老犬の変な匂いは要注意!その原因と対処法を獣医師が解説
愛犬が年齢を重ね、どこからともなく変な匂いがすると、心配になりますよね。
そんなとき、
「年を取ったから仕方ないのかな?」
「どこか変な匂いがするのだろう?」
「何か病気が隠れているのかな?」
といった疑問をお持ちではありませんか?
老犬になると、加齢とともに体臭や口臭が強くなることは珍しくありません。
しかし、老犬の変な匂いは歯周病や腎臓病、糖尿病など、さまざまな病気のサインの可能性もあることをご存知でしょうか?
この記事では、老犬から変な匂いがするときに考えられる原因や病気、受診の目安、自宅でできるケアについて獣医師がわかりやすく解説します。
最後までお読みいただき、愛犬の匂いが気になったときの健康管理の一助になれば幸いです。
老犬の変な匂いの原因

では、老犬の変な匂いはいったいどこから生じるのでしょうか?
具体的には、
- 歯周病などの病的な口臭
- 慢性腎臓病でのアンモニア臭
- 糖尿病や膀胱炎などの尿臭
- 脂漏症による体臭
- 外耳炎による耳の匂い
といった病気からの匂いが挙げられます。
老犬ではこのような病気がよく見られ、放置すると急に体調を崩すことも珍しくありません。
まずは、愛犬の身体のどの部分から匂いが発せられるのか、確認してみましょう。
老犬の変な匂いから考えられる病気

では、これらの病気は、どのような病気なのでしょうか?
それぞれの病気を詳しく見ていきましょう。
①歯周病
老犬の口臭でよく見られる原因が歯周病です。
歯周病とは、主に加齢とともに沈着した「歯石」に潜む細菌が歯肉に炎症を起こし、歯槽骨をはじめとした歯の周囲の組織を破壊する病気です。
その細菌や炎症から、「魚が腐ったような臭い」「ドブのような臭い」と表現される強い口臭が生じます。
歯周病を放置すると、歯が抜ける、下顎が骨折するといったトラブルへと進行することが珍しくありません。
老犬で歯周病が疑われる際の症状としては、
- 歯肉が赤く腫れている
- 歯肉から出血する
- 口を触ると嫌がる
- よだれが増える
- 硬いものを食べない
- くしゃみが多い
といったようなものが挙げられます。
また近年では、歯周病は心臓や腎臓など全身の健康へ悪影響を及ぼすことも分かり始めているため、口臭が気になる時は放置せず、獣医師の診察を受けましょう。
②慢性腎臓病

慢性腎臓病は老犬で非常によくみられる病気です。
腎臓の機能が低下すると、本来尿として排泄されるべき老廃物が体内に蓄積し、進行すると口からアンモニアのような臭いがすることがあります。
慢性腎臓病の初期は症状がわかりにくいものの、病気が進行すると、
- 水を飲む量が増える
- 尿量が増える
- 食欲が落ちる
- 体重が減る
- 元気がなくなる
- 嘔吐や下痢をする
といった様子が見られることが少なくありません。
慢性腎臓病は完治が難しい病気ですが、早期に発見して食事療法や点滴などの治療を開始することで、進行を緩やかにできる可能性があります。
前述のような症状が見られる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
③糖尿病

犬の糖尿病は、体内で血糖値(血液中のグルコースの濃度)を適切にコントロールできなくなる病気です。
膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンが不足する、あるいは働きが低下することが原因で発症します。
糖尿病が起こる原因として、遺伝的な要因や肥満などが知られており、特に老犬では発症リスクが高まる傾向があるため、注意が必要です。
糖尿病では血糖値が高い状態が続くことで、
- 水をたくさん飲む
- 尿量が増える
- 食べているのに痩せる
といった症状が見られることがあります。
また、病気が進行すると、「糖尿病性ケトアシドーシス」という命に関わる状態になり、甘酸っぱい独特の口臭(アセトン臭)がみられることが珍しくありません。
早期治療によって良好な生活の質を維持できるケースも多いため、これらの症状に気付いたときは、早めに獣医師に相談しましょう。
④膀胱炎

膀胱炎とは、膀胱の粘膜に炎症が起こる状態を指します。
膀胱炎の多くは、膀胱内に細菌が侵入して感染・炎症を起こすことが原因です。
この感染や炎症によって、尿から「ツンと鼻をつく」ような変な匂いを感じることが少なくありません。
特にメスの老犬では、尿道が短く細菌が侵入しやすいため、膀胱炎を起こしやすいと言われています。
また、前述の糖尿病が原因となり、膀胱炎を起こすケースも珍しくありません。
老犬に膀胱炎が起きた場合、
- 頻尿
- 血尿
- 排尿時の痛み
- トイレの失敗
といった症状が見られることがあります。
尿の匂いが気になった際は、様子を見ずに動物病院を受診しましょう。
⑤脂漏症

脂漏症とは、皮脂の分泌異常によって皮膚がベタついたり、フケが増えたりする病気です。
過剰な皮脂により、皮膚の細菌やマラセチアが過剰に増殖することで、体から変な匂いを感じることが珍しくありません。
脂漏症のときに見られる症状として、
- 皮膚や被毛がベタつく
- フケが多い
- かゆみや赤みがある
- 毛が抜ける
といったものが挙げられます。
脂漏症は「年だから仕方ない」と放置されることが多い疾患です。
老犬では脂漏症の背景に、不適切なスキンケアやホルモン疾患があることも珍しくないため、一度獣医師に相談しましょう。
⑥外耳炎

耳から変な匂いがする場合は、外耳炎が疑われます。
外耳炎は、耳の「外耳」と呼ばれる部分に炎症が起きる病気です。
老犬では、細菌やマラセチア、アレルギーなどが原因となることが多いとされています。
外耳炎のときは、
- 耳をかゆがる
- 頭を振る
- 耳垢が増える
- 耳が赤い
- 耳を触ると嫌がる
といった症状が見られることがあります。
原因に応じた点耳薬や耳洗浄で治療を行う必要があるため、放置せず動物病院を受診しましょう。
老犬の変な匂いで受診する目安

では、愛犬から変な匂いがする場合は、すぐに動物病院を受診するべきなのでしょうか?
結論から申し上げますと、早めに動物病院を受診する必要があるケースが多いです。
しかし、まずは愛犬の様子をよく観察し、どこから変な匂いがするのかを確認しましょう。
また、以下のような様子が見られた場合は、早急に受診する必要があります。
- ぐったりしている
- 食欲がない
- 嘔吐や下痢がある
- 痙攣している
- しきりにかゆがっている
- 尿が出ていない
これらの症状が見られる場合は、病気が進行していることが考えられます。
様子を見ずに、早急に獣医師に相談しましょう。
老犬の変な匂いの対処法

では、愛犬から変な匂いがする場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか?
まずは、愛犬のどこから変な匂いがするのか確認し、動物病院を受診しましょう。
そのうえで、もし歯周病から口臭がする場合は、自宅でのデンタルケアが重要です。
老犬では歯ブラシが難しいケースも多いため、ふりかけタイプや水に混ぜるタイプなど、取り入れやすいケアから始めることがおすすめです。
また、脂漏症や外耳炎では、自宅での定期的なシャンプーや耳掃除を行いましょう。
ただし、ケアの頻度や方法については、獣医師の指導の下で実施する方が安心です。
繰り返す膀胱炎で変な匂いが感じられる場合は、
- N-アセチルグルコサミン
- クランベリー
- ウラジロガシエキス末
といったサプリメントでケアを行うこともあります。
ただし、サプリメントはあくまで補助的なもので治療の代替にはならず、すべての老犬に効果が見られるわけではありません。
自己判断で使用するのではなく、事前に獣医師へ相談することが大切です。
まとめ

老犬からいつもと違う匂いがする場合は、加齢だけでなく病気が隠れている可能性があります。
特に歯周病、腎臓病、糖尿病、膀胱炎などは老犬で発症しやすく、変な匂いで病気に気づくことも少なくありません。
加えて、食欲がない、ぐったりしているなどの体調の変化が見られた場合は、早めに動物病院を受診することが大切です。
日頃からデンタルケアやスキンケア、定期的な健康診断などを行うことで、これらの病気の早期発見・早期治療につながります。
愛犬がシニア期を健やかに過ごせるよう、毎日の小さな変化も見逃さず、こまめなケアを心がけてあげましょう。


















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