老犬の鼻水が治らないのはなぜ?考えられる病気や受診の目安を獣医師が解説
愛犬が高齢になり、鼻水がなかなか治らない様子を見ると心配になりますよね。
そんなとき、
「年齢のせいだから仕方ないのかな?」
「動物病院に行った方がいい?」
「何か重大な病気が隠れているのでは?」
といった疑問をお持ちではありませんか?
実は、老犬の鼻水は単なる老化現象ではなく、病気が原因であることが少なくありません。
そのなかには、早期発見が重要な病気が隠れていることもあるのをご存じでしょうか?
今回は、老犬の鼻水が治らない原因や考えられる病気、受診の目安、検査、治療法、自宅でのケアについて、獣医師が分かりやすく解説します。
最後までお読みいただき、老犬の鼻水が治らないときによくある病気について、理解を深めましょう。
老犬によくみられる鼻水の種類

まず、老犬に鼻水が見られた場合、その様子からどのようなことが分かるのでしょうか?
鼻水の状態は、病気を見つけるための重要な手がかりになることがあります。
老犬によくみられる鼻水の種類を、それぞれ詳しく見ていきましょう。
①透明な鼻水

透明でサラサラした鼻水は、炎症やアレルギー性鼻炎などでよく見られます。
ただし、初期の感染症や腫瘍でも透明な鼻水から始まることがあるため、長期間続く場合は注意が必要です。
②黄色や緑色の鼻水

黄色や緑色の鼻水は、感染により膿が混じっている可能性があります。
特に免疫力が低下しやすい老犬では、感染性(細菌や真菌、ウイルスなど)の鼻炎がたびたび見られることも少なくありません。
そのほか、歯周病や異物の混入などでも見られることが多く、治療が必要なケースが少なくありません。
③血液が混じる鼻水

鼻血や血混じりの鼻水は、かなり注意が必要です。
具体的には、
- 鼻腔内腫瘍
- 重度の炎症
- 真菌感染
- 歯周病
- 血液凝固異常
などが原因で起こることがあり、早めの治療が必要になります。
特に老犬では腫瘍の可能性が高まるため、様子を見ずに早急に受診しましょう。
④片側だけから出る鼻水

鼻水が左右どちらか一方からだけ出ている場合は、
- 鼻腔内腫瘍
- 歯周病
- 異物
- 真菌感染
などを疑います。
慢性的に片側だけから鼻水が出ている場合は、原因を調べるために細かい検査が必要になることも少なくありません。
また、進行すると両側の鼻から鼻水が出るようになることもあるため、注意が必要です。
老犬の鼻水が治らない主な原因

では、老犬で鼻水が治らない原因とは、どのようなものなのでしょうか?
具体的には、
- 鼻炎
- 歯周病
- 鼻腔内腫瘍
といったものが挙げられます。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①鼻炎

鼻炎とは、鼻の粘膜に炎症が起きる病気です。
鼻炎は、ハウスダストや花粉などのアレルゲン、タバコの煙などの刺激物によって発症することがあります。
特にミニチュアダックスフンドは、慢性鼻炎が起こりやすい犬種です。
そのほか、細菌や真菌、ウイルスによる感染症でも鼻炎を起こすことがあります。
特に免疫力が低下しやすい老犬では感染症が繰り返しやすく、慢性的な鼻炎の原因となることも少なくありません。
②歯周病

鼻水の原因として老犬で特に多いもののひとつが「歯周病」です。
歯周病とは、歯肉炎が進行し、歯槽骨をはじめとした歯の周囲の組織が破壊される病気です。
現在は、3歳以上の犬の約80%が歯周病のリスクを抱えていると言われています。
老犬では年齢とともに歯石が増加し、そこに存在する細菌によって歯周病が引き起こされやすくなります。
犬の上顎の歯根は鼻腔にとても近いため、重度の歯周病になると感染が鼻腔へ広がることが珍しくありません。
その結果、鼻水が出るようになり、かつ治りにくいのも特徴です。
老犬の慢性的な鼻水では、歯周病の有無を確認することがとても重要です。
③鼻腔内腫瘍

老犬で鼻水が治らない場合、見逃してはいけない病気が鼻腔腫瘍です。
初期には透明な鼻水だけですが、進行すると
- 鼻血
- 顔の変形
- 呼吸困難
- くしゃみ
などが現れることも少なくありません。
腫瘍は早期発見・早期治療が重要であるため、これらの様子が見られた場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
老犬の鼻水で動物病院を受診すべき症状

では、老犬に鼻水がみられた場合、どのようなタイミングで受診すべきなのでしょうか?
具体的には、
- 鼻水が1〜2週間以上続く
- 黄色や緑色の鼻水が出る
- 片側だけから鼻水が出る
といった場合は、治療が必要な病気が隠れている可能性があるため、動物病院を受診しましょう。
また、それ以外の症状として、
- 呼吸が苦しそう
- 顔が腫れている
- 顔が変形している
- 食欲が落ちている
- 元気がない
- 出血している
- 発熱している
といった症状がある場合は、すぐに受診が必要な状態であるため、注意が必要です。
老犬の鼻水で行われる検査

では、老犬の鼻水で受診した場合、どのような検査が行われるのでしょうか?
動物病院では、さまざまな検査の中から、老犬の状況に応じた検査が行われます。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①問診・身体検査

まずは、鼻水に関する症状について、獣医師による詳しい問診が行われます。
具体的には、
- いつから鼻水が続いているか
- 鼻水の色はどうか
- 片側か両側か
- そのほかの症状の有無
といったことが聞かれますので、受診する前に整理しておくとよいでしょう。
また、身体検査では、鼻や顔の形、リンパ節の状態、歯周病の有無などの確認が行われます。
これらの情報から、鼻水の原因として可能性が高い病気を絞り込んでいきます。
②画像検査

鼻水の原因として異物や腫瘍が疑われる場合は、
- レントゲン検査
- CT検査
- 内視鏡検査
といった各種の画像検査が行われ、鼻腔内部の構造や異物の確認が行われます。
③培養検査

鼻水の原因として感染が疑われる場合は、鼻汁に含まれる病原体を培養することで、どのような病原体が原因となっているかが調べられます。
④病理検査

これらの検査から腫瘍が疑われる場合には、最終的には組織を採取し、病理検査を行います。
この検査は、腫瘍の確定診断には欠かせない検査ですが、全身麻酔が必要となるケースが多く、老犬では実施されないことも珍しくありません。
老犬の鼻水の治療法

では、老犬の鼻水ではどのような治療が行われるのでしょうか?
治療内容は、鼻水の原因によって大きく異なります。
まず、感染性の鼻炎では、
- 抗生物質
- 抗炎症薬
- 抗真菌薬
- ネブライザー治療
などの内科療法が一般的に行われます。
歯周病が原因の場合は、スケーリングや抜歯などの歯科治療が必要です。
ただし、全身麻酔が必要となるケースが多く、老犬では実施されないことも珍しくありません。
また、鼻腔内腫瘍が原因である場合は放射線治療が行われることもありますが、こちらも老犬での実施は難しいことが多いでしょう。
鼻水の原因と、愛犬の体調に合わせた治療法を、獣医師と相談しながら決めていくことが大切です。
老犬の鼻水の再発を予防するためにできること

では、繰り返す老犬の鼻水を予防するためには、日頃どのようなケアができるのでしょうか?
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①デンタルケア

歯周病から起こる鼻水への対策として、自宅でのデンタルケアが挙げられます。
老犬では歯石除去を行った後でも、デンタルケアを行わないとすぐに歯周病が再発し、鼻水を繰り返すことも少なくありません。
そのため、
- デンタルシート
- デンタルジェル
- 歯ブラシ
- 食べるタイプのケアグッズ
などを使用し、愛犬にあったデンタルケアを継続しましょう。
②室内環境を整える

アレルギー性の鼻炎から鼻水が出ている場合、ハウスダストや花粉などのアレルゲンや、タバコの煙などの刺激物を減らすことで予防につながります。
そのため、定期的な換気や室内の掃除も大切です。
③定期健診を受ける

腫瘍の早期発見・早期治療をするためには、定期的な健康診断を行うことが大切です。
老犬では、健康な場合でも年2回の健康診断が必要と言われています。
まとめ

老犬の鼻水が治らない場合は、単なる加齢現象ではなく、鼻炎や歯周病、鼻腔内腫瘍などの病気が隠れていることも少なくありません。
特に、黄色や緑色の鼻水、血液が混じる鼻水、片側だけから出る鼻水は注意が必要です。
また、食欲低下や元気消失、呼吸のしづらさなどを伴う場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
老犬の鼻水の原因を特定するためには、問診や身体検査に加え、レントゲン検査やCT検査、培養検査などが必要になることもあります。
原因によって治療法は異なるため、適切な検査を受けることが大切です。
さらに、歯周病予防のためのデンタルケアや定期健診を継続することで、鼻水の原因となる病気の早期発見・早期治療につながります。
愛犬の鼻水がなかなか治らない場合は様子見を続けるのではなく、一度動物病院で相談し、原因を確認してもらうことが大切です。

















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