老犬がご飯を食べないのはなぜ?原因と対処法を獣医師が解説
シニア期に入った愛犬が急にドッグフードを食べなくなると不安になりますよね。
そんなとき、
「何日も食べないけど大丈夫?」
「おやつは食べるのにフードは食べないのはなぜ?」
「動物病院を受診した方がいいの?」
といった疑問や不安を感じてはいませんか?
実は、老犬がご飯を食べないときは、重大な病気が隠れていることがあるのをご存じでしょうか?
本記事では、老犬がご飯を食べない原因や考えられる病気、自宅でできる対策、動物病院を受診すべき目安まで、獣医師が分かりやすく解説します。
最後までお読みいただき、愛犬がご飯を食べない理由について理解を深めましょう。
老犬がご飯を食べない主な原因

老犬がご飯を食べない原因として、加齢による変化や体調のトラブルなど、さまざまなものが挙げられます。
加齢による変化としては、
- 嗅覚や味覚、嗜好性の変化
- 消化吸収能力の低下
- 運動量の減少
などが具体的な例です。
また、体調のトラブルとしては、
- お口のトラブル
- 腎臓のトラブル
- 消化管のトラブル
- ホルモンのトラブル
などが代表的な例です。
まずは、老犬がご飯を食べなくなる病気をいくつか見ていきましょう。
老犬がご飯を食べない原因となる病気

では、老犬がご飯を食べない原因として主にどのような病気が考えられるのでしょうか?
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①歯周病

犬の歯周病とは、歯肉が赤く腫れて炎症を起こす「歯肉炎」が進行し、歯を支えている歯周組織が破壊される「歯周炎」にまで進行した状態をいいます。
3歳以上の犬の約80%に歯周病のリスクがあると報告されるほど、発生が多い病気です。
歯周病は重度になると、
- 歯が抜ける
- 頬の皮膚に穴が開く(根尖膿瘍)
- 下顎の骨折が起こる
といった状況に進行することがあり、痛みからご飯を食べなくなります。
歯周病の好発犬種として、
- ミニチュアダックスフンド
- トイプードル
- イタリアングレーハウンド
などが挙げられます。
②慢性腎臓病

腎臓とは、血液をろ過して、尿を作るとともに血液中の老廃物を体外へ排出する臓器です。
体内に左右1つずつあり、一度ダメージを受けると再生しにくい臓器と言われています。
その腎臓の機能がさまざまな原因で低下することを「慢性腎臓病」と呼びます。
慢性腎臓病は、犬の三大死因のひとつと言われるほど、老犬に多く見られる病気です。
私自身、「水はよく飲むのにご飯を食べなくなった」という相談で来院され、検査の結果、慢性腎臓病が見つかるケースを多く経験しています。
慢性腎臓病の初期は、目立った症状が出にくいのが特徴です。
しかし、腎臓の働きが低下すると、老廃物をうまく排出できなくなり、以下のような症状が現れます。
- 水をよく飲む
- 尿の量が増える
- ご飯を食べない
- 食欲が落ちる
- 体重が減る
- 痙攣を起こす
- 歯肉や舌が白っぽくなる
特に「最近やたらと水を飲む」「トイレの回数が増えた」と感じたら、早めに動物病院で血液検査を受けることをおすすめします。
③急性膵炎

膵臓とは、食べ物を消化する「消化酵素」を分泌する臓器で、その膵臓に炎症が起きる病気を「膵炎」といいます。
犬の膵炎の原因はさまざまで、現時点でははっきりとした原因は分かっていません。
しかし、膵臓は主に脂肪の消化を担う臓器なので、脂肪分が高い食べ物を食べた際に起こりやすいと言われています。
特に人の食べ物である、
- 揚げ物
- チョコレート
- 牛乳
- チーズなどの乳製品
などを誤食してしまったり、生肉を多量に食べてしまったりして発症することが多いです。
好発犬種はミニチュアシュナウザー、ヨークシャーテリアなどが挙げられます。
老犬がご飯を食べないと危険な日数
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ここまでは、老犬がご飯を食べなくなる病気について解説しました。
では、一般的に老犬が何日ご飯を食べないと危険と判断されるのでしょうか?
まず、元気や排泄に異常がなく、1日程度食べない場合であれば、大きなトラブルではない場合が多いです。
嗜好性の高いウエットフードやおやつなどで食事を工夫してあげるとよいでしょう。
しかし、2~3日以上老犬がご飯を食べない場合は、その理由に病気が隠れている可能性が高まります。
そのような場合は、早急に動物病院を受診しましょう。
老犬がご飯を食べないときの症状

では、老犬がご飯を食べないときに、それ以外にどのような症状が見られる場合は早めに受診した方がよいのでしょうか?
食欲以外に注意すべき症状として、具体的には、
- 嘔吐をする
- 下痢や血便をする
- 痙攣している
- 立てない
- 血尿をしている
- 呼吸が苦しそう
- 咳をしている
などが挙げられます。
これらの症状が同時に見られる場合は、1日ご飯を食べなかった場合でも、早めに動物病院を受診しましょう。
老犬がおやつは食べるのにご飯を食べない理由

では、老犬がおやつは食べるのにご飯を食べない場合は、どのようなことが考えられるのでしょうか?
実際、「ドッグフードは食べないのに、おやつは食べる」という悩みは、老犬で非常に多く見られます。
考えられる理由は以下の通りです。
①嗜好性の問題

一般的にドライフードよりおやつの方が、匂いが強く嗜好性が高い傾向にあります。
そのため、年齢を重ね頑固になったり嗜好性が変化したりすることで、ドライフードよりおやつを好んで食べるようになることがあります。
②食感の違い

おやつにはさまざまな種類がありますが、なかでも柔らかいおやつを好んで食べる場合があります。
その場合は、老犬が柔らかい食べ物を好むようになったのかもしれません。
また、老犬になると硬いものが食べにくくなることも多いため、柔らかいおやつを好むようになることがあります。
③学習行動

ほかにも、老犬が「ドライフードを食べなければ、そのあとにおやつが出る」と学習している場合があります。
老犬がご飯を食べないと、つい心配になりすぐおやつを与えてしまいますよね。
それが繰り返されることで、ドライフードを食べなくなることがあります。
老犬がご飯を食べないときの対策

では、老犬がご飯を食べない場合は、自宅ではどのような対策ができるのでしょうか?
ご飯を食べない老犬にとって、風味や食事の環境はとても重要です。
具体的には、
- ドライフードをお湯でふやかす
- ウエットフードや缶詰を混ぜる
- ふりかけやトッピングを活用する
- 少量ずつ回数を分けて与える
- スープや流動食を使用する
- 静かで落ち着ける場所を用意する
- 食器の高さを調整する
といった対策が挙げられます。
愛犬の体調や食事の様子をよく観察し、なぜご飯を食べないのかを考えてみましょう。
老犬がご飯を食べないときに受診すべき目安

最後に、老犬がご飯を食べない場合、どのような状況であれば動物病院を受診するべきなのでしょうか?
具体的な受診の目安としては、
- 2日以上まったく食べない
- 水も飲まない
- 嘔吐や下痢など、ほかの症状がある
- 体重が急激に減る
- 自宅での対策を行っても食べない
といったことが挙げられます。
このような場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
まとめ|老犬がご飯を食べないときは早めに受診を

老犬がご飯を食べない場合、加齢による変化が原因であることもありますが、さまざまな病気が隠れていることもあります。
日頃から愛犬の様子を細かくチェックすることで、病気を早期に発見することができます。
私自身、「もう少し様子を見よう」と受診が遅れたことで、病気が進行していた老犬をよく経験しました。
気になる様子が見られる場合は、早めの受診を心がけましょう。
また、老犬がご飯を食べない場合でも、自宅で飼い主様ができることは多くあります。
今回の記事を参考に、愛犬の体調に合ったご飯を考えてあげましょう。
「食べない」という行動は、愛犬からの大切なメッセージです。
愛犬のペースに寄り添いながら、健康な毎日を支えてあげましょう。















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