【シニア犬が下痢を繰り返す】加齢による原因と今すぐ見直すべき食事内容
シニア犬が何度も下痢を繰り返すようになり、「もしかして病気なのでは……」「このままじゃ体力まで落ちちゃう」と不安に思っていませんか?
私も、老犬になった愛犬が急に体調を崩す姿を見て、胸が締め付けられる思いをしました。
実は、シニア犬の下痢は、加齢による消化機能の低下や、ストレス、食事の変化など、複数の要因が絡み合って起こることがほとんどです。
長引く下痢は愛犬の生活の質を大きく下げますが、原因を知って適切な食事とケアを始めれば、症状を落ち着かせ、再び活き活きとした生活を取り戻せます。
この記事では、シニア犬が下痢を繰り返す原因を徹底解説し、自宅でできる食事の見直し方法をご紹介します。
愛犬の健康を確かな知識で守り、残りの時間を穏やかに過ごす未来を掴みましょう。
シニア犬が下痢を繰り返す原因
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シニア犬が下痢を繰り返す場合、原因の一つとして挙げられるのが加齢に伴う体の機能低下です。
特に消化吸収能力と免疫力は老化とともに衰え、日々の小さなストレスや環境変化がお腹のトラブルとして表面化します。
まずは、愛犬の下痢の裏に隠れている原因をしっかりと理解しましょう。
- 下痢の原因1:老犬になり消化機能が低下した
- 下痢の原因2:フードを急に変更した
- 下痢の原因3:感染症や内臓疾患にかかっている
- 下痢の原因4:ストレスや環境変化が加わった
ここで詳しく解説していきます。
下痢の原因1:老犬になり消化機能が低下した

加齢により胃液や消化酵素の分泌が減り、胃腸の運動能力も衰えます。
そのため、若い頃と同じように脂肪分の多い食事や消化に時間がかかる食事を与え続けると、未消化物が腸内に残り、浸透圧性の下痢(水分を過剰に引き込む下痢)を引き起こしてしまうのです。
【消化機能低下による下痢のメカニズム】
- 消化酵素の減少: 脂肪や繊維の消化が追いつかない。
- 腸内浸透圧の上昇: 未消化物が水分を過剰に引き込む。
- 結果:便が緩くなり下痢を繰り返す。
特に高脂肪のフードは、老犬のデリケートな腸内環境のバランスを崩す大きな要因になります。
「体力をつけさせたいから」と高カロリーな食事を与えるのは、逆効果になってしまうこともあるため注意が必要です。
下痢の原因2:フードを急に変更した
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ドッグフードやおやつを急に変えることも、シニア犬が下痢を繰り返す原因の代表的な一つです。
新しい食事に含まれる成分に対して腸内細菌叢(腸内フローラ)が対応しきれず、腸の動きが乱れて下痢となってしまいます。
フードを切り替える際は焦らず、従来のフードに新しいフードを少しずつ混ぜて、1週間~10日程度の時間をかけてゆっくりと割合を増やすようにしましょう。
このように、徐々に切り替えていけば、腸の動きを乱す心配がないので、下痢になるリスクも軽減できます。
下痢の原因3:感染症や内臓疾患にかかっている

シニア犬の下痢が長期的に繰り返す場合や、急に重い症状が出た場合は、病気が原因である可能性が高まります。
老犬は免疫力が低下しているため、細菌やウイルス、寄生虫による感染症にかかりやすくなります。
また、肝臓、腎臓、膵臓の病気や消化管の腫瘍など、深刻な基礎疾患が下痢となって現れることもあります。
【病気が原因となる下痢の例】
| 分類 | 例 |
| 感染症 | 細菌、ウイルス、寄生虫(ジアルジア、犬回虫など) |
| 内臓疾患 | 膵炎、肝不全、腎不全 |
| 腫瘍 | 消化管型リンパ腫、腺がん |
「タール状の黒っぽい下痢が出た」といった場合は、自己判断せずにすぐに動物病院へ連れて行きましょう。
下痢の原因4:ストレスや環境変化が加わった

愛犬の心理的なストレスも、下痢を繰り返す原因の一つです。
シニア犬は環境変化への適応力が低く、ママさん、パパさんの長期不在や騒音などで強いストレスを感じるケースがあります。
強いストレスは自律神経の乱れを引き起こし、腸の動きが不安定になり、消化吸収がうまくいかずに下痢となってしまうのです。
老犬になっても、優しくマッサージをしてあげたり、温かい食事を一緒に楽しんだりといった触れ合いの時間は欠かさずに確保しましょう。
シニア犬の危険な下痢の症状と受診の目安

「ただの下痢だろう」と軽く見ていると、手遅れになることがあります。
シニア犬の繰り返す下痢は、体力を急激に奪い、重篤な病気の進行を早めることにつながりかねません。
すぐに病院へ連れて行くべきか判断できるように、危険な症状と受診の目安をまとめました。
嘔吐や血便を伴う場合はすぐ受診が必要

下痢とともに嘔吐がある場合、脱水症状が急速に進行する可能性があり、非常に危険です。
また、便に鮮やかな赤い血(鮮血便)や、真っ黒でタール状の血(黒色便)が混ざっている場合は、消化管内の深刻な炎症や出血が原因と考えられます。
【危険度の高い症状】
| 症状 | 危険度 |
| 下痢+嘔吐 | 高 |
| 黒色便(タール状) | 極高 |
| 鮮血便(赤い血) | 中~高 |
命に関わる病気が潜んでいる可能性があるので、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
食欲不振や体重減少は病気のサイン
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シニア犬が下痢を繰り返すだけでなく、食事に興味を示さなくなったり、体重が明らかに減少し始めたりした場合は、慢性的な病気が潜んでいる可能性が高いです。
特に、膵外分泌不全や炎症性腸疾患(IBD)、消化管腫瘍などの病気が考えられます。
「抱っこすると前より軽くなった気がする」と感じたら、すぐに動物病院で精密検査を受けましょう。
自己判断で様子を見ようとするのは避け、早めに専門家の力を借りることが大切です。
下痢が48時間以上続く場合や再発時は動物病院へ

一般的に、食事や環境が原因の一過性の下痢であれば、48時間程度で回復に向かいます。
そのため、シニア犬の下痢が48時間以上続く、または頻繁に再発する場合は、慢性的な疾患が背景にある可能性があります。
「いつもと様子が違うな」と感じたら、便を持ってすぐに動物病院を受診しましょう。
また、48時間以上経過していなくても、「元気消失・食欲低下・脱水傾向」などの症状が出ている場合は獣医師に相談してください。
愛犬の命を守る最も重要な行動です。
シニア犬の下痢対策!今すぐ見直したい食事内容

シニア犬の下痢を抑えるには、消化機能の低下に合わせた食事への切り替えが最も効果的な対策です。
続いては、下痢を繰り返すシニア犬にピッタリの食事内容について解説します。
低脂肪・高消化性の老犬用フードを選択

シニア犬が下痢を繰り返す原因の多くは、消化しきれない脂肪分による腸への負担です。そのため、食事は「低脂肪」で「高消化性」なフード選びが重要です。
老犬専用の総合栄養食には、上記2つの要素が適切に調整されたものが多く販売されています。
【低脂肪・高消化性フードを選ぶメリット】
- 栄養がしっかり吸収され、活き活きとした体力がつく
- お腹が常に快適で、不安な表情がなくなる
- 便が安定し、排泄後の片付けも楽になる
また、ウェットフードやふやかし食事など、水分を含む柔らかい食事を選ぶことも消化を助けます。
ただ、すべての老犬が低脂肪を必要とするわけではなく、痩せている老犬や高齢でも活動的で栄養が必要な場合には高カロリーな食事が必要な場合もあります。
かかりつけの獣医師と相談したうえで食事内容を決めましょう。
酸化・腐敗したフードは食中毒の原因

見落としがちな下痢の原因の一つが、ドライフードの保存状態です。
開封後のドライフードは、空気に触れることで酸化が進み、品質が劣化します。
劣化したフードは消化不良や食中毒を引き起こし、シニア犬の下痢に繋がることもあるのです。
【フードの適切な管理方法】
- 密閉保存
…開封後は密閉容器に入れ、空気に触れさせない - 冷暗所
…高温多湿を避け、涼しい場所に保管 - 期限の目安
…早めに使い切る(一般的には開封後2〜4週間以内が目安)/異臭や変色があれば廃棄する
酸化したフードの摂取は、愛犬の健康を害する原因となります。常に新鮮な食事を与えるよう心がけましょう。
ちなみに、冷蔵庫で保存すると冷蔵庫内部と外の温度差によって結露ができ、カビが発生する原因になります。フードは直射日光が当たらない室内で、常温にて保存しましょう。
アレルギー対応食を獣医師と検討

食材に含まれるタンパク質がアレルゲンとなり、シニア犬に慢性的な下痢を引き起こしている場合があります。この場合、通常の食事対策では改善が見込めません。
もし愛犬が、特定の食材を食べると下痢になったり、皮膚炎や痒みも繰り返す症状があるなら、食物アレルギーの可能性も疑ってみましょう。
動物病院でアレルギー検査を行い、その結果に基づいて「アレルギー対応食(加水分解食など)」を処方してもらえます。
【アレルギー対応食のメリット・デメリット】
| メリット | デメリット |
| 原因となるアレルゲンを回避 | 食事の選択肢が狭くなる |
| 慢性的な下痢と炎症を抑制 | 費用が市販フードより高くなる場合がある |
| 腸粘膜の回復を促進 | 処方食のため獣医師の許可が必要 |
アレルギー対応食への切り替えは、愛犬の下痢体質を根本から改善する大きな一歩となるでしょう。
下痢を繰り返すシニア犬の健康を守る飼育環境と衛生管理

シニア犬の下痢対策は、食事だけでなく、日々の環境管理と衛生管理も重要です。
「環境省のガイドライン」にもあるように、適切な飼養環境を整えることは飼い主の責任です。
ここからは、具体的な管理について解説します。
適切な温湿度管理で体調変化を予防

老犬は体温調節機能が衰えており、特に「冷え」はお腹の調子を崩し、下痢の原因になることがあります。
夏場のクーラーによる冷えすぎや、冬場の床からの冷気は厳禁です。
床には厚手のカーペットやマットを敷いたり、冬場はペット用のヒーターを用意したりするなど、あなたが快適だと感じる温湿度を愛犬にも提供してあげましょう。
寄生虫対策やワクチン接種は継続

シニア犬の下痢の原因が、寄生虫やウイルスによる感染症であることは少なくありません。
免疫力が低下している老犬は、若犬以上に感染症のリスクに注意が必要です。
獣医師会でも、高齢犬であっても定期的な健康チェック、ワクチン接種、そして寄生虫対策は継続することが強く推奨されています。
【予防処置の重要性】
- ワクチン接種: 重篤なウイルス感染症の予防
- 寄生虫対策: 腸内の寄生虫による下痢の予防
- 定期健診: 慢性疾患の早期発見
これらの予防措置は重い病気を避け、愛犬を苦痛から守るための「お守り」です。
まとめ|シニア犬の長引く下痢には原因特定と適切なケアが大切

シニア犬が下痢を繰り返す原因の多くは、加齢による消化機能の低下、そして環境や食事の変化によるものです。
今すぐできることは、食事を低脂肪で高消化性のものに見直し、愛犬の生活環境をストレスや冷えから守ること。
しかし、以下の危険な症状が見られた場合は、単なる食事の問題ではなく、内臓疾患などの病気が原因である可能性があります。
- 下痢が3日以上続く
- 嘔吐や血便がある
- 食欲不振や体重減少がある
一人で悩まず、便の様子を記録したメモや便を持って、すぐに動物病院を受診することが、愛犬の命を守るための最も重要な行動です。
優しいケアと専門家のサポートがあれば、愛犬はきっと元気を取り戻し、穏やかな時間を一緒に過ごせるでしょう。


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