老犬がぐるぐる回るのはなぜ?左回り・右回りに隠れた病気とストレスのサイン

COLUMN

「老犬期に入った子が同じ場所をぐるぐると回っているけれど、どこか具合が悪いのかな……」
「なぜかいつも左回りにぐるぐる回るけど、何か原因があるのかな……」

夜中にトコトコと響く足音、暗闇の中で円を描き続ける愛犬の姿を見て、「脳の病気?」「認知症?」と不安を感じていませんか?

結論から言うと、老犬が左回り・右回りにぐるぐる回るという行動そのものよりも、「以前と比べて行動に変化が出ているか」が最重要ポイントです。

こうした旋回行動は、主に「認知症による徘徊」「前庭疾患などの耳や脳の病気」「不安やストレス」のいずれか、あるいは複数が重なって起きている可能性があります。

この記事では、JKC愛犬飼育管理士の私が、右回り・左回りにぐるぐる回る原因と今すぐできる安心ケアをわかりやすく解説します。

最後まで読んでいただければ、老犬期に入った愛犬のサインを正しく見極めるチェックポイントと、今日からできる具体的な環境対策がわかるでしょう!

老犬がぐるぐる回る理由|左回り・右回りに隠れた病気

老犬がぐるぐると回る「旋回行動」は、神経や前庭系の疾患、あるいは行動上の問題が関係しているケースが多いです。

左回り・右回りだけで判断せず、「急な変化」や「落ち着かない様子」がないかを見極めましょう。

老犬がぐるぐる回る方向よりパターンの変化が重要

老犬が左回り・右回りにぐるぐる回る行動だけで、病気を断定することはできません。

大切なのは、右か左かという向きよりも「以前と違う動きや偏りが出始めたか」という変化の有無です。

脳の機能低下によって、自分で方向を選べなくなっている可能性もあります。

【見逃さないでほしい「変化」のサイン】

  • 散歩中にいつも同じ方向(左や右)へ寄ってしまう
  • 以前はまっすぐ歩けていたのに急に円を描き始めた
  • 部屋の隅などの狭い場所に鼻先を突っ込んだまま固まる
  • 呼びかけても回るのをやめられずパニックになる

「お散歩中に左側に寄ってしまうな」と感じる些細な違和感こそ、愛犬が異変を抱えているサインです。

日々の何気ない歩行パターンを観察し、わずかなズレを見逃さないようにしましょう。

老犬が左回りや右回りに歩き続けるのは認知症のサイン【慢性的な変化】

シニア犬が一定の方向に歩き続けて止まらない場合、認知機能の低下を含む脳や耳の異常が疑われます。

加齢によって脳の神経細胞が減少すると、同じ場所を歩き続ける症状が現れやすくなるためです。

認知機能不全の特徴 具体的な様子
旋回 同じ場所をぐるぐる回り続ける
徘徊 目的もなく家の中をウロウロと歩き回る
夜間の活動増加 昼夜が逆転し、夜になると落ち着かずに歩き回る
障害物の回避不可 壁にぶつかっても方向転換ができず、鳴き続ける
呼びかけへの反応低下 名前を呼んでも気づかない、または回るのを止められない

脳内の情報伝達が滞ると同じ動作を繰り返し、その状態から抜け出せなくなります。

この状態の愛犬は、出口のない迷路に入り込んだような不安の中にいるため、ママさんパパさんの優しく見守る姿勢が欠かせません。

急な発症や頭の傾きを伴う場合は前庭疾患の可能性がある【緊急性が高い変化】

昨日まで元気に走っていた子が、突然ひどくふらついて回り始めたら、それは「前庭疾患」かもしれません。

耳の奥にあるバランスを司るセンサーが故障し、世界が激しく回転しているように感じてしまう病気です。

  • 首が常に片側に傾いている(斜頸)
  • 目が左右や上下に細かく揺れている(眼振)
  • まっすぐ歩けず、すぐにコロンと転んでしまう
  • 激しいめまいでパニックになり、嘔吐することもある

こうした症状は、内耳の炎症や脳幹の異常が原因で引き起こされます。

視界が180度ひっくり返ったような激しいめまいに襲われているため、愛犬は非常に強い恐怖心を抱いている可能性があります。

老化と決めつけず、早めに動物病院を受診しましょう。

老犬がぐるぐる回る際に落ち着かない原因とストレス対策

愛犬がソワソワと歩き回り、どこか落ち着かない様子を見せるのには理由があります。

シニア犬が抱える心理的なストレスとその対処法を知っておきましょう。

老犬が落ち着かない・ぐるぐる回る理由|脳の機能低下などに伴う不安や不快感のケースが多い

シニア犬が「落ち着かない」状態になるのは、周囲の状況が正しく把握できなくなるからです。

「ここはどこ?」「大好きなママさんはどこ?」という漠然とした恐怖が、ぐるぐる回るという行動につながっています。

ママさんパパさんにできる安心ケア 期待できる効果
体をゆっくり撫でてあげる 体の境界線を再認識させ、安心感を与える
低い声で優しく声をかける 聴覚を通じて「そばにいること」を伝える
お気に入りの毛布を与える 慣れ親しんだ匂いでリラックスさせる
抱っこして動きを止める 強制的に視界を固定し、パニックを鎮める

徘徊が始まった犬の多くは、ママさんパパさんの姿が見えなくなると不安が増大します。

脳の変化そのものを止めるのは難しいですが、心の安定を保つことで、激しい旋回行動を和らげられるでしょう。

視覚や聴覚の衰えがストレスになり旋回行動を助長する

老犬がぐるぐる回る行動は、病気だけでなく「強いストレス」が引き金になっていることも少なくありません。

目が見えにくくなり、耳が聞こえづらくなることは、老犬にとって想像を絶する精神的負担となります。

【感覚の衰えを補うストレス軽減法】

  • 視覚のサポート
    …部屋の照明を明るく保ち、影による恐怖を減らす
  • 聴覚のサポート
    …急な物音を避け、近づくときは床を叩くなど振動で伝える
  • 嗅覚のサポート
    …飼い主の匂いがついた服を寝床に置く
  • 空間の安定
    …家具の配置を変えず、予測可能な環境を作る

こうした感覚の遮断は、愛犬の精神をじわじわと削る深刻なダメージになりかねません。

不安からくる「落ち着かない様子」を少しでも減らせるよう、環境を整えてあげましょう。

今すぐ受診を考えた方がいいサインをチェックする

老化現象だと思って様子を見ていても、命に関わるサインを見逃してはいけません。

環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」でも、日頃の健康観察の重要性が強調されています(※)。

以下の項目に一つでも当てはまる場合は、早期受診が愛犬を守ります。

チェック項目 具体的な症状 緊急度
突然の発症 さっきまで普通だったのに、急に回り始めた 高(即受診)
目の揺れ 目が左右や上下に細かく揺れている(眼振)
歩行困難 足がもつれる、立てない、転倒を繰り返す
消化器症状 激しい嘔吐や、ごはんを全く食べない
意識の混濁 呼びかけに全く反応せず、虚空を見つめている 中〜高

これらの症状は自宅ケアだけで改善するのは困難です。

ママさんパパさんの「何かがおかしい」という直感を信じて、プロの診断を仰いでください。

※参考:環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」pdf, p.18

病院では回る様子を撮影した動画を見せると診断がスムーズ

診察室に入った途端、緊張して愛犬が動かなくなってしまうケースは珍しくありません。

正確な状況を伝えるためには、自宅での様子をスマートフォンで動画撮影しておくのが最も確実です。

  • 回っている方向(右か左か、あるいは不規則か)
  • 頭の傾き具合や目の揺れ(眼振)の有無
  • 足の運び方やつまずき方、壁への衝突具合
  • 回っている最中の表情や呼吸の様子

言葉で説明するよりも、15秒の動画の方が何倍も多くの情報を先生に伝えられます。

準備を整えて、獣医師と協力しながら病気に向き合っていきましょう。

ぐるぐる回る老犬の安全を守る|円形サークルや滑り止めマットの活用術

家の中を安全なシェルターに変えることで、愛犬もママさんパパさんも、もっと楽に毎日を過ごせるようになります。

円形サークルなら壁に激突せず安全に歩き回れる

左回りにぐるぐる回る動作が止まらない老犬にとって、部屋の隅や家具の隙間は非常に危険な場所となります。

四角形だと角で身動きが取れなくなる恐れがあるので、行き止まりがなくスムーズに歩ける「円形」のサークルを活用しましょう。

【円形サークルのメリット】

  • 壁にぶつかって動作が止まるストレスがない
  • 家具の隙間に鼻先が挟まる事故を未然に防げる
  • エンドレスに歩けるため、愛犬が運動欲求を満たせる
  • クッション素材なら、よろけても怪我をしにくい

挟まり事故の不安からママさんパパさんを解放してくれる、非常に心強いアイテムです。

既製品のソフトサークルなら設置も簡単で、使わないときは折りたたんで収納できる点も優れています。

滑り止めマットを敷いて転倒によるケガのストレスを防ぐ

足腰が弱った老犬にとって、フローリングの床は氷の上を歩くような恐怖を感じる場所です。

滑る床で旋回を続けると、関節を痛める恐れがあります。

マットの種類 メリット デメリット
吸着タイルマット 汚れた部分だけ洗えて衛生的 継ぎ目から尿が染み込む
大判コルクマット クッション性が高く足腰に優しい 爪を立てると削れやすい
防水シリコンシート 水を弾くので掃除が圧倒的に楽 夏場は少し熱がこもりやすい

リビングに滑り止めマットを敷き詰めれば、愛犬はしっかりと地面を蹴って歩けるようになり、歩く自信を取り戻すでしょう。

脳への刺激を意識して落ち着かない症状を緩和する

「老犬だから寝かせておこう」と思いがちですが、適度な刺激がないとかえって認知症は進行してしまいます。

  1. 知育玩具でおやつを探し、鼻と脳を活性化させる
  2. カートに乗って外出し、外の風や花の匂いを感じさせる
  3. 全身を優しくマッサージし、触れ合いによる安心感を与える
  4. 日光浴をして、生活リズム(体内時計)を整える

太陽の光を浴びることで幸せホルモンが分泌され、夜の安眠にも繋がります。

美味しいものを食べ、大好きなママさんパパさんと季節を感じる時間は、明日への生きる活力になるでしょう。

「様子を見よう」と思っている間にも、愛犬の不安は積み重なっていきます。

早めに動くことは、大げさでも過保護でもありません。

もし今、以下のように感じているなら、まずは自宅で回る様子を短い動画に撮ってみてください。

  • 回り方が急に変わった
  • 夜通し落ち着かない
  • 転びやすくなった

その上で、愛犬が安全に過ごせるよう、円形サークルや滑り止めマットなど環境対策を検討することが、今すぐできる最善の一歩です。

まとめ|老犬がぐるぐる回るサインに早めの受診と環境調整で応える

老犬がぐるぐる回る姿はショックかもしれませんが、それは愛犬からの「助けて」「不安だよ」という必死のメッセージです。

認知症や病気の可能性を考慮し、まずは早めに動物病院へ相談することをおすすめします。

それと同時に、家の中に円形サークルや滑り止めマットを取り入れ、愛犬が安心して歩ける環境を作ってあげましょう。

形は変わっても、ママさんパパさんの愛情は温かな手のひらを通じて、しっかりと愛犬に伝わっています。

まずは動画を撮るという一歩から、愛犬との穏やかな未来を守っていきませんか?

大場聖也

2,911 views

保有資格「JKC愛犬飼育管理士」。幼い頃から犬が大好きで、幼稚園の頃には犬の図鑑をボロボロになるまで読み込んでいた。 10歳のとき、不登校だった私を支えてく...

プロフィール

ピックアップ記事

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。