老犬が震える原因とは?対策や病気、受診の目安を獣医師が解説
愛犬が年齢を重ねると、以前より震える様子が多く見られるようになりますよね。
そんな中で、
「寒いから震えているのだろうか?」
「年のせいでよく震えているのかな?」
「病気だったらどうしよう」
と疑問や不安を感じてはいませんか?
老犬が震える原因は、生理的なものから病気までさまざまで、それらを見極めることがとても重要になります。
本記事では、老犬が震える原因や考えられる病気、自宅でできる対策、動物病院を受診すべき目安まで、獣医師が分かりやすく解説します。
最後までお読みいただき、老犬が震える理由について理解を深めましょう。
老犬が震える原因

まず、どのような原因で犬に震えが起こるのでしょうか?
震えは、自分の意志とは関係なく、筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことで起こります。
筋肉の運動には、神経や体内のミネラルバランスも関係しているため、さまざまな要因で震えが生じるといわれています。
老犬が震える原因はいくつか考えられますが、大きく分けると、
- 気温(寒さ)
- 緊張や不安などの精神的要因
- 病気や体調不良
- 筋肉や神経の問題
- 特発性(はっきりした原因が分からないもの)
といったものが主な原因です。
老犬では、これらのどの原因でも震えが起こる可能性があります。
そのため、「年のせいだから仕方ない」と決めつけず、日々の変化をよく観察し原因を考えることが大切です。
老犬が寒さで震える理由
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犬は寒さを感じたときに、筋肉を小刻みに動かす(震える)ことで熱を産生し、体温を維持しようとします。
この反応を「シバリング」といい、生理的に正常な行動です。
しかし、一般的に老犬は若い犬と比べて、体温を調節する機能が低下しています。
そのため、これまでは問題がなかった気温でも、冬場や夜間、朝方の冷え込みによって震えることがよくあります。
特に多いのが、
- 寝ている時
- 寝起き
- 夜間や早朝
といったタイミングです。
床の冷たさや室温の低下が影響しているケースも多く、生活環境を見直すことで改善することも少なくありません。
「寒いだけ」と軽く考えがちですが、老犬では寒さが体調不良の引き金になることもあるため、注意が必要です。
老犬が不安や恐怖で震える理由

健康な犬であっても、動物病院での診察時に緊張から震えることは珍しくありません。
私自身も診察の現場でそのような犬を多く見てきました。
また老犬では、視力や聴力の低下によって周囲の状況が分かりにくくなり、不安や恐怖を感じやすくなるといわれています。
そのほか、
- 引っ越しなど環境の変化
- 飼い主様と過ごす時間の減少
- 暗闇への不安や孤独感
といった些細な変化が震えにつながることも少なくありません。
特に、認知機能不全(いわゆる犬の認知症)がある場合は、より不安感を感じやすいといわれています。
「単に怖がっているだけだから」と様子を見ずに、動物病院を受診することも検討しましょう。
老犬が震えるときに考えられる病気

老犬では、さまざまな病気が原因で震えが起こることがあります。
特に震えに加えて、
- 元気がない
- ご飯を食べない
- 下痢や嘔吐がある
- 立てない
- 排尿に異常がある
- ぐるぐる回る
といった症状が見られる場合、体調不良や病気が原因である可能性が高くなります。
では、具体的にはどのような病気が考えられるのでしょうか?
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①体温の変化
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老犬では筋肉量が減少することから、体温は下がりやすくなります。
また、感染症などから発熱を起こして震えているケースも珍しくありません。
触ったときにいつもより冷たい、または熱いと感じる場合は注意が必要です。
②痛み

老犬では関節炎や椎間板ヘルニア、腫瘍などの痛みを伴う病気でも震えが見られることがあります。
特に老犬では関節疾患が多く、散歩中や立ち上がる時に後ろ足や前足が震えるケースも少なくありません。
触ると嫌がる、特定の姿勢を避けるといった様子が見られる場合は、痛みが原因の可能性があります。
そのような様子が見られる場合は、早めの受診を心がけましょう。
③低血糖

食欲不振が続いている老犬では、低血糖によって震えが起こることがあります。
そのほかに、膵臓や肝臓の腫瘍が原因でホルモンが過剰に分泌され、低血糖が起きるケースも珍しくありません。
低血糖による震えは、進行すると意識障害や発作につながることもあるため、特に注意が必要です。
④神経の病気

老犬では、脳脊髄炎や脳腫瘍など、神経系の疾患によって震えが起こることがあります。
そのほかに、腎臓や肝臓などの内臓の機能が低下することにより、神経に異常をきたすことも珍しくありません。
これらの病気は早期に治療を開始することで、症状の進行を抑えられる場合もあるため、早期発見が重要になります。
老犬が震えるときの動物病院受診の目安

ここまでは、老犬が震える原因と考えられる病気について解説しました。
では、実際に愛犬が震えている場合、どのようなタイミングで動物病院を受診すべきなのでしょうか?
愛犬が震えた時は、まずは慌てずに室温や周囲の環境、不安の原因になりそうなものがないかを確認しましょう。
次に、愛犬の体調をチェックします。
体温や呼吸を確認したり、食欲や排泄の状態を確認したりしてあげましょう。
特に次のような様子が見られる場合は、早めの動物病院への受診が必要です。
- 震えが止まらない
- 触ると痛がる
- 熱がある、または体が冷たい
- 元気や食欲が低下している
- 呼吸が荒い
- 意識がもうろうとしている
- 嘔吐や下痢をしている
老犬が震えるときの対処法

では、老犬が震える原因が病気ではない場合は、どのように対処したらよいのでしょうか?
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①気温が低い場合
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個体差があるものの、一般的に犬は室温が10~15℃を下回ると寒さを感じるといわれています。
特に子犬や老犬は通常より寒さを感じやすいため、室内の温度は18〜22℃程度を目安に調節してあげましょう。
空調はエアコンで管理する場合が多いですが、暖かい空気は高いところに溜まる傾向があります。
そのため、犬が生活する床の近くは温度が低くなることがあり、注意が必要です。
その場合は、ペットのヒーターなどを用いるとより効率的に温度を上げることができます。
しかし、低温やけどの原因になることがありますので、使い方には注意しましょう。
また、服を着ることでも低温から体を守ることもできます。
②不安を感じている場合

老犬が不安を感じて震えている場合は、その原因を取り除くことが第一です。
音に対して不安を感じている場合は、静かな環境を用意してあげましょう。
また、目が見えない老犬では、家具やトイレの場所の変更は避けることが大切です。
そのほか、優しく声をかけてスキンシップをしたり、安心できる寝場所を整えたりすることも効果的です。
より強く不安を感じてしまう場合は、サプリメントによる不安のケアを行うことも考えましょう。
まとめ|老犬が震える原因を考えよう

老犬が震える原因は、加齢による生理的な変化から病気まで幅広く存在します。
愛犬の体調に不安を感じた時は、早めに動物病院を受診するよう心がけましょう。
「年のせい」と思い込まず、日々の様子や変化に気づくことが、愛犬の健康を守る第一歩です。
また、老犬になると、今までは問題なかった些細な変化がストレスになることも少なくありません。
ヒーターや服を用意し温度管理をしてあげたり、愛犬と一緒に過ごす時間を長くとったりすることで、穏やかなシニア期を一緒に過ごしてあげましょう。















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