老犬に健康診断は必要?頻度や分かる病気を獣医師が解説
老犬の健康診断は、見た目では分からない体の異常を早期に発見するための大切な検査です。
そんな中で、
「老犬に健康診断は必要なのだろうか?」
「どれくらいの頻度で健康診断は必要なの?」
「健康診断ではどのようなことが分かるのだろう?」
といった疑問をお持ちではないでしょうか?
近年では、動物の医療機器が発達し、さまざまな病気が健康診断で早期に発見できるようになっています。
そのため現在は、老犬では年2回の健康診断が推奨されていることをご存じでしょうか?
本記事では、老犬の健康診断の内容や適切な頻度、よく見つかる病気について獣医師が分かりやすく解説します。
最後までお読みいただき、愛犬の健康診断を受ける前の予備知識としてお役立ていただけると幸いです。
老犬にも健康診断は必要

では、老犬に健康診断は必要なのでしょうか?
結論から申し上げますと、老犬だからこそ健康診断は必要です。
犬は1歳を迎えた後は、人間の約4倍のスピードで年齢を重ねるといわれています。
また、犬は自ら体調の変化を訴えることができず、病気が進行するまで、飼い主様がそのことに気付けないことも少なくありません。
愛犬と長く健康な毎日を送るためには、定期的に健康診断を受診し、小さな変化を見逃さないことが大切です。
老犬の健康診断の内容

では実際に、老犬の健康診断ではどのような検査が行われるのでしょうか?
愛犬は一見元気そうに見えても、体の中で病気が進行していることも少なくありません。
そのため、年齢に応じさまざまな検査を組み合わせて健康診断が行われます。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①問診・身体検査

一般的な健康診断では、
- 食欲や排泄の状態
- 運動量や飲水量の変化
- 嘔吐や下痢などの有無
といった愛犬の日常生活の様子について、詳しく問診が行われるところから始まります。
その後、
- 体重や体温の測定
- 視診
- 触診
- 聴診
といった身体検査が行われ、心臓の雑音や皮膚のしこりなど、触って分かる異常がないか確認が行われます。
②血液検査

血液検査では採血が行われ、
- 貧血の有無
- 肝臓や腎臓、膵臓などの数値
- 電解質やミネラル
- 血糖値
- 中性脂肪・コレステロール
- 炎症反応
といった項目の確認が行われます。
初期段階では症状が出にくい腎臓や肝臓の病気、ホルモンの病気なども、数値の変化から早期に発見できることも少なくありません。
③尿検査

尿検査を行うには、事前に自宅で採尿を済ませて尿を持参するか、院内で採尿してもらう必要があります。
採尿した尿を使い、尿検査では、
- 尿比重
- 尿路の感染
- 尿中のタンパクや糖の有無
- 結晶の有無
などが評価されます。
特に、結晶や尿糖、尿タンパクは病気を早期に発見する判断材料として、とても重要です。
| 結晶とは?
尿検査で確認される「結晶」とは、尿中のミネラル分が溶けきれずに固まった小さな塊のことを言います。 |
④レントゲン検査

レントゲン検査では、レントゲン写真を撮影することで、
- 心臓や肺、気管の状態
- 大きな腫瘍や結石の有無
- 骨や関節の異常
などを評価することができます。
特に高齢犬では、心拡大や関節疾患の早期発見につながることも少なくありません。
また、レントゲン検査には基本的に麻酔は不要なことが多いです。
⑤超音波検査(エコー検査)

エコー検査では、
- 肝臓
- 腎臓
- 脾臓
- 膀胱
- 心臓
- 消化管
などの臓器の形や内部構造を、レントゲン検査よりさらに詳細に観察することができます。
エコー検査は、健康診断のみならず、病気の治療経過を確認する際にも頻繁に用いられる検査です。
⑥便検査

便検査では、便中に寄生虫や異常な細菌、未消化物などがないか確認することができます。
特にお腹の調子を繰り返し崩しやすい老犬では、必ず行うべき検査の一つと考えられます。
健康診断を行う前に、事前に新鮮な便を採取しておきましょう。
⑦血圧測定

老犬では、さまざまな病気の症状の一つとして、高血圧を起こすことがあります。
そのため、血圧測定から病気を発見できることも少なくありません。
⑧心電図

心電図検査を行う主な目的は、心臓への負担や不整脈の有無を確認することです。
老犬では、心臓のトラブルがとても多いため、こちらも実施すべき検査の一つと考えられます。
老犬に健康診断を受けさせる頻度

では、実際に犬に健康診断を受けさせる場合、どれくらいの頻度で行えば良いのでしょうか?
実は、犬の年齢によって、推奨される健康診断の頻度が異なります。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①1歳頃まで

不妊手術の術前検査として行うことも多いですが、1歳になる前に一度、健康診断を行いましょう。
この年齢で健康診断を行う主な目的は、生まれ持った病気や構造の異常などを発見することです。
実際に0歳~3歳の子犬に血液検査を実施したところ、4.9%の犬に異常値が検出された、という報告がされています。
②1~7歳頃まで

犬は人間の約4倍のスピードで年齢を重ねるといわれています。
そのため、成犬のうちは少なくとも年に1回の健康診断が推奨されています。
犬は、自ら体調の変化を訴えることができません。
病気が深刻な状態になるまで、飼い主様が気付けないことも少なくありません。
定期的に健康診断を受診し、小さな変化を見逃さないことが大切です。
③7歳以上

シニア期に入ると、年に2回の健康診断が推奨されています。
ただし、健康診断以外でも、体調の変化を感じたときは早めに受診するように心がけましょう。
加齢とともに生じるさまざまな病気を早期に発見し、早期に治療を行ってあげましょう。
老犬の健康診断で見つかる代表的な病気

では、実際に健康診断を行うと、どのような病気を早期に発見することができるのでしょうか?
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①尿石症

尿石症は、腎臓や膀胱などの尿路に、ストルバイト結石やシュウ酸カルシウム結石などの結石が生じる病気です。
血尿や頻尿などの症状が見られず、気づかないうちに結石が形成され、レントゲン検査やエコー検査で見つかることも少なくありません。
②腫瘍

腫瘍は、体の中にある細胞が異常に増殖してしこりをつくる病気です。
犬の3大死因の一つとされ、早期に治療を行うことで適切に治療を行うことができます。
③心臓病

犬では年齢とともに心臓の「弁」が変性し、「弁膜症」を起こしていることが少なくありません。
特に「僧帽弁閉鎖不全症」という病気は、高齢の犬でよく見られる病気の一つです。
④腎臓病

腎臓は、尿とともに体内の老廃物を体外へ排出する臓器です。
高齢の犬では、年齢とともに腎臓の機能が低下していることが少なくありません。
⑤関節炎

高齢の犬では足の関節や背骨において、年齢とともに関節炎が起きることがあります。
年のせいだと思っていた歩き方の異常が、実は関節炎の痛みから生じていた、ということも少なくありません。
⑥歯周病

現在は、3歳以上の犬の約80%に歯周病のリスクがあると言われています。
早期に発見し適切な治療を行うことで、愛犬の健康な歯を守ってあげましょう。
また近年では、歯周病を引き起こす細菌が、心臓や腎臓などの全身の臓器へ悪影響を及ぼすことが分かってきています。
まとめ

現在は人間と同様に、愛犬でも高齢化が進んでいます。
愛犬にも元気で快適なシニアライフを過ごさせるためには、病気の早期発見・早期治療が重要です。
そのためには、気になる症状がなくても、定期的な健康診断を行うことがとても大切です。
老犬では年に2回の健康診断が目安とされていますので、今回の記事を参考に、ぜひ今日から愛犬の健康を守る習慣をつけていきましょう。

















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