シニア犬用フードは何歳から与えるの?年齢の目安や注意点を専門家が解説
愛犬がシニア期になり、「シニア犬用フードは何歳から与えるの?」と悩む飼い主さんは多いです。
ペットショップに行けばシニア犬用フードがたくさん販売されており、なんとなく切り替えたほうがいいような気がしますよね。
実はシニア犬用フードに変更するのは、「何歳から」という単純なものではありません。
愛犬の状態によって最適なタイミングは変わるため、見極めることが大切です。
そこで今回は、高齢の愛犬たちと暮らしていたペットフーディストや動物介護士の私が、いつからシニア犬用フードを与えるかの目安や切り替えるときの注意点を解説します。
【何歳から?】シニア犬用フードの切り替える年齢の目安
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シニア犬用フードに切り替えるタイミングは、年齢だけで判断できるものではありません。
しかし、犬種や体格によって一般的な目安があります。
ここでは、年齢の目安と切り替えの際に注意すべきリスクを見ていきましょう。
一般的な年齢の目安

一般的には、シニア期に入ったらシニア犬用フードに切り替えることを検討します。
【犬のシニア期の目安】
- 超小型犬…8歳頃
- 小型犬…7歳頃
- 中型犬…7歳頃
- 大型犬…5歳頃
ただし、加齢による体の変化は個体差があり、あくまでも目安です。同じ年齢でも活発で健康な犬は、まだ若犬用フードの方が合うこともあります。
切り替えは年齢だけで判断せず、犬の体の状態を確認することが大切です。
切り替えるときは、一度獣医師に相談してみると良いでしょう。
切り替えが早すぎるリスク

シニア犬用フードの切り替えが早すぎると、フードによっては筋肉量の低下やエネルギー不足を招くことがあります。
シニア犬用フードは、代謝の落ちるシニア犬に合わせて脂質やカロリーが抑えられていることが多いため、まだ活発で運動量の多い犬には不足感が出やすいのです。
切り替えが遅すぎるリスク

逆に切り替えが遅すぎると、フードによっては肥満になったり関節や内臓への負担が増えることがあります。
成犬用フードは活発な成犬の健康を維持するために設計されているため、代謝の落ちたシニア犬にとっては栄養価が高すぎることがあるのです。
もちろん、シニア犬の状態によっては栄養価の高いフードのほうが良い場合もあるため、一概にダメとは言えません。
愛犬の体調や行動を見ながら、柔軟に判断することが大切です。
シニア犬用フードに切り替える目安になる変化3つ

年齢だけで判断するのではなく、犬の体や行動の変化を観察することがシニア犬用フードに切り替えるポイントです。
ここでは、特にチェックしておきたい3つの変化について見ていきましょう。
ただし、シニア犬は体力や免疫力の低下などで病気にかかりやすく、これらの変化が病気によって起きている場合もあります。
そのため、総合的に判断し、必要に応じて獣医師に相談することが大切です。
①体型・筋肉の変化

シニア犬になると筋肉量が徐々に減少し、体型に変化が出ることがあります。
- 背中や腰周りの骨が浮き出てきた
- 太ももやお腹周りの筋肉が痩せてきた
- 体重が徐々に減少してきた
これらの変化は、犬の代謝が落ちてきたサインです。
フードの切り替え時期を見極めるために、定期的に体型をチェックしましょう。
②食欲・排泄の変化
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食欲や排泄の変化もシニア期の重要なサインです。
- 食べる量が減った、好き嫌いが出てきた
- 固いフードを嫌がる、柔らかいものを好む
- 便が軟らかくなった、回数が増えた
消化能力が落ちてくると、成犬用フードでは胃腸に負担がかかることがあります。
こうした変化が見られた場合は、消化に配慮されたシニア犬用フードへの切り替えを検討しましょう。
③生活リズム・行動の変化

犬の行動や生活リズムの変化も、シニア期の判断材料です。
- 昼寝の時間が増えた
- 散歩や遊びを嫌がるようになった
- 階段や段差を避けるようになった
運動量の減少は代謝の低下につながるため、カロリー調整されたシニアフードに切り替えることで、肥満や関節への負担を防ぐことができます。
シニア犬用フードの選び方

シニア犬用フードへ切り替えるときは、「シニア犬用」と書いてあるという理由だけで選ばず、愛犬の好みや状態、消化のしやすさなども考えてあげることが大切です。
ここでは、シニア犬用フードを選ぶポイントについて解説します。
愛犬が食べやすい形状のものを選ぶ

シニア犬は歯の衰えや顎の力の低下で、硬いフードを食べにくくなることがあります。
また、飲み込む力も低下するため、食べやすさに配慮してあげることが大切です。
【シニア犬が食べやすいフード】
- 小粒タイプやセミモイストタイプを選ぶ
- フリーズドライフードを選ぶ
- ウェットフードを選ぶ
良質なタンパク質と脂質が含まれている
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シニア犬でも筋肉量や免疫力を維持するために、良質な動物性タンパク質は欠かせません。
また、良質な脂質はエネルギー源になりつつ、炎症を抑えたり皮膚・被毛・脳の健康を支えるためにも大切です。
そのため、タンパク質や脂質の「質」にも配慮してあげましょう。
低すぎないタンパク質量

シニア犬になると低タンパク質のフードが良いと思われがちですが、シニア犬はからだを維持するためにも成犬よりも多くのタンパク質を必要とします。
確かに、高タンパクすぎれば肝臓や腎臓に負担がかかりやすくなるため注意が必要ですが、低すぎるのも筋肉量の減少や代謝の低下などさまざまな影響があります。
目安としては、今まで与えていたフードのタンパク質量よりも2〜3%程度高めのものを選んであげると良いでしょう。
消化に配慮されている

シニア犬は消化機能も低下するため、消化の良いフードを選んであげることが大切です。
実は、ドッグフードのタイプによっても消化率(=体に吸収される割合)は異なります。
以下は一般的な目安ですが、フード選びの参考にしてください。
【ドッグフードの消化率(※1、2)】
- フリーズドライフード…98%以上
- フレッシュフード(冷凍)…95%以上
- エアドライフード…95%前後
- ウェットフード…80~95%※
- ドライフード…70~93%※
※メーカーによって異なる
フリーズドライやエアドライ、フレッシュタイプは加工工程が少なく、素材の栄養を壊さずに消化しやすいのが特徴です。
もちろん、ドライフードでも高品質な製品では90%以上の消化率のものもあります。
メーカーの公式サイトで消化率や原材料を確認してみましょう。
シニア犬用フードに切り替えるときの注意点

シニア犬用フードに切り替えるときは、年齢や栄養バランスだけでなく、「切り替え方」や「愛犬の体調の見極め」も大切です。
ここでは、シニア犬用フードに切り替えるときの注意点を解説します
切り替えは2週間ほどかけて行う
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成犬ではフードの切り替えは1週間~10日程度が目安ですが、シニア犬ではさらに長く2週間ほどかけて行ってあげた方が安心です。
急にフードを切り替えると、腸内細菌や消化酵素の働きが追いつかず、下痢や嘔吐の消化トラブルを引き起こすことがあります。
これまでのフードに新しいフードを1割ずつ混ぜていき、最終的に新しいフードだけになるようにしましょう。
愛犬の便の状態や食いつきを確認しながら、体調に応じてペースを調整してあげることも大切です。
食べる回数を増やす

シニア犬は消化機能が低下しているため、1回にたくさん食べるよりも、少量を数回に分けて与えることが大切です。
- シニア期(7〜11歳頃)…3~4回
…代謝は落ち始めるものの、まだ活動的で消化機能も保たれていることが多い - ハイシニア期(12歳~)…4~5回
…食欲のムラや消化力の低下が進む
1回量を減らすことで胃腸への負担を減らし、栄養吸収を安定させられます。
獣医師に相談する

腎臓・肝臓・関節などに不安がある場合は、療法食や栄養制限の必要があることもあります。
自己判断せず、定期的に獣医師に相談しながら進めましょう。
まとめ|シニア犬用フードの切り替えは愛犬の状態に合わせて行おう

シニア犬用フードに切り替えるタイミングは、年齢だけで決めるのではなく、愛犬の体調や生活の変化に合わせて判断することが大切です。
判断に迷ったときは、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
愛犬に健やかな毎日を送ってもらうためにも、焦らず慎重に選んであげてくださいね。
<参考文献>
※1参考:FANCL「フリーズドライ製法(1)のドッグフードに高いタンパク質消化率を確認―さまざまな疾病の発生リスク低減が期待―」
※2参考:PRTIMES「冷凍フレッシュペットフード「ペトコトフーズ」、フレッシュ製法(1)のドッグフードに高いタンパク質消化率を確認」


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