老犬がささみを食べてもOK?腎臓への影響と正しい与え方を専門家が解説

COLUMN

犬がささみを食べても大丈夫なことはわかっていても、老犬ではあちこち体が悪くなってきてささみを与えても大丈夫か気になりますよね。

また、中にはささみしか食べないという老犬もおり、このまま食べ続けさせていいのか心配になったのではないでしょうか。

特にささみは腎臓に負担になりやすいと言われることもあり、余計に不安になってしまいますね。

そこでこの記事では、動物介護士や犬の管理栄養士の私が、ささみを与えていい老犬や1日の適量、正しい与え方について解説します。

腎臓への影響についても深堀りしているので、ぜひ参考にしてください。

【結論】老犬はささみを食べても大丈夫!ただし注意が必要な老犬もいる

結論から言ってしまうと、獣医師から栄養素の制限を指示されていない老犬なら、ささみを食べても問題ありません。

ささみは良質なタンパク質で消化しやすく、脂肪も少ないため老犬のおやつやトッピング、手作りご飯などに使いやすい食材です。

ただし、タンパク質制限を指示されている犬や、腎臓病でステージが進行している場合では獣医師に確認する必要があります。

老犬にささみを与えると腎臓に負担がかかるって本当?よくある誤解

ささみは腎臓に負担がかかると思われていることも多いため、よくある誤解について解説しておきます。

誤解①タンパク質は多いほど腎臓に悪い

「タンパク質が多いと腎臓に負担がかかる」と思われがちですが、これは正確ではありません。

健康な犬では、適量のタンパク質は筋肉や免疫の維持に欠かせません。むしろ不足すると、体力低下や老化の進行を早める原因になります。

問題になるのは、腎臓の機能が低下している状態で過剰に摂取した場合です。

誤解②腎臓が弱る前から制限すべき

「将来のために、早めにタンパク質を減らしたほうがいい」と考えることもあるのではないでしょうか。

しかし、獣医師から制限を指示されていない段階で過度に制限すると、筋肉量の減少や栄養不足はもちろん、さまざまな病気の原因になりかねません

誤解③ささみは特別に腎臓へ悪い食材

ささみだけが、特別に腎臓へ悪影響を与えるわけではありません。

確かに、ささみにはタンパク質やリンが含まれていますが、適量を与え、普段からバランスの良い食事をしていれば特に気にする必要はない食材です。

タンパク質やリンはどの肉や魚にも含まれており、どちらも犬が生きていく上で不可欠な栄養素で、過度な制限は健康に悪影響を与えます。

ささみが腎臓に悪いと言われがちなのは、ささみは「リンは多いのに、カルシウムが極端に少ない」というバランスの肉だからでしょう。

腎臓病が進行した犬では、リンの排出能力が低下するためこうした食材が負担になりやすく、NG食材として扱われることがあります。

その情報が一人歩きし、「ささみ=腎臓に悪い」と広まってしまったのです。

老犬がささみを食べるメリット3つ

ささみは、正しく取り入れれば、老犬の健康維持に役立つ食材です。ここでは、老犬がささみを食べるメリットを3つ紹介します。

良質なタンパク質が摂れる

ささみは、消化吸収率の高い良質なタンパク質を豊富に含んでいます。

老犬は加齢とともに筋肉量が減りやすく、筋力低下や体力低下につながりますが、適量のタンパク質を補給することで、筋肉の維持や免疫機能のサポートに役立ちます

特に食事量が減っている老犬では、少量でも効率よくタンパク質を補える点が大きなメリットです。

脂肪が少なく内臓にやさしい

ささみは鶏肉の中でも脂肪が少ない部位で、消化器官や内臓に比較的やさしい食材です。

脂質の摂りすぎは、消化に負担がかかるだけでなく、膵臓や肝臓の負担にもつながり、老犬では体調悪化の原因になることがあります。

その点、ささみは低脂肪で使いやすく、体調管理を意識した食事にも取り入れやすいでしょう。

③嗜好性が高く食べやすい

ささみは香りがよく、好きな犬が多い食材です。

老犬になると嗅覚や味覚が低下し、食欲が落ちやすくなりますが、ささみをトッピングとして少量加えることで、食事への興味を取り戻すきっかけになることがあります。

また、「最近あまり食べない」という場合のサポート食材としても活用できるでしょう。

【体重別一覧】老犬が1日に食べていいささみの量

1日に食べていいささみの量は、おやつやトッピングとして与える場合、老犬が1日に必要なエネルギー量の10%程度です。

主食(総合栄養食)の栄養バランスを乱さないためにも、多くても20%以内にとどめてください。

とはいえ、どれくらいの量なのか分かりにくいと思うので、茹でたささみの場合の目安を体重別にまとめてみました。

体重 避妊・去勢なし 避妊・去勢済み
2kg 14g 12g
3kg 19g 16g
4kg 23g 20g
5kg 27g 23g
6kg 31g 27g
7kg 35g 30g
8kg 39g 33g
9kg 42g 36g
10kg 46g 39g
15kg 62g 53g
20kg 77g 66g
25kg 91g 78g
30kg 104g 89g

※ささみ(ゆで)100gあたり121kcal(参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

上記を目安に、愛犬の便の状態や体調を見ながら量を調整してください。

老犬の適正カロリーについては、以下の記事で詳しく解説しています。

シニア犬の1日のカロリーは?老犬の年齢・体重別の目安と活動係数を解説

老犬にささみを与えるときの注意点

ササミは老犬が食べても問題ない食材ですが、与えるときには注意することもあります。ここでしっかり見ておきましょう。

①食物アレルギーに注意

ささみに限った話ではありませんが、老犬に初めてささみを与える場合は少量から与えましょう。

ささみに対して食物アレルギーがあった場合、食後30分~48時間以内に以下のようなアレルギー症状が見られます

  • 皮膚の赤みやかゆみ
  • 目や口の周り、耳のかゆみ
  • 足先を執拗に舐めたりかじったりする
  • 下痢や軟便、便の回数が増える
  • 嘔吐 など

症状の現われ方には個体差がありますが、上記のような症状が見られたときは与えるのを中止し、獣医師に相談してください。

②与え過ぎない

ささみは嗜好性が高くついついたくさんあげたくなりますが、与え過ぎないようにしましょう。

与え過ぎると栄養バランスの偏りを招いたり、肥満の原因となってしまうことがあります。

おやつやトッピングで与える場合は、適量にとどめておくことが大切です。

③必ず加熱する

ささみんは、カンピロバクターやサルモネラ菌がおり、食中毒のリスクが高くなるため必ず加熱してから与えてください

これらの菌は、加熱によって死滅します。

特に老犬は免疫力が低下しているため、感染すれば重症化してしまうことも珍しくありません。

肉類は適度に加熱したほうが消化が良く、旨みも高くなるので、必ず中までしっかり加熱してあげてくださいね。(※1、2)

また、リンが気になる場合はささみを細かく切って茹で、その茹で汁を捨てることである程度のリンを減らすことができますよ。

④持病がある犬は獣医師に確認

ささみにはタンパク質やミネラル類などさまざまな栄養素が含まれています。

特に腎臓病のステージ3以降の老犬では、タンパク質やリンの制限などの食事管理が必要となることが一般的です。

病気の種類や状態によっては栄養素の制限が必要になるため、持病がある犬は獣医師に確認してから与えましょう。

まとめ

ささみは、老犬の食事をサポートする心強い食材ですが、「たくさん与えれば健康になる」というものでもありません。

大切なのは、食事全体の栄養バランスを崩さないように、適量を与えることです。

ささみを上手に取り入れながら、愛犬に美味しいごはんを食べてもらいましょう。

また、腎臓の状態や年齢による体の変化は、見た目だけでは判断できません。

愛犬にいつまでも元気にすごしてもらうためにも、定期的な獣医師による健康チェックも受けさせてあげてくださいね。

<参考文献>

※1:J-STAGE「食肉の消化率に及ぼす加熱の影響ーペプシンー」
※2:J-STAGE「食肉の消化率に及ぼす加熱の影響ーパンクレラチンー」

たかだ なつき(高田菜月)

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4匹の愛犬と暮らすペット専門ライター×ペットの専門家。長年人間の介護に携わっていたが、愛犬の介護をきっかけにペットライターに転身。犬の飼育歴は20年以上。こ...

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