シニア犬の分離不安の原因とは?症状の見分け方と自宅でできるケア方法
「昔は平気でお留守番できていたのに、どうして急に吠えるようになったんだろう……」
仕事や買い物に出かけようとすると、愛犬が悲痛な声で吠えたり、部屋を荒らしたりして困っていませんか?
シニア期に入ってからの分離不安は、単なるわがままや甘えではありません。
実は、目や耳の衰え、脳の老化といった体の変化が、愛犬が不安や恐怖を感じる原因になっている可能性が高いのです。
この記事では、シニア犬が分離不安になる4つの原因や認知症との見分け方、そして自宅でできる対処法について解説します。
シニア犬の分離不安が発症する主な4つの原因
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若い頃は平気で留守番できていた愛犬が、シニア期に入って急に寂しがるようになるケースは少なくありません。
「わがままになった」「性格が変わった」と感じるかもしれませんが、背景には老化による変化が関わっている可能性があります。
ここでは、シニア犬が分離不安を発症するきっかけとなる4つの主な原因について見ていきましょう。
原因①視力・聴力の低下による不安と恐怖

高齢になると、目や耳の機能が少しずつ衰えていきます。
視力や聴力が低下すると、周囲の状況を正確に把握できなくなるため、不安を抱える犬が多くいます。
たとえば視力が落ちると、少し部屋が薄暗いだけで「真っ暗闇にひとりぼっち」という恐怖を感じやすいでしょう。
また、耳が遠い場合は、ママさんパパさんの足音や生活音が届かず、いつもの気配を感じ取ることができません。
そのため、ママさんパパさんが視界から消えるだけで、突然ひとりにさせられたと感じ、吠えたり走りまわったりする場合があります。
原因②加齢による脳機能の低下

脳の老化も分離不安を引き起こす原因です。
犬は年齢を重ねると、不安や恐怖を「大丈夫」と自分で落ち着かせる力が弱くなります。
そのため、若い頃なら我慢できていた留守番中の不安を、強く感じやすくなるのです。
また、シニア犬は、脳の老化によって我慢する力が弱まるとされています。
若い頃なら「待っていれば帰ってくる」と我慢できていた寂しさを、我慢する力が弱まることで抑えきれず、パニックを起こしてしまうのです。
これらは性格の問題ではなく、脳の変化によって引き起こされる症状です。
叱っても改善するものではないため、病気の一部として理解する必要があります。
原因③体の不自由さ

足腰が弱り、思うように体を動かせなくなる状態は、ママさんパパさんへの精神的な依存を強める原因になります。
関節の痛みや筋力の低下により、素早い行動ができなくなった犬は、自身の身が守れないと感じます。
その結果、いつもお世話をしてくれて信頼しているママさんパパさんのそばが安全だと思うようになるのです。
頼れる存在がいなくなる留守番は、シニア犬にとって不安や恐怖を感じる原因になるといえます。
原因④引っ越し・家族構成の変化などのストレス
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シニア犬は適応能力が低下しているため、環境の変化にうまく順応できません。
若い犬ならすぐに慣れるような引っ越しや部屋の模様替えなどの変化でも、老犬にとっては過度な負担となります。
変化に適応できない犬は強い不安や恐怖心を感じ、もっとも身近なママさんパパさんに依存する可能性が高くなります。
住み慣れた環境の変化は、愛犬にとって「自分を守ってくれる安全な場所」が消えてしまうのと同じです。
そのため、ママさんパパさんがいない状態はより不安や恐怖を感じ、吠えたり走りまわったりなどの問題行動につながります。
これってシニア犬の分離不安?症状と行動の見分け方

愛犬の様子がおかしいと感じても、それが分離不安なのかほかの病気が原因なのか判断に迷う場合があります。
正しい対処をするためには、留守番中に愛犬が問題行動を起こす原因を見極めなければなりません。
ここでは、分離不安特有のサインと、ほかの病気が原因のケースについて解説します。
シニア犬の分離不安でよく見られる行動

シニア犬の分離不安は若い頃よりも、パニックに近い状態で必死にママさんパパさんを探すのが特徴です。
留守番中だけでなく、ママさんパパさんが別室に移動したり留守番の気配を察知したりするだけでも落ち着きを失う場合があります。
シニア犬の分離不安のよく見られる行動は、以下のとおりです。
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上記のような行動は、恐怖から必死に逃れようとしていて、愛犬自身も苦しんでいる状態です。
分離不安と認知症の症状の違い

分離不安とよく似た症状を示す病気に「認知症」があります。
どちらも夜泣きや無駄吠えが見られますが、発生するタイミングに違いがあります。
分離不安は、ママさんパパさんがいないときに症状が強く出るのが特徴です。
一方で、認知症の場合はママさんパパさんの有無に関係なく、昼夜を問わず異常行動が見られます。
それぞれの特徴を比較して、愛犬の行動がどちらに当てはまるか確認しましょう。
| 項目 | 分離不安の特徴 | 認知症の特徴 |
| 症状が出るタイミング | ママさんパパさんの不在時や留守番中 | 昼夜や人の有無を問わない |
| ママさんパパさんへの反応 | 帰宅すると大喜びする | ママさんパパさんを認識できず無反応 |
| 吠え方 | 悲痛な声で呼び続ける | 単調なリズムで鳴き続ける |
両方を併発しているケースもあるため、獣医師に相談してみてください。
病気や体の痛みが原因のケース
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精神的な不安ではなく、身体的な苦痛が原因でママさんパパさんがいないときに、分離不安のような症状が見られる場合もあります。
たとえば、関節炎やヘルニアの痛みが原因で「横になりたくてもなれない」ために、落ち着きなくウロウロしているのかもしれません。
また、留守番中にトイレを失敗するのも、不安だからではなく腎臓病などのサインである可能性もあります。
分離不安を疑う際には、まずは動物病院で健康診断を受けてみましょう。
痛みが取り除かれるだけで、嘘のように穏やかさを取り戻す場合もあります。
シニア犬の分離不安を落ち着かせる基本的な5つの対処法

シニア犬の分離不安は、厳しくしつけて治るものではありません。
老化による不安や孤独感が原因であることが多く、心に寄り添うケアが求められます。
ここからは、愛犬の恐怖心を和らげるために効果的な対策を5つ解説します。
①留守番前後の接し方を見直す

外出時と帰宅時の挨拶は、分離不安を悪化させる原因になります。
「行ってくるね」と声をかけたり、帰宅直後に抱きしめたりすると、留守番が特別なことというイメージを持ってしまい、不安や恐怖心が大きくなります。
留守番を当たり前と認識してもらうように、以下のポイントを意識してください。
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淡々とした態度をとると、「留守番は怖いことではない」と愛犬に伝わるでしょう。
②安心できる居場所を作る

犬は本来、狭くて暗い場所を安全な寝床として好む習性があります。
部屋全体を自由に移動できる状態は、縄張りとして守る範囲が広すぎて逆に落ち着きません。
そのため、愛犬がくつろげるような専用のクレートやサークルの用意をおすすめします。
また、警戒心が強い犬の場合は、ハウスの周りを布で覆い、外の景色や通行人が見えないようにすると警戒心が解けてリラックスできます。
安心できる寝床があれば、ママさんパパさんがいなくても恐怖を感じにくくなるでしょう。
③ママさんパパさんのニオイが付いたものを活用する

視力や聴力が衰えたシニア犬にとって、大好きなママさんパパさんのニオイは、恐怖心を和らげてくれます。
群れで生活していた犬にとって、仲間のニオイに包まれている状態は「ここは安全だ」という本能的な安らぎにつながります。
パジャマやタオルなどを用意するときは、洗濯したての清潔なものではなく、数日間使用したもののほうが効果的です。
古い衣類を捨てる前に、愛犬の不安解消グッズとして活用してみましょう。
④音や光を使って孤独感を軽減する

静まり返った部屋は、愛犬の孤独感や不安を強くする可能性があります。
とくに日頃からママさんパパさんが家にいる間、テレビがついている場合は、留守番中もつけっぱなしのほうが寂しさを感じにくいでしょう。
また、夕方になって部屋が暗くなると、視力の悪いシニア犬は恐怖を感じます。
落ち着く音楽を流したりタイマー型の照明を使用したりと、家電をうまく使いながら寂しさを感じさせない空間を作りましょう。
⑤適度な運動と刺激を与える
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体と脳に適度な疲労感を与えると、留守番中の睡眠を深くすることができます。
適度な疲労は不安や恐怖心が軽減でき、問題行動の頻度も減らせるでしょう。
外出前には散歩や遊びの時間を設け、エネルギーを発散させます。
シニア犬におすすめの留守番前の運動は、以下のとおりです。
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心地よい疲れがあれば、不安を感じるよりも先に眠気が訪れるはずです。
シニア犬の分離不安は治る?動物病院での薬物療法と向き合い方

シニア犬の分離不安は、加齢による心身の変化が関わっています。
若い犬と同じようにしつけで完治を目指すのは難しく、愛犬への負担も大きくなります。
そのため、高齢期ならではの向き合い方を知り、穏やかな生活を守ることが大切です。
ここでは薬物療法を含めた分離不安への対処法について解説します。
完治ではなく「緩和」を目指す

シニア犬の分離不安への対応では、完治を求めすぎず「症状の緩和」を目指しましょう。
分離不安の原因となる老化に伴う脳機能の低下や視力・聴力の衰えは、トレーニングだけで解消できるものではありません。
無理にしつけ直そうとすると、かえって愛犬にストレスを与えて症状が悪化する可能性があります。
分離不安を改善するには、少しでも落ち着いて過ごせる時間を増やし、生活の質を維持することを意識しましょう。
愛犬が安心して暮らせる環境を整えることが、結果として飼い主の負担軽減にもつながります。
サプリメントや薬も選択肢の1つにする

環境を整えても症状が改善しない場合は、サプリメントや薬の使用も検討してください。
サプリや薬を使用し、脳内の神経伝達物質に働きかけると、過度な不安や恐怖心を和らげる効果が期待できます。
「薬漬けにするようで怖い」と感じる方もいるかもしれませんが、パニックによる心臓への負担や、破壊行動によるケガを防ぐためにも、薬は有効な手段です。
ただし、サプリや薬にはそれぞれメリットとデメリットがあるため、自己判断での使用は避けてください。
獣医師の診断のもと、愛犬の健康状態や症状の重さに適したものを選びましょう。
まとめ|シニア犬の分離不安は愛情と工夫で不安を和らげよう
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シニア犬の分離不安は、しつけ不足やわがままではなく、目や耳、脳の老化という体の変化が原因の可能性があります。
無理に「昔のように戻す」よりも、「パニックを起こさず眠れる」環境を作ることが、愛犬の生活を守ることにつながります。
この記事のポイントは以下の通りです。
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分離不安はひとりで解決しようとせず、動物病院で薬やサプリメントの力を借りるのも大切です。
専門家に相談しながら、愛犬の老いに合わせた穏やかなケアを見つけていきましょう。














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