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シニア犬(老犬)にプリンはダメ?与え方や量と注意点を専門家が解説

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「糖分が含まれているから犬に人間用プリンはダメ」
「ほかのものを食べなくなってしまうから与えない方が良い」

そんな情報を見聞きしたことがあるのではないでしょうか。しかし、シニア犬の場合は、必ずしもそうとは限りません。

食欲が落ちたシニア犬や介護期の犬では、人間用のプリンを少量与えることが役立つこともあります

実際、私も食べなくなってしまった17歳・18歳の愛犬にプリンを食べてもらうこともありました。

もちろん、人間用のプリンは与え方や目的を間違えると肥満の原因になるため、正しく活用することが大切です。

この記事では、犬の管理栄養士や動物介護士の私が、シニア犬のプリンの与え方や注意点を解説します。

【結論】シニア犬がプリンを食べても大丈夫!ただし与え方には注意が必要

結論から言うと、シニア犬がプリン(人間用も含めて)を食べても基本的には問題ありません

犬は人間よりも味蕾(味を感じる器官)の数が少ないため味に鈍感ですが、甘みを感じる受容体が反応しやすく、甘いものを好む傾向にあります。

そのため、プリンはシニア犬のサポートに使いやすいのです。

もともとプリンは卵と乳、砂糖で作られており、犬に中毒性のある食品ではありません

一般的に、子犬や成犬に人間用プリンがダメと言われているのは、プリンが糖分を多く含み、日常的に与えると肥満や栄養バランスの乱れにつながりやすいからです。

プリンはあくまでも補助的なものということを守れば、上手に活用できる食品ですよ!

シニア犬がプリンを食べるメリット4つ

シニア犬は、年齢とともに食事や体の状態が変化します。

食欲が落ちたり、噛む力や飲み込む力が弱くなったりすることで、これまで通りの食事が難しくなることも少なくありません。

だからこそ、プリンがシニア犬のサポートに役立つことがあります。

①食べるスイッチをいれるきっかけなる
②水分補給にも役立つ
③投薬のサポートに活用できる
④QOLのサポートになる

ここでそれぞれを詳しく見ていきましょう。

①食べるスイッチをいれるきっかけなる

食欲が落ちたシニア犬でも、プリンがきっかけで食事を始められることがあります。

シニア期になると、噛む力や飲み込む力の低下、体調の変化、気分のムラなどからフードを口にしなくなる犬も少なくありません。

プリンは甘みがあり、なめらかな食感のため刺激になりやすく、最初の一口として受け入れられやすいでしょう。

②水分補給にも役立つ

プリンは、水をあまり飲まなくなったシニア犬の水分摂取を補助してあげられる場合があります。

高齢になると、体内の水分調節機能や喉の渇きを感じる感覚が低下し、水を飲む量が減ってしまうことも珍しくありません。

プリンは水分を多く含むため、無理なく水分を摂ってもらうことができるでしょう。

③投薬のサポートに活用できる

プリンを投薬のサポートに使うことも可能です。

シニア犬になると薬やサプリメントを嫌がることも増え、なかなか飲んでもらえないということもよくありますよね。

錠剤系だとうまく吐き出してしまう器用な子もいますが、プリンの甘くなめらかな食感に意識が向いて、そのまま飲み込んでくれる場合もあります。

④QOLのサポートになる

シニア犬では、食べること自体が生活の質(QOL)に直結します。

高齢になると、持病や体調、気分などでフードを受けつけなくなったり、食べる動作自体が大変で食事の時間そのものが負担になることもあります。

そうした中で、少量でも「食べたい」と感じるものを取り入れることは、満足感や気分転換につなげてあげられるでしょう。

シニア犬が食べてもいいプリンの目安量

基本的には、プリンは愛犬が1日に必要なカロリーの10%程度(多くても20%以内)の量にとどめましょう

そのカロリー分のフードを減らすことも忘れないでくださいね。

代表的なプリンの場合で、1日にどれくらいの量を与えていいのかをまとめてみました。

体重 1日の量目安
※カロリーの10%の場合
2kg 約12g
3kg 約17g
4kg 約21g
5kg 約25g
6kg 約28g
7kg 約32g
8kg 約35g
9kg 約38g
10kg 約41g
15kg 約56g
20kg 約70g

※プッチンプリン・100gあたり約133kcalで計算
※プッチンプリン1個は67g・約89kcal

上記を目安に、愛犬の体調や便の状態などを見ながら調整してください。

ただし、これはあくまで一般的な目安です。

高齢期や終末期でほとんど食事がとれない状態では、量よりも「口にできるものを優先する」判断が必要になることもあります

そうした場合には、プリンを少量ずつ与える選択が取られることもあり、一概に量で線を引けるものではありません。

シニア犬にプリンを与えるときの注意点3つ

プリンはシニア犬のサポートに役立てることができますが、以下のように注意してあげなければいけないこともあります。

①食物アレルギーに注意する
②原材料を確認してプリンを選ぶ
③糖尿病や膵炎など持病がある犬は獣医師に確認してから与える

ここで詳しく見ておきましょう。

①食物アレルギーに注意する

シニア犬に初めてプリンを与えるときは少量にとどめ、その後48時間程度は体調に変化がないか様子を観察してあげましょう。

  • 皮膚の赤みやかゆみ
  • 目の周りや口の周り、耳をかゆがる
  • 足先を執拗に舐めたりかじる
  • 下痢や軟便、便の回数が増える
  • 嘔吐

プリンの原材料は卵や乳製品なので、犬の体質によっては食物アレルギーを起こすことがあります。

もちろん、どんな食材にもアレルゲン(タンパク質)は含まれており、プリンに限らず野菜や果物であっても可能性はゼロではありません。

特にシニア犬になると若い頃よりも反応が出やすくなりやすいため、どんなものでも食べた後に症状が出ないか観察するクセをつけておくと良いでしょう。

②原材料を確認してプリンを選ぶ

プリンによっては、犬が食べてはいけないものを使用していることもあるため、原材料を確認して選びましょう。

たとえば、通常のプリンやかぼちゃプリンなどであれば問題はありませんが、チョコレートやココア、コーヒーなどが含まれたプリンはNGです。

【犬が食べてはいけないもの】

  • ネギ類(玉ねぎ、長ネギなど)
  • ぶどう
  • チョコレート
  • ココア
  • コーヒー、紅茶、抹茶
  • キシリトール

これらは中毒症状を起こしたり、体調に影響を及ぼす可能性があります。

上記のものが含まれていないか、確認してくださいね。

③糖尿病や膵炎など持病がある犬は獣医師に確認してから与える

プリンには糖質や脂質が含まれるため、特に糖尿病や膵炎などの持病があるシニア犬は獣医師に確認してから与えた方が安心です。

もちろん、プリンに含まれる脂質は特別高いわけではありません。

しかし、膵炎の犬では状態によっては少量でも影響する可能性があります。

そのため、自己判断せずにかかりつけの獣医師に相談しましょう。

人間用プリンが心配な場合は手作りプリンがおすすめ!

人間用プリンが心配な場合は、犬用プリンや手作りするという選択肢があります。

ただ、犬用プリンは健康な犬の普段のおやつとして作られているため、食欲が落ちたシニア犬では食べてもらえない可能性も否定できません。

そのため、ママさんパパさん自身で甘みの種類や量を調整できる手作りプリンのほうがおすすめです。

シニア犬向け手作りプリンレシピ

【材料】

  • 卵…1個
  • ヤギミルクや豆乳…100mⅼ
  • てんさい糖やオリゴ糖…小さじ1/2程度
【作り方】

  1. ボウルに卵を割り入れ、白身を切るように静かに溶く。
  2. ヤギミルク・無調整豆乳のいずれかと、てんさい糖やオリゴ糖を加えてよく混ぜる。
  3. ザルやこし器でこし、泡やダマを取り除く。( なめらかに仕上がるポイント)
  4. 深さのある耐熱容器に入れる。
  5. フライパンや鍋に布巾を敷き、容器を置く。容器の半分くらいの高さまでお湯を張り、フタをする。
  6. 弱火で10〜12分蒸す。
  7. 中央がゆるく揺れる程度で火を止める。余熱で固まるので、固めすぎないのがコツ。
  8. 粗熱を取り、必要に応じて冷蔵庫で少し冷やして完成。
そんなに難しくはないので、試してみてくださいね。

まとめ

プリンは万能な食べものではありませんが、シニア犬にとっては役立つ食品です。

シニア犬と暮らしていると、「一般的に」「これまで通り」で判断できない場面も増えてきますよね。

シニア犬の場合は、一律でダメと決めつけるのではなく、そのときの状態や目的に合わせて考えてあげることが大切です。

シニア犬にとって、「食べる」ということはとても大切なこと。

愛犬が無理なく食べられるものを上手に活用してあげてくださいね。

たかだ なつき(高田菜月)

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4匹の愛犬と暮らすペット専門ライター×ペットの専門家。長年人間の介護に携わっていたが、愛犬の介護をきっかけにペットライターに転身。犬の飼育歴は20年以上。こ...

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