老犬によくある皮膚病の原因とは?対処法や受診の目安を獣医師が解説

COLUMN

老犬にはさまざまな皮膚のトラブルが起こります。

「最近、よく毛が抜ける」
「皮膚を頻繁にかゆがっている」
「若い時にはなかったフケが出てきた」

そんな愛犬の様子に気づいてはいませんか?

実はそれは、愛犬が皮膚病を起こしているサインかもしれません。

本記事では、老犬でよく起こる皮膚病の主な原因やその対処法、受診の目安、治療法まで獣医師がわかりやすく解説します。

最後までお読みいただき、老犬の皮膚病に関して理解を深めましょう。

老犬の皮膚病の症状

老犬に皮膚病が起こっている場合、どのような症状が見られるのでしょうか?

代表的な症状として、

  • 毛が抜ける(脱毛)
  • 皮膚を痒がる
  • 皮膚が赤くなる
  • フケやかさぶたが見られる
  • 被毛や皮膚がパサつく
  • 足先をよく舐める

といった様子が挙げられます。

これらの症状が老犬で見られた場合は、単なる皮膚病だけではなく、後述する基礎疾患のサインであることもあります。

気づいたときは早めに獣医師に相談することが大切です。

老犬の皮膚病にかかりやすい犬種

では、どのような犬種で皮膚病は起こりやすいのでしょうか?

以下に挙げる犬種は、一般的に皮膚病が起こりやすいと言われています。

  • 柴犬
  • フレンチブルドッグ
  • シーズー
  • ゴールデン・レトリバー
  • ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア
  • アメリカン・コッカー・スパニエル

これらの犬種は、日頃からこまめに皮膚をチェックし、異常がないか確認してあげましょう。

老犬に皮膚病が起こる主な原因

では、なぜ老犬で皮膚病が起きてしまうのでしょうか?

老犬では、加齢による免疫力や皮膚のコンディションの変化、アレルギー、ホルモンの病気など、さまざまな原因で皮膚病が起こります。

それぞれを詳しく見ていきましょう。

①皮膚のバリア機能低下

高齢になると皮膚が乾燥しやすくなったり、免疫力が低下したりして、皮膚のバリア機能が低下すると言われています。

その結果、皮膚に細菌や真菌といった病原体が侵入しやすくなるため、皮膚病が起こりやすくなります。

②不適切な環境

夏になり高温多湿になると、皮膚で細菌が繁殖しやすくなり、皮膚病が起こりやすくなります。

また、冬になり皮膚が乾燥することで、皮膚病が起こることも少なくありません。

このような環境の変化に対して、若い頃は問題がなくても、年齢を重ねると今まで見られなかった皮膚病が起こる場合も多いです。

さらに、老犬になるとおむつを使用する機会が増加します。

おむつを長時間着けていることで陰部が蒸れ、皮膚病が起こりやすくなるというケースも、よくある原因のひとつです。

③アレルギー反応

犬のアレルギー性皮膚炎には、大きく分けて「食物アレルギー」と「アトピー性皮膚炎」があります。

なかでも食物アレルギーは、食べ物(フード)に含まれるたんぱく質や炭水化物源がアレルゲンとなり、皮膚のかゆみや炎症、下痢、嘔吐などの症状を起こす病気です。

食物アレルギーは高齢になってから発症することがあるといわれており、今まで食べてきた食材であってもアレルゲンとなることがあります。

※アトピー性皮膚炎とは?

犬のアトピー性皮膚炎は、「遺伝的素因を有した、痒みを伴うT細胞主体の炎症性皮膚疾患であり、皮膚バリア異常、アレルゲン感作、細菌叢の乱れの相互作用が関与する」疾患と定義されています。
簡単に言うと、ダニやノミ、植物、カビなど、環境中に存在するさまざまなアレルゲンに対してアレルギー反応が起こり、皮膚にかゆみや炎症が起きる病気です。
一般的に1~3歳頃の若い年齢での発症が多く、症状はアレルゲンが多い春から秋にかけて悪化し、冬は落ち着く傾向があり、食物アレルギーとはやや異なる傾向が見られます。

④感染症

年齢とともに皮膚バリア機能が低下すると、皮膚に常在する細菌や真菌が過剰に増えたり、他の動物が持つ寄生虫に感染したりすることがあります

具体的な例としては、

  • ノミ
  • マダニ
  • 疥癬(ヒゼンダニ)
  • 毛包虫(ニキビダニ)
  • 皮膚糸状菌
  • マラセチア
  • ブドウ球菌(膿皮症)

などが挙げられます。

⑤内分泌疾患(ホルモンの病気)

老犬では、内臓の病気としてホルモンに関係した病気がよく起こります。

具体的な例として、

  • 甲状腺機能低下症
  • 副腎皮質機能亢進症
  • 性ホルモン異常
  • 糖尿病

などが挙げられます。

なかでも、副腎皮質機能亢進症は通称「クッシング症候群」と呼ばれる病気で、皮膚での感染や脱毛が起こりやすくなる病気です。

一見、単なる皮膚だけのトラブルに見える皮膚病ですが、このように内臓の病気が背景に隠れていることがあるので、注意が必要です。

老犬の皮膚病で動物病院を受診するタイミング

ここまでは、老犬で起きる皮膚病の症状や原因について解説しました。

では、実際に皮膚病が疑われる場合、どのような様子が見られたら動物病院を受診するべきなのでしょうか?

具体的な例として、

  • 皮膚の赤みが広範囲である
  • かゆみが強い
  • 脱毛が進行している
  • よく水を飲むようになった
  • 嘔吐や下痢をしている
  • 体が冷たく感じる

といった様子が挙げられます。

これらの症状が認められた場合は、皮膚だけのトラブルではなく、前述の基礎疾患が隠れている可能性が高まりますので注意が必要です。

老犬の皮膚病の主な治療法

では、動物病院を受診したあとは、どのような方法で皮膚病の治療が行われるのでしょうか?

よく行われる治療法の例としては、

  • 抗生剤
  • 抗真菌薬
  • かゆみ止め
  • アレルギー用の療法食
  • サプリメント
  • スキンケアの指導

などが挙げられます。

皮膚病の状態により、これらを組み合わせて治療が行われることが一般的です。

老犬の皮膚病に対する対処法

では、実際に愛犬の皮膚トラブルに気づいた場合、自宅ではどのような対処ができるのでしょうか?

それぞれを詳しく見ていきましょう。

①適切なスキンケア

老犬の皮膚は乾燥しやすいので、シャンプーは保湿力の高いシャンプー剤を使用し、1か月に1回を目安に定期的に行ってあげましょう。

洗いすぎや洗浄力の強いシャンプーは皮脂を過剰に奪い、皮膚バリア機能の低下につながる可能性があるため、注意が必要です。

②栄養で皮膚を内側からサポート

老犬の皮膚の健康には、

  • オメガ3脂肪酸(DHA / EPA)
  • ビタミンE
  • 亜鉛
  • プロテオグリカン

といった栄養素が重要といわれています。

ドッグフードから補えない分はサプリメントを活用することも選択肢の一つです。

ただし、持病がある老犬の場合は獣医師に相談してから使用する方が安全です。

③環境管理

夏は湿度や気温が高くなるため、蒸れやすい部位(脇、内股、耳の裏など)は清潔に保つことが大切です。

涼しい室内環境を作り、毛が長い部位は短めにカットして通気性を向上させましょう。

また、おむつを使用している場合は、可能な限り短い時間で使用するよう心がけましょう

冬は加湿器を使用し、湿度を適切に保つことも重要です。

まとめ|老犬の皮膚病に様子見は危険

今回は、老犬で起こる皮膚病におけるよくある症状や原因、受診すべきタイミング、対処法などを解説しました。

老犬の皮膚病ではさまざまな原因が隠れていることが多いため、正しい原因の特定が重要となります。

放置すると、皮膚だけではなく全身のトラブルへと発展してしまう可能性もあるため、早めに動物病院を受診するよう心がけましょう。

また、皮膚病を繰り返す場合や、ふけや乾燥が気になり始めた場合は、自宅でのスキンケアの見直しやサプリメントの使用を検討するタイミングかもしれません。

本記事を参考にしていただき、愛犬の皮膚の健康をサポートしてあげてはいかがでしょうか?

浅川 雅清

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2016年日本大学生物資源科学部獣医学科卒。 同年よりペットショップ併設の動物病院にて勤務。 犬・猫・うさぎ・ハムスターの診察を中心に、ペットショップの生体...

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