老犬がチュールしか食べないけど大丈夫?原因と対処法を専門家が解説
老犬がチュールしか食べない状態が続くと、「栄養は足りてるの?」「このままで大丈夫?」と心配になりますよね。
老犬になるとご飯を食べないことも増えてくるため、「チュールだけでも食べてくれているなら…」と思ってしまうところもあるのではないでしょうか。
私も高齢の愛犬4匹と暮らしていたため、その気持ちは痛いほどわかります。
しかし、チュールだけしか食べないからといって、そのまま与え続けるのは健康リスクが高まるため、注意が必要です。
この記事では、動物介護士やペットフーディストの私が、老犬がチュールしか食べない原因や注意点、ほかのご飯を食べてもらう対処法を解説します。
愛犬の健康を守るためにも、ぜひ参考にしてください。
【結論】老犬がチュールしか食べないのは注意が必要!

結論から言うと、老犬がチュールしか食べない状態が続く場合は注意が必要です。
チュールは嗜好性が高いため、老犬でも食べやすい反面、主食として使い続けると栄養バランスが崩れやすくなります。
栄養バランスが崩れると、さまざまな病気のリスクが高くなるため、老犬のためにも普通のご飯を食べてもらう工夫をしましょう。
老犬がチュールしか食べない。でも総合栄養食チュールなら大丈夫?

総合栄養食タイプのチュールは、犬に必要な栄養を補えるよう設計されています。
そのため、「これなら問題ないのでは?」と考えることもあるのではないでしょうか。実際、私自身も何も知らなかった昔はそう思ったこともありました。
しかし、総合栄養食チュールであっても、主食として長期間使う場合には注意が必要なのです。
必要なカロリー量を満たしにくい

総合栄養食タイプのチュールであっても、必要なカロリー量を満たしにくいという問題があります。
市販されているチュール1本あたりのカロリーは、約12〜14kcal程度のものが一般的です。
一方、体重5kgの避妊・去勢済み老犬が1日に必要とするエネルギー量は281kcalなので、チュールだけで必要なカロリーを補おうと思ったら、1日約22本が必要になります。
毎日22本のチュールと考えたら、現実的に難しいのではないでしょうか。
体調不良や病気のサインを見逃しやすい

老犬がチュールしか食べない状態が続いている場合、「食欲があるように見える」ため、体調の変化に気づきにくくなることがあります。
チュールはやわらかく香りも強いため、犬の食いつきが凄いですよね。
本来、犬は体に不調があると食欲が落ちて通常のフードを避けるようになりますが、嗜好性が高いチュールだけは口にできてしまうことも珍しくありません。
その結果、体調不良や病気のサインに気づくのが遅れて、すでに病気が進行しているということになりやすいのです。
老犬がチュールしか食べない主な原因5つ

老犬がチュールしか食べない背景には、単なるわがままではなく、加齢による身体機能の変化が大きく関係していることがほとんどです。
ここでは、老犬がチュールしか食べない主な原因について見ていきましょう。
①味覚・嗅覚が低下したから
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老犬になると、味覚や嗅覚が衰えていくため、通常のフードの匂いを感じにくくなります。
犬は食事の味よりも匂いによって食欲が刺激されるため、匂いを感じにくくなると、食べ物への興味そのものが薄れてしまうのです。
その点、チュールは香りが強く作られているので、嗅覚が衰えても認識しやすく、老犬の食欲が刺激されて食べるということが起こります。
②噛む力・飲み込む力が低下したから

老犬になると、顎の筋肉や舌の動き、のど周りの筋力が少しずつ衰え、若い頃のようにしっかり噛んだり、スムーズに飲み込んだりすることが難しくなってきます。
その結果、形がある食事を「食べにくいもの」と感じるようになり、自然に避けることも珍しくありません。
チュールはほとんど噛まずに舐めるだけで食べられるため、老犬が楽に食べられるものとしてほかのフードには見向きもせず、チュールだけを食べるようになることもあります。
③内臓に不調があるから

老犬は、腎臓や肝臓、消化器などに不調を抱えやすく、食後に気持ち悪くなったり、胃もたれを起こしたりしやすくなります。
そのため、無意識のうちに「しっかり食べるとつらい」と感じるようになり、食後の不快感につながりやすい食事を避けることがあるのです。
④口の中にトラブルがあるから

歯周病や歯のぐらつき、歯の欠損など口の中にトラブルがあると、噛むことで痛みを感じやすくなります。
その結果、噛むことを避け、痛みが出にくい食べ方ができるチュールのような形状のものを食べたがることがあります。
⑤認知機能が低下したから

認知機能が低下すると、「食事=楽しいこと」という認識が弱くなったり、食事そのものに集中できなくなったりすることがあります。
また、新しいフードや食感の違うご飯を理解できず、戸惑って食べなくなることも珍しくありません。
こうしたことから、過去に何度も食べてきたチュールだけを「安心できるもの」として選び続ける場合も考えられます。
チュールしか食べない老犬にほかのご飯を食べてもらう対処法

老犬がチュールしか食べないことは、栄養バランスの崩れやエネルギー不足など健康リスクがあるため、ちゃんとご飯を食べてもらうことが大切です。
①獣医師に相談して療法食チュールにする

ずっとチュールだけしか食べてこなかった老犬では、ほかのご飯をまったく受け付けないということもあるかもしれません。
その場合は、獣医師に相談して、動物病院専用の療法食チュールに切り替えましょう。
療法食チュールにはさまざまな種類があるため、より愛犬の状態に合ったものを選んであげることができます。
ただし、療法食チュールはペットゴーなどの通販サイトでも購入できますが、必ず獣医師に相談してから購入してください。
基本的に療法食は病気の治療を補助するために栄養成分が調整されているため、自己判断で使用すると体調不良を招くことがあります。
②チュールをフードのトッピングにする
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チュールをフードのトッピングにしてみましょう。
最初はチュールたっぷり・フード少なめから始め、徐々にチュールの量を減らしてフードの量を増やすようにしていきます。
2週間くらいかけてチュールの量を減らしていくことで、自然にフードを食べやすくなります。
焦ると失敗するため、じっくりと取り組むようにしてください。
③ウェットフードを温める

ウェットフードを人肌程度に温めると、香りが立ちやすくなり、嗅覚が衰えた老犬でも興味を持ちやすくなります。
また、人肌程度の温かさにすることで、口当たりがやさしくなるため、口の中にトラブルがある場合でも食べやすくなるというメリットもあります。
冷たすぎ・加熱しすぎは歯にしみるため、人肌程度というのがポイントです。50~100gの量を電子レンジで温める目安としては、500Wで20秒弱くらいがいいでしょう。
④ウェットフードをペースト状にする
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ウェットフードと少量の水をミキサーにかけて、ペースト状にする方法も有効です。
特に高齢の老犬では、噛む力や飲み込む力が低下しているので、食べやすさにも配慮することができます。
チュールに近い食感にできるため、切り替えのハードルを下げることにも役立つでしょう。
ペースト状にした後は、人肌程度に温めることを忘れないでくださいね。
⑤食事環境を整えてあげる

老犬が少しでも食べやすいように、首の高さに合った食器台を使ったり、食事をする場所に滑りにくいマットを敷いてあげましょう。
老犬になると、筋力の低下や関節の変化により、首や腰、後ろ足に負担がかかりやすくなります。
そのため、長時間うつむいた姿勢を保ったり、立ったまま踏ん張ったりすることがつらくなることも少なくありません。
床に置いた食器で食べる場合、こうした負担が重なり、「食事そのものが苦痛」になってご飯を食べないということも多々ありますよ。
愛犬の胸の下あたりから前足の付け根付近の高さに食器のフチがくる位置。
立った状態で首を大きく曲げずに食べられる位置が理想。
老犬がチュールしか食べないときは動物病院を受診すべき?

老犬がチュールしか食べない状態が続く場合は、早めに動物病院を受診することをおすすめします。
老犬では、腎臓病や口腔トラブル、内臓の不調などが原因で食事内容が偏ることも少なくありません。
見た目では判断しにくいことも多いため、「様子見」より「確認」を優先したほうが安心です。
特に、
- 数日以上主食を食べない
- 体重が減ってきている
- 元気が落ちている
- 水をほとんど飲まない
といった場合は、緊急性が高くなるので早めに動物病院を受診してください。
まとめ

老犬がチュールしか食べないときは、食事内容や与え方、体調の変化を一度見直してみましょう。
つい少しでも食べてくれていることで、「食べているから大丈夫だろう」と思いたくなるのが飼い主心理ですが、体のどこかに不調が隠れている可能性も十分に考えられます。
自己判断で対応を続けるのではなく、必要に応じて獣医師に相談しながら、愛犬の状態に合った方法を選んであげてくださいね。













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