代謝酵素のサポートや膚や粘膜の機能を正常に保つための栄養素

卵は必須アミノ酸をバランスよく含む、「アミノ酸スコア100」の良質なタンパク質です。

消化吸収に優れているだけでなく、体内で無駄なく利用されやすいという特徴があるため、シニア犬にも取り入れやすい食品と言えます。

シニア犬だからこそ知っておきたい卵のメリット3つ

卵は、上手に活用することで以下のようなメリットがあり、シニア犬の健康維持に役立つ食品です。

①栄養価が高く少量で栄養補給しやすい
②嗜好性が高く食べるきっかけを作りやすい
③調理法を変えられて愛犬の状態に合わせやすい

ここでは、シニア犬だからこそのメリットを詳しく見ていきましょう。

①栄養価が高く少量で栄養補給しやすい

卵は、良質なタンパク質やビタミン、ミネラルが含まれており、少量でも栄養を補いやすいというメリットがあります。

シニア犬では、食事量が減り、一度にたくさん食べられなくなったりすることも珍しくありません。

そんなとき、卵を少しプラスすることで、無理なく栄養を補ってあげることができます

②嗜好性が高く食べるきっかけを作りやすい

卵は動物性タンパク質と脂質をバランスよく含み、加熱すると香りが立ちやすいため、嗅覚の鋭い犬にとって嗜好性が高い食品です。

犬は嗅覚に強く依存する動物なので、加齢によって視力や聴力が低下しても嗅覚はその影響を受けにくく、シニア期でも保たれやすいと考えられています。

そのため、卵の香りでシニア犬の食べるきっかけを引き出しやすいでしょう。

③調理法を変えられて愛犬の状態に合わせやすい

卵は硬さや形状を変えやすいため、シニア犬の食べやすさを調整してあげられるというメリットがあります。

シニア犬になると、噛む力や飲み込む力が低下したり、消化に負担がかかりやすくなります。

卵はいろいろな調理法ができるので、その時々の愛犬の状態に合わせて変化をつけられるのは、嬉しいポイントと言えるでしょう。

シニア犬におすすめの卵の調理法

卵は、加熱しても生の状態とほとんど栄養素が変わらない優秀な食品です。

卵を調理する際は味付けをせず、シンプルに加熱したものを与えましょう。

【シニア犬におすすめの調理方法】

  • ゆで卵
  • 目玉焼き
  • スクランブルエッグ
  • オムレツ
  • 玉子焼き
  • 卵スープ
  • 茶碗蒸し
  • プリン など

卵は、調理方法のバリエーションが豊富なので、愛犬の好みに合わせてあげるといいでしょう。

また、犬が食べても問題のない食材を合わせることも可能です。

なお、卵の殻も犬は食べることができますが、表面についた汚れをしっかりと洗い落とし、茹でたりオーブンで空焼きするなど、必ず加熱してください。

加熱後は、細かく砕いて粉状にしてから、カルシウム補給として少量ずつ与えることをおすすめします。

シニア犬が1日に食べていい卵の量の目安

卵は、栄養価が高くシニア犬に取り入れやすいですが、与えすぎれば肥満や栄養バランスの偏りを招きます。

そのため、おやつやトッピングとして与える場合は1日に必要な摂取カロリーの10%程度(多くても20%以内)にとどめましょう

目安量をまとめてみたので参考にしてください。

体重 1日の目安
※カロリーの10%量
Mサイズの卵の場合
※1個約50g
2kg 約12g 約1/4個
3kg 約17g 約1/3個
4kg 約21g 約2/5個
5kg 約25g 約1/2個
6kg 約28g 約3/5個
7kg 約32g 約2/3個
8kg 約35g 約2/3個強
9kg 約38g 約3/4個
10kg 約41g 約4/5個
15kg 約56g 約1.1個(1個強)
20kg 約69g 約1.4個(1個半弱)

※ゆで卵100gあたりのカロリーは134kcal

上記はあくまでも目安です。

愛犬の体調や便の状態、体型などを見ながら、量を調整してあげましょう。

シニア犬に卵を与えるときの注意点6つ

シニア犬に卵を与えるときは、量だけでなくほかにも気をつけてあげたいことがあります。

①食物アレルギーに注意する
②与え過ぎない
③シニア犬は生卵は避ける
④食べやすいように配慮する
⑤賞味期限に注意する
⑥持病があるシニア犬は獣医師に確認する

ここでは、シニア犬に卵を与えるときの注意点を詳しく知っておきましょう。

①食物アレルギーに注意する

卵は食物アレルギーを起こす原因になることもあります。

とはいえ、どんな食材にもタンパク質は含まれており、野菜や果物であっても食物アレルギーを起こす可能性はあるので、必要以上に怖がる必要はありません。

シニア犬に初めて卵を与えるときは、少量から試して、食べた後48時間は様子を見てあげましょう

その間に以下のような症状が見られる場合は、獣医師に相談することをおすすめします。

  • 皮膚の赤み
  • 目の周りや口の周り、耳を痒がる
  • 足先を執拗に舐めたりかじっている
  • 下痢や軟便、便の回数が増える
  • 嘔吐

シニア犬になると若い頃よりも反応が出やすいことがあるので、注意して観察してあげてくださいね。

②与え過ぎない

卵はカロリーもそれなりにあるため、与え過ぎないようにしましょう。

卵は完全栄養食と呼ばれることもあるほど、栄養価の優れた食品です。しかし、犬が必要な栄養をすべて含んでいるわけではありません

シニア犬の場合はイレギュラーなこともありますが、基本は適量で与えるようにすることが大切です。

③シニア犬は生卵は避ける

基本的に犬は生卵を食べても問題ありませんが、シニア犬は免疫機能がが低下しているため避けた方が安心です。

生卵には、サルモネラ菌などの食中毒菌が付着している可能性もあります。

健康な成犬であれば問題にならないことがほとんどですが、シニア犬では食中毒のリスクが高まるため、加熱してから与えましょう

ちなみに、「卵の白身を生で与えるとビタミンBの吸収を阻害するから与えてはダメ」と見聞きすることもあるかもしれません。

間違いではないですが、それは大量の白身だけを長期にわたって摂取し続けた場合です。

生卵の白身だけを毎日大量に与えるということは現実的ではなく、黄身と一緒であれば特に問題になることはないため、過剰に心配しなくて大丈夫ですよ。

④食べやすいように配慮する

卵はいさまざまな調理法がありますが、どんな調理法であってもシニア犬が食べやすいように配慮してあげましょう。

特にゆで卵などは、丸ごと与えると喉に詰まらせてしまうリスクが高まります。

シニア犬は噛む力も飲み込む力も低下しているのはもちろん、消化機能も低下しているため、細かく刻んだり、薄くスライスしたりと工夫してください。

⑤賞味期限に注意する

卵には、生食できる期限として「賞味期限」が表示されています。賞味期限が切れた卵は、サルモネラ菌が急激に増えるため、必ず加熱してから与えましょう

【サルモネラ菌が死滅する加熱時間の目安】
75℃で1分間以上もしくは65℃で5分間以上

日本は卵を生で食べる文化があり、流通している卵がサルモネラ菌に汚染されている可能性は低いです。

また、万が一汚染されていたとしても、一定期間内は常温でも繁殖することはありません。

しかし、その期間を過ぎるとサルモネラ菌が急激に増えるため、食中毒のリスクを避けるために「賞味期限」が設定されているのです。

シニア犬に生卵を与えることはあまりおすすめできませんが、賞味期限のことを知っておくことは何かと役立つでしょう。

⑥持病があるシニア犬は獣医師に確認する

持病があるシニア犬や健康に不安があるシニア犬は、卵を与えてもいいか獣医師に確認したほうが安心です。

卵はタンパク質やミネラルなど、さまざまな栄養素が豊富に含まれています。

病気やシニア犬の状態によっては栄養素の制限が必要なこともあるため、かかりつけの獣医師に確認しましょう。

まとめ

基本的に、卵は栄養価が高く、シニア犬の栄養補助や食いつきサポートに役立つ食品です。

調理方法のバリエーションも豊富で、愛犬の好みや状態に合わせられるのは大きなメリットと言えるでしょう。

実際、私は高齢の愛犬たちにゆで卵であげたり、水煮のツナ缶を混ぜてオムレツを作ってみたり、目玉焼きにしてみたりといろいろ変えてましたよ!

とはいえ、与え過ぎれば肥満や栄養バランスの偏りの原因になってしまうため、与え過ぎないように注意してあげてくださいね。

<参考文献>

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
日本卵業協会「表示とタマゴの安心」
株式会社東邦微生物病研究所「卵とサルモネラについて」

たかだ なつき(高田菜月)

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4匹の愛犬と暮らすペット専門ライター×ペットの専門家。長年人間の介護に携わっていたが、愛犬の介護をきっかけにペットライターに転身。犬の飼育歴は20年以上。こ...

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