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シニア犬がトリミングを断られる理由は?対処法と安全なサロンの探し方

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愛犬がシニア期に入り、ある日突然「もう高齢なので、今後はお受けできません」と、トリミングを断られてしまい、ショックを受けていませんか。

「毛が伸び放題になってしまう」「これからどこでケアすればいいの?」と、突然のことに戸惑い、困惑されているママさんパパさんも多いと思います。

しかし、サロン側がシニア犬のトリミングを断るのには、愛犬の命と安全を最優先に考えた、やむを得ない理由があるのです。

この記事では、トリミングサロンで働いた経験のある私が、シニア犬がトリミングを断られる理由や断られたときの対処法などを解説します

シニア犬がトリミングを断られる4つの理由

シニア犬のトリミングは、若い頃と比較すると多くのリスクを伴います。

サロン側が「断る」と判断するのは、それだけ愛犬の安全確保が難しいからです。

ここでは、サロン側がシニア犬のトリミングを断る主な理由を4つ紹介します。

①体力的に長時間の施術が難しい

トリミングを断られる理由の一つが、体力の低下です。

シャンプーからカットまで立ちっぱなしの姿勢は、筋力が低下したシニア犬にとって大きな負担となります

また、自宅ではない場所で拘束されながらトリミングを受けることは、精神的にも体力的にも疲れやすい状態といえます。

②心臓病や関節疾患などの持病によるリスクが高い

シニア犬は、ママさんパパさんが気づかないうちに、心臓病や呼吸器系の疾患などを抱えていることが少なくありません。

トリミングのストレスが引き金となり、呼吸困難や発作などを引き起こし、命に関わる事態が発生するリスクも考えられます。

万が一、施術中に愛犬が倒れても、サロン側は応急処置しかできずにその場で命を救うことができません。

サロン側はこうした最悪の事態を避けるため、持病がある、あるいは持病のリスクが高いシニア犬の受け入れに慎重にならざるを得ないのです。

③皮膚が薄くケガをする可能性が高い

トイプードルのイボ

シニア犬の皮膚は、人間の高齢者と同じように水分量が減り薄くなります。

また、加齢とともにイボ(良性・悪性の腫瘍)ができやすいのも特徴です。

薄くたるんだ皮膚は、バリカンの刃を巻き込み切ってしまう恐れがあります。

さらに、イボは気づかずバリカンやハサミを当ててしまい、大きなケガにつながるケースも少なくありません。

トリマーがどれほど細心の注意を払っていても、シニア犬特有の皮膚の状態は、若い犬に比べて怪我をさせやすいといえます。

シニア犬のイボは放置NG!良性・悪性の種類と受診の目安を解説

④パニックや興奮によるサロン側のケガのリスクが高い

年齢により目や耳が不自由になったり、認知症の症状が出始めたりすると、犬は状況が理解できずに強い不安からパニックを起こすことがあります。

ドライヤーの音や急に体に触れられることに驚き、パニックになって暴れたり、トリマーに噛みついたりなどする場合があります。

また、ハサミやバリカンといった刃物を持っている最中に犬が暴れると、犬自身が刃物で怪我をする危険性もあるでしょう。

愛犬の安全とトリマーの安全の両方を守るために、パニックや攻撃性が見られる場合は、施術を断らざるを得ないのです。

シニア犬がトリミングを断られる年齢の目安とは?

結論から言うと、「〇歳以上は一律不可」といった明確な年齢制限を設けていないサロンがほとんどです。

なぜなら、10歳でも元気に走り回る犬もいれば、7歳でも重い持病を抱えてリスクが高い犬もいるからです。

多くのサロンでは、「年齢」そのものよりも「その子の当日の健康状態」を最優先に判断します

とはいえ、サロン側のリスク管理として一定の目安を設けている場合もあります。

たとえば、体力や持病のリスクが顕著になる「10歳」を一つの目安として、新規の受け入れを停止したり、持病の有無を確認したりするサロンは多いようです。

「何歳まで」という基準はサロンの方針によって大きく異なります。

年齢で諦める前に、「今の健康状態」を正確に把握し、トリミングサロンに相談してみてください。

シニア犬がトリミングを断られたときの4つの対処法

行きつけのサロンに断られてしまっても、愛犬のケアを諦める必要はありません。

ここからは、トリミングを断られた際の具体的な4つの対処法を紹介します。

①動物病院併設のサロンを探す

持病がある、体力の低下が著しいといった理由でトリミングを断られた場合、動物病院併設のトリミングサロンであれば施術できる可能性があります。

動物病院であれば、獣医師が常に常駐しているため、以下のようなメリットがあります。

  • 施術前に獣医師が健康状態をチェックできる
  • 持病(心臓病など)に配慮した施術が可能
  • 万が一、施術中に体調が急変しても、すぐに医療処置が受けられる

まずは、かかりつけの獣医師に「トリミングを断られてしまった」と相談し、院内で施術が可能か、あるいは対応可能な別の病院を紹介してもらえないかを確認してみましょう

②シニア犬の受け入れ実績があるサロンを探す

近年のシニア犬の増加に伴い、経験豊富なトリマーが対応してくれる専門的なサロンも増えています。

一般的なサロンとの違いは、シニア犬の扱いに慣れたトリマーが、安全と健康維持を最優先に施術してくれる点です。

こうしたサロンは、次の「シニア犬を安心して任せられるトリミングサロンの選び方」で解説するポイントを参考に、インターネットや口コミで探してみましょう。

③出張型トリミングサービスを検討する

「サロンへの行き帰りの移動だけでも、愛犬の負担が大きい」という場合には、出張トリミングサービスがおすすめです。

出張トリミングサービスは、トリマーが専用のトリミングカー(車)で自宅まで来てくれるか、あるいは自宅の浴室などを借りて施術してくれるサービスです。

愛犬が慣れた自宅で施術を受けられるため、ストレスが少なく、ママさんパパさんがそばで見守れるのがメリットです。

ただし、トリミング費用に出張費が加算されるため、料金は割高になる傾向があります。

愛犬に少しでもストレスなくトリミングを受けさせたい場合は、ぜひ検討してみてください。

④自宅でのセルフトリミングに切り替える

動物病院や出張サービスも難しい場合、「衛生維持(部分ケア)」を目的としたセルフトリミングに切り替えるのも1つの方法です。

セルフトリミングでは、全身をカットするのではなく、以下のような最低限の衛生を保つための部分的なケアを行います

  • 毛玉を防ぐための毎日のブラッシング
  • 足裏の毛・肛門周りの毛をバリカンでカット
  • 爪切り、耳掃除
  • ドライシャンプーで体を拭く

ママさんパパさんがすべてを行うのが難しい場合は、たとえば「カットは病院で、シャンプーと爪切りは自宅で」など、ケアを分担すると無理なく続けられます。

シニア犬の皮膚トラブルは“衛生ケア”で防げる!今日からできる清潔習慣ガイド

シニア犬を安心して任せられるトリミングサロンの選び方

シニア犬の受け入れができるサロンを探す場合、なにを基準に選べばよいかわからないというママさんパパさんもいるのではないでしょうか。

ここでは、シニア犬を任せられるサロンを選ぶポイントを3つ紹介します。

シニア犬の受け入れ実績や年齢制限の有無を確認する

まず、電話やホームページで、以下のポイントを確認しましょう。

  • 「シニア犬OK」「老犬歓迎」と明記されているか
  • 年齢制限(例:10歳まで)があるか、それとも年齢不問で「健康状態による」としているか
  • 愛犬と同じ犬種のシニア犬の施術実績が豊富か

ホームページのブログやSNSで実際に施術したシニア犬の様子を紹介しているサロンは、経験が豊富である可能性が高く、信頼できる一つの目安となるでしょう。

カウンセリングや体調チェックを丁寧に行うサロンを選ぶ

一般的に、トリミングサロンでは犬を預ける際に、カウンセリングや体調チェックを行います。

シニア犬は日によって体調に波があることが多く、トリミング前の健康チェックは欠かせません。

こちらの話を聞き、様子を観察した上で愛犬に合わせたプランを提案してくれるサロンは、安心して任せやすいでしょう。

緊急時の対応体制を確認する

獣医師に抱かれる犬

シニア犬のトリミングに絶対安全はありません。

どれだけ注意していても、体調が急変するリスクはあります。

大切なのは、万が一の緊急時にどのような対応を準備しているかです。

たとえば、施術中に体調不良の兆候が見られた場合の対応方法や、近隣に動物病院があるかなどは確認しておきたいポイントです。

「大丈夫ですよ」と曖昧に答えるのではなく、「当店では、万が一の場合はこのように対応します」と明確なルールを説明してくれるサロンを選びましょう。

まとめ|シニア犬がトリミングを断られたら、負担の少ないケア方法を見つけましょう

シニア犬のトリミングを断られると、ママさんパパさんはショックを受け、「見捨てられた」と不安に思うかもしれません。

しかし、それは愛犬の命と安全を最優先に考えた、サロン側の苦渋の判断であることがほとんどです。

動物病院でのトリミングやシニア犬専門サロン、出張トリミングなど、今の愛犬の体力や体調に合った負担の少ないケアの方法は必ずあります。

愛犬の衛生と健康を守るために、かかりつけの獣医師とも相談しながら、最適な選択肢を見つけていきましょう。

さかもとはるか

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元犬の訓練士・ペットライター 犬のしつけ・ケア・グッズ紹介などを中心に、現場経験を活かした記事制作が得意。 愛犬・愛猫・デグーたちと暮らし、ペットとの暮らし...

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