老犬が爪切りを嫌がるのはなぜ?シニア犬特有の理由と安全な切り方のコツ
「昔は大人しく切らせてくれたのに、最近になって急に嫌がるようになった」
「足を触ろうとするだけで、唸ったり逃げたりしてしまう」
シニア期に入った愛犬のそんな変化に、戸惑いやショックを感じているママさんパパさんも多いのではないでしょうか?
老犬が爪切りを拒否するのには、単なるワガママではなく、「痛み」や「不安」が隠されている場合があります。
理由がわかれば、無理に押さえつけなくても、お互いにリラックスしてケアする方法が見つかります。
この記事では、トリマーの資格を持つ私が、老犬が爪切りを嫌がる理由と、愛犬への負担を軽減する爪切りのコツを解説します。
老犬の爪切りをする前に知っておきたい基本知識

「散歩に行かなくなったから、爪は伸びないだろう」と考えて、愛犬の爪切りをつい後回しにしてしまっていませんか?
実は、運動量が減った老犬こそ、こまめな爪のケアが不可欠です。
ここでは、なぜ老犬に爪切りが必要な理由と適切な頻度、そして放置した際に起こりうるリスクについて解説します。
老犬でも爪切りが必要な理由
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若い頃は毎日の散歩でアスファルトを歩き、爪が自然と摩耗して適切な長さに保たれていることが多くありました。
しかし、老犬になると散歩の距離や時間が減り、寝ている時間が長くなるため爪が削れずに伸びがちになります。
老犬にとって爪切りが必要な主な理由は以下の通りです。
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爪が長くなると、歩行のときに痛みや不快感を感じ、歩くのを嫌がるようになるケースも少なくありません。
愛犬が快適に歩行するためにも、定期的な爪切りは不可欠といえます。
老犬の爪切りの適切な頻度

爪が伸びるスピードには個体差がありますが、目安としては2〜3週間に1回のペースで確認し、伸びていれば整えてあげるのが理想です。
老犬の場合、血管が爪の先端近くまで伸びてきていることが多く、一度に短く切ろうとすると出血させてしまうリスクがあります。
一度に短く切り揃えるよりも、こまめに少しずつ切るほうが血管を傷つけず、犬への負担も軽減できます。
爪切りを怠ると起こりやすいトラブル

「かわいそうだから」と爪切りを避けていると、結果として愛犬に痛みや苦しみを与えてしまう可能性があります。
爪の放置が招くトラブルは以下のとおりです。
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巻き爪による炎症は、とくに狼爪(ろうそう)に多く見られます。
爪を切る際には、すべての爪が伸びすぎていないかチェックしましょう。
老犬が爪切りを嫌がるのはなぜ?シニア犬特有の4つの理由

老犬が爪切りを拒否する背景には、加齢に伴う身体の痛みや、目には見えない不安が隠れている場合があります。
ここでは、シニア犬特有の爪切りを嫌がる理由を見ていきましょう。
理由①過去のトラウマ

犬は記憶力が良く、過去に爪切りで痛い思いをしたことや恐怖心などを覚えています。
特にシニア期に入ると、感覚が過敏になったり、頑固になったりする傾向があるため、若い頃なら我慢できていた不快感や恐怖に過剰に反応してしまうのです。
過去のトラウマによって爪切りを嫌がっている場合は、爪切りの道具を見ただけでパニックなったり、回数を重ねるごとに拒否反応が強くなったりします。
理由②身体的な痛み

足を触られることや関節を曲げられることに痛みを感じて、爪切りを嫌がる場合もあります。
老犬は、慢性的な関節炎や変形性脊椎症、ヘルニアなど何かしらの疾患を抱えているケースが少なくありません。
爪を切ろうとして足先を持ち上げたり、手首・足首を曲げたりする動作が、愛犬にとっては関節に激痛が走る状態になっている可能性があります。
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上記のようなサインが見られた場合は、関節や足に痛みを感じていると考えてよいでしょう。
理由③体勢維持が辛いことによるストレス

爪を切るためには、一本の足を持ち上げ、残りの三本の足で体重を支えなければなりません。
しかし、筋力が低下して平衡感覚も衰えている老犬にとって、不安定な姿勢でじっとしているのは想像以上に辛いことです。
そのため、足を持ち上げたときに嫌がる場合は、その姿勢を保つのが辛いと感じているかもしれません。
理由④爪自体に問題がある
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爪そのものの質が変化しているのも、爪切りを嫌がる原因の1つです。
老犬の爪は水分量が減って乾燥し、分厚く硬くなる傾向があります。
硬くなった爪を切ろうとすると、「パチン!」押しつぶされるような強い衝撃が走り、不快感や痛みを感じている犬もいます。
また、爪の中の血管や神経が伸びてきて、切られることで痛みを感じているケースも少なくありません。
老犬が爪切りを嫌がる場合の切り方のコツ

老犬の爪切りで大切なのは、完璧を目指さないことです。
愛犬が「これくらいなら我慢できるかな」と思える範囲で、少しずつ進めると負担を軽減できます。
ここでは、爪切りを嫌がる老犬のための具体的なテクニックを4つ紹介します。
①安全に切るための道具を準備する

老犬の硬く分厚い爪を切る際、切れ味の悪い爪切りを使うと痛がる可能性があります。
まずは安全に切るための道具を見直しましょう。
一般的なギロチン型は、爪を切るときの衝撃が強すぎる可能性があるため、ニッパー型がおすすめです。
ニッパー型は力が伝わりやすく、分厚い爪や巻き爪でも「サクッ」と切れ、老犬への負担を軽減できます。
②爪の血管の位置を確認する

老犬の爪切りで難しいのが、どこまで切っていいかわからないという点です。
爪切りを始める前に、まずは爪の血管の位置を把握しておきましょう。
白い爪の場合は、光に透かすとピンク色の部分(血管)が見えるので、その手前まで切ります。
一方で、黒い爪の場合は、外側からは血管が見えません。
切り口の断面を確認し、中心部が湿り気を帯びてきたり、爪の中心に黒い点が見えるようになったら、血管が近いサインです。
それ以上は切らないように注意しましょう。
③老犬の体に負担がかからないように保定する
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爪切りをするときには、無理に立たせたり仰向けにしたりする必要はありません。
関節が痛む老犬にとって、足を高く上げられたり、不安定な姿勢で固定されたりするのは苦痛を与えることにつながります。
老犬に一番負担が少ない体勢は、寝ている状態です。
伏せまたは横向きで寝ている姿勢は、足を少し持ち上げるだけで爪切りできるので、バランスを取る必要がなくストレスに感じにくいでしょう。
また、愛犬を立たせて爪切りをしたい場合は、お腹の下にクッションを置いたり2人体制で保定したりすると、ふらつきや関節の痛みなどが軽減できます。
実は、我が家の老犬も爪切りは苦手です。
愛犬が少しでもリラックスできるように、いつも寝たままの状態で爪切りを行っています。
無理に体勢を変えないことが、お互いのストレス軽減にもつながっています。
④1本ずつ切ることから始める

「せっかく道具を出したんだから、全部切ってしまいたい」と思いますが、老犬の集中力と体力は長く続きません。
嫌がっているのに無理に続けると、「爪切り=嫌なこと」という記憶がさらに強化されてしまいます。
老犬の爪切りは、「1日1本切れれば100点満点」と考えましょう。
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これを毎日繰り返して成功体験を積み重ねると、爪切りへの拒否反応を少しずつ和らいでいきます。
また、わざわざ「さあ爪切りをするぞ!」と意気込むのではなく、ブラッシングのついでやマッサージの合間に、さりげなく1本だけ切るのもおすすめです。
我が家でも、ブラッシングのついでに爪を切るというのを繰り返していて、暴れるほど嫌がることはなくなりましたよ!
老犬が爪切りを嫌がる場合の無理しない選択肢
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老犬が爪切りの際に暴れたり攻撃的になったりするため、自宅でのケアが難しいと感じたら、無理をせずに別の方法を選択するのも1つの方法です。
ここでは、自宅で切る以外の3つの選択肢を紹介します。
動物病院やサロンなどのプロに頼る

自宅では暴れてしまう犬でも、病院やトリミングサロンに行くと、緊張して意外に大人しく切らせてくれるケースは多くあります。
プロに任せるメリットは、「嫌われ役」を第三者に引き受けてもらえることです。
「痛いこと・嫌なことをするのは病院の人」「優しくしてくれるのはママ・パパ」と役割分担をすると、愛犬はママさんパパさんに対して警戒心を抱かずに済みます。
また、動物病院であれば、万が一暴れて体調が悪くなってもすぐに対応できるという安心感があります。
爪切りだけで利用する方は多いので、遠慮せずにプロに頼りましょう。
電動爪やすりを使用する

爪切りの衝撃や音が怖いというタイプの犬には、切らずに削る電動爪やすりがおすすめです。
爪やすりは少しずつ削っていくため、血管を傷つけて出血させるリスクがほとんどありません。
また、振動はありますが、爪切り特有の関節に響く衝撃がないため痛みを感じにくいのも特徴です。
まずは、スイッチを入れずに本体を見せたり音を聞かせたりして、電動爪やすりに慣れてもらいます。
次に短時間だけ爪に使用してよく褒めることを繰り返します。
少しずつ音と振動に慣らしていきましょう。
散歩で自然に摩耗させる

老犬にとってストレスのない方法は、散歩によって爪を摩耗させることです。
土や草の上ではなく、アスファルトなどの硬い地面を歩かせると、爪は自然に削れていきます。
しっかりと歩ける老犬であれば、毎日の散歩コースに舗装された道を取り入れるだけで、爪切りの頻度を減らせます。
ただし、狼爪(ろうそう)は地面に接していないので自然に削れません。
肉球にも刺さりやすいため、定期的なカットが必須です。
まとめ|老犬の爪切りは「無理をしない」ことが大切

老犬の爪切りにおいて、プロのように短くきれいに揃える必要はありません。
大切なのは、愛犬が「痛くない」「怖くない」と感じる範囲で、こまめにケアを続けることです。
寝たままの体勢で爪切りをしたり、1本切れたらご褒美をあげたりすると、愛犬のストレスを軽減できる可能性があります。
もし自宅でのケアが難しいと感じたら、無理せず動物病院やプロの手を借りましょう。
愛犬の歩行を守り、穏やかなシニアライフを支えるために、爪のケアを見直してみてください。


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