老犬の生理はいつまで?長いと感じた際のチェック項目&子宮蓄膿症の危険性
「うちの子、もう13歳なのにまだ生理が来ているけれど、これっていつまで続くの?」
ママさんパパさんも愛犬のトイレシーツを交換しながら、ふとこのような不安を感じたことはありませんか?
高齢になっても出血が続いたり、今までより期間が長かったりすると「もしかして病気ではないか」と心配ですよね。
実は犬の体は人間とは大きく異なり、年齢を重ねたからといって自然に生理が止まることは基本的にありません。
それどころか「ただの生理」だと思って見過ごしていたその出血が、命に関わる病気のサインである可能性も潜んでいるのです。
この記事では、JKC愛犬飼育管理士として学んだ知識と公的な情報を交えながら、老犬の生理にまつわる疑問を解消し、見逃してはいけない危険なサインを解説します。
実は、私の周りの飼い主さんからも「老犬の生理はいつまで続くのだろう」という悩みを耳にします。
特に、情報の違いが命を左右することもあると、私自身も愛犬の闘病を通じて痛感し、同時に正しい知識を広く伝えたいと強く思っています。
シニア期の生理とどう向き合うべきか、一緒に確認していきましょう!
老犬の生理はいつまで続く?その答えを解説

高齢犬の飼い主さんが最も知りたい疑問は、「老犬の生理はいつまで続くのか」という点でしょう。
冒頭でもお伝えした通り、犬には人間のような「閉経」の仕組みはなく、避妊手術を受けていないメス犬の生理は原則として生涯続きます。
年齢を重ねるにつれて生理の周期や出血の様子は変わりますが、止まることはありません。
犬に「閉経」はなく生涯にわたり生理は続く

「おばあちゃん犬になれば自然に生理は終わるはず」
このように思われているママさんパパさんは多いのですが、実はこれは間違いです。
犬の卵巣機能は加齢とともに徐々に低下はしますが、完全に停止して排卵がなくなる「閉経」という現象は起こりません。
そのため、10歳を超えても15歳になっても、避妊手術していない限り生理(発情出血)は起こります。
実際、シニア犬と暮らす犬友だちからは「15歳を超えてもヒートが来て『まだ続くの?』と驚いた」という話をよく耳にします。
また、周囲の飼い主さんの中には「もう15歳だから妊娠しないだろう」と油断していたところ、想定外の妊娠をしてしまったという事例もありました。
【老犬の生理における事実】
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年齢だけで判断せず、「避妊手術していない限り生理とはずっと付き合っていくもの」という認識を持ちましょう。
犬の生理の一般的な期間は1〜2週間

※著者作成
愛犬の異常に気づくためには「正常な範囲」を知っておく必要があります。
個体差はありますが、犬の生理(発情出血)が見られる期間は一般的に1週間から2週間程度がほとんどです。
出血が始まってから10日ほどで排卵期(妊娠可能な時期)に入り、その後徐々に出血量が減って終わるのが通常のサイクルです。
若い頃から個体差があり、毎回3週間近く続く子もいれば数日で終わるように見える子もいます。
ここで重要なのは「その子にとってのいつもの期間」と比較することです。
【生理期間の目安】
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もし、今まできっちり10日で終わっていた出血が、今回は老犬の生理としていつまでもダラダラと続いている……。
そのような変化が見られたときは、単なる加齢現象ではなく体の内側で何かが起きているサインかもしれません。
老犬の生理が「長い」と感じた時の変化と原因
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「老犬の生理が長い」と感じるとき、それは本当に正常な生理なのでしょうか?
シニア期には、ホルモンバランスの変化や病気の影響で、出血の周期や期間に異常が出ることがあります。
老犬の生理はいつまで続く?周期が不規則になる理由

シニア期に入ると、若い頃のように「半年に1回きっちり来る」というリズムが崩れることが多くなります。
これは、加齢によって卵巣の機能が少しずつ低下し、女性ホルモンの分泌バランスが変わってくるためです。
【よくある周期の変化】
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下記は、年齢による生理周期の変化イメージです。
| 年齢ステージ | 生理の周期・特徴 | 飼い主さんの印象 |
| 成犬期(1〜6歳) | 約6ヶ月ごとの規則的な周期 | 「また生理の時期が来たな」と予測しやすい |
| シニア期(7歳〜) | 間隔が7〜10ヶ月、あるいは1年以上空くことも | 「あれ?最近来てないかも?」 |
| ハイシニア期 | 不規則、または出血が極端に少ない(ステルス発情) | 「もう終わったのかな?」と誤解しやすい |
このように「老犬の生理はいつまで続くのか」という疑問に対し、周期は乱れながらも機能自体は続いているというのが実態です。
「来ない=閉経」と決めつけず、日々の観察を続けましょう。
老犬の生理が長い場合に注意すべき病気

一方で、単なる老化現象として片付けてはいけないのが「出血期間の延長」です。
もし、愛犬の出血が「いつもより明らかに長い」「1ヶ月以上続いている」と感じる場合、それは正常な生理ではない可能性が高まります。
老犬の生理が長い場合、以下のような病気が隠れているかもしれません。
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老犬の場合、油断すると命の危機に直結します。
多くの獣医学的研究において、「3週間を超える出血は子宮内の異常発生率が跳ね上がる」ことが示されています。
もし、愛犬が普段よりも元気がないのに「老犬の生理は長いもの」と考えて様子を見続けた場合、子宮が破裂するような緊急事態に陥るかもしれません。
ちなみに、生理は通常なら長くても3週間程度で落ち着きます。
「1ヶ月経ってもオムツが外せない」「出血の色がおかしい」と感じたら、様子を見ずに獣医師へ相談しましょう。
老犬の生理が「終わらない」時は要注意!出血に潜む危険性

老犬の生理トラブルの中で最も恐ろしく、緊急性が高いのが「子宮」の病気です。
特に、避妊手術していない高齢のメス犬にとって、命を脅かす最大の敵とも言えるのが「子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)」です。
子宮蓄膿症はメスの老犬に多い疾患

子宮蓄膿症とは、その名の通り「子宮の中に膿(うみ)が溜まってしまう病気」です。
生理が終わった直後は子宮の免疫力が低下し、細菌が入りやすい状態になります。
若い頃は免疫力で菌を退治できていても、老犬になると抵抗力が落ち、細菌感染を起こしやすくなるのです。
この病気の恐ろしい点は、発見が遅れると子宮が破裂したり、全身に細菌が回って多臓器不全を起こしたりして、短期間で死に至ることです。
【子宮蓄膿症の種類】
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「生理だと思っていたら膿だった」というケースは珍しくありません。
命を守るためには、正常な生理との違いを見極める目が不可欠です。
【チェックリスト】出血が長く悪臭がある場合の受診目安
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では、どのような症状があれば病院へ急ぐべきなのでしょうか。
「いつものヒートと何かが違う」と感じた際、チェックしていただきたいポイントをまとめました。
以下の症状が一つでも当てはまる場合は、「生理っていつまで続くのかな?」と悠長に構えている場合ではありません。
【危険なサインのチェックリスト】
| チェック項目 | 具体的な症状・観察ポイント | 疑われる状況 |
| 期間 | 出血が1ヶ月以上続いている | ホルモン異常、子宮疾患 |
| 色・性状 | 鮮血ではなく、茶色っぽい、ドロっとしている、トマトジュースのような色 | 子宮蓄膿症(開放性) |
| におい | 鉄臭い血のにおいではなく、腐ったような悪臭(生臭い)がする | 細菌感染による膿 |
| 飲水量 | 急に水をガブガブ飲み、大量のおしっこをする(多飲多尿) | 子宮蓄膿症の典型症状 |
| お腹 | お腹が急に膨らんできた、触ると熱い、痛がる | 子宮蓄膿症(閉鎖性) |
| 元気・食欲 | ぐったりしている、食欲がない、熱がある | 全身状態の悪化 |
特に「多飲多尿(水をたくさん飲んでおしっこが増える)」は、子宮蓄膿症の代表的な初期症状です。
「最近よく水を飲むけど年のせいかな?」と思わず、出血の状況とセットで観察しましょう。
少しでも「おかしい」と思ったら、すぐ検査や処置ができる午前中のうちに受診することをおすすめします。
実際、「様子を見よう」という判断が手遅れを招き、即座に緊急手術になるケースも非常に多いです。
私の知り合いの愛犬も「子宮水腫」でそのまま緊急手術になりました。取り返しがつかない事態になる前に迷わず病院を受診してください。
老犬の生理と健康を守るためのケアと予防法

シニア期の生理は、若い頃以上に体への負担がかかります。
愛犬が快適に過ごせるよう日頃のケアを見直し、将来のリスクに備えることが大切です。
ここでは、具体的なサポート方法をご紹介します。
ヒート中のオス避けと衛生ケアのポイント

生理中の老犬は、免疫力が下がっているため衛生管理が第一です。
また、予期せぬトラブルを防ぐための対策も欠かせません。
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「もうおばあちゃんだからオス犬も寄ってこないだろう」と考えるのは危険です。
フェロモンが出ている限りオス犬は反応します。
愛犬を守るためにもリードを短く持ち、注意深く歩かせてあげてください。
老犬の繁殖はリスクしかない

「最後にもう一度、この子の子孫を残したい」
そう願うママさんパパさんの気持ちは痛いほどわかります。
しかし、獣医学的にも動物愛護の観点からもシニア期に入ってからの交配・出産は推奨されません。
たとえば、環境省の「動物の愛護及び管理に関する法律」に基づく基準においても、繁殖用メス犬の交配は原則として6歳までと制限する動きが主流です(※事業者の場合)。
交配時の年齢が、6歳以下であること。ただし、7歳に達した時点で生涯出産回数が6回未満である場合は、交配時の年齢は7歳以下とする。
※一部を抜粋して掲載
愛犬が愛おしいあまり「この子の子孫を残したい」と願う気持ちは、私自身も犬と暮らす一人として痛いほどよく分かります。
しかし、資格取得の過程で高齢出産がいかに母犬の体に負担をかけ、命を縮めるリスクがあるかを深く学びました。
高齢出産は難産のリスクが極めて高く、母体の命を縮めることになりかねません。
また、生まれた子犬に先天的な疾患が出るリスクも高まります。
愛犬が、この先の生活を穏やかに健康に過ごさせることを第一に考えましょう。
子宮蓄膿症の予防には避妊手術が有効

最後に、病気の予防についてです。
老犬の生理が長いといったトラブルや、恐ろしい子宮蓄膿症を確実に防ぐ方法は「避妊手術(卵巣・子宮の摘出)」です。
「今さら手術なんて……」と迷うママさんパパさんも多いでしょう。
確かに、高齢になってからの麻酔や手術にはリスクが伴います。
しかし、病気になってから緊急手術をする場合、体力が落ちている状態での手術となるためリスクは跳ね上がります。
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もし愛犬がまだ元気で心臓や腎臓の機能に大きな問題がないのであれば、獣医師と相談の上で避妊手術を検討するのも一つの選択肢です。
「手術をしない」と決めた場合は、生理のたびに体調変化を厳重にチェックし、異常があれば即座に病院へ行く覚悟を持っておきましょう。
まとめ|老犬の生理はいつまで?その答えは生涯続く

老犬の生理について、その期間や変化、そして潜んでいる病気のリスクについて解説してきました。
私も過去に愛犬を病気で亡くした経験から、「知識があれば、もっと早く気づけたかもしれない」という後悔を強く持っています。
ママさんパパさんには、私と同じような悲しい思いをしてほしくありません。
【愛犬の命を守るための要点】
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愛犬が少しでもいつもと違う何かを見せたら、「年だから仕方ない」と片付けずに迷わず獣医師の力を借りましょう。
それが愛犬にできる最高のプレゼントです。


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