老犬に夜中起こされるのは認知症?ウロウロ徘徊する原因3つと正しい対策法

COLUMN

夜中に愛犬が何度も起き上がってウロウロし、そのたびに起こされて熟睡できない状態が続いていませんか?

「明日も仕事なのに、もう限界……」と暗闇の中で途方に暮れ、いつ起きるかとビクビクしながら眠る毎日は、本当に体も心もボロボロになりますよね。

実は私も全く同じように思い、悩みながら5匹の犬を育て、3匹を見送ってきたからこそ、ママさんパパさんの「愛しているのにイライラしてしまう」という苦しい気持ちが痛いほど分かります。

実は、老犬が夜中に寝ないでウロウロする行動には、認知症の疑いや排泄機能の低下、関節の痛みなど、個体差はあるものの何らかの理由が隠れているケースがあるのです。

この記事では公的機関のデータに基づき、JKC愛犬飼育管理士を取得し情報の違いが命を左右する経験をしてきた私が、夜中に起こされる原因と正しい見分け方、日中の日光浴や寝床の環境整備など今夜から試せる具体的な解決策を解説します。

原因を特定して上手に対処すれば、ママさんパパさんも愛犬も、朝まで落ち着いて眠れる穏やかな日々を再び取り戻せるでしょう。

老犬に夜中起こされるのはなぜ?ウロウロの原因3選

愛犬が夜中に突然起き上がって活動を始めると、戸惑うのは当然です。

まずは、なぜ夜間に目を覚まして動き回るのか、その背景にある体と脳の変化を正しく把握しましょう。

老犬が夜に寝ないでウロウロする理由は認知症の疑い

老犬が夜に寝ないでウロウロと歩き回る場合は、「認知機能不全症候群」が関係している可能性があります。

認知機能不全症候群とは、加齢によって脳内の神経細胞や神経伝達機能が低下する病気です。

睡眠と覚醒のリズムが乱れてしまい、昼夜逆転や夜間の徘徊が見られることがあります。

2013年に発表された犬の認知機能不全症候群に関する研究では、「昼間によく眠り、夜に落ち着きなく歩き回る」「自宅内で迷う」「不安が強くなる」といった症状が代表的な特徴として報告されています(※)。

【認知症が疑われる主な夜間行動】

  • 部屋の隅で行き止まりになって後退できない
  • 意味もなく大声で鳴いたり吠えたりを繰り返す
  • 夜間でも呼びかけへの反応が鈍くなる
  • 夜中に目的もなく歩き続ける
  • 昼間は寝てばかりで夜になると活動する

私が見送った愛犬も、夜中の2時頃になると突然目を覚まし、リビングをぐるぐる歩き回る時期がありました。

もちろん個体差はありますが、これらのサインが見られたら認知機能の低下を疑い、一度動物病院へ相談した方よいでしょう。

※出典:NIH(アメリカ国立衛生研究所)「An observational study with long-term follow-up of canine cognitive dysfunction: clinical characteristics, survival, and risk factors」

犬に夜中起こされるトイレ要求は排泄機能の低下

夜中に愛犬が鳴いてママさんパパさんを起こす場合、おしっこやうんちをしたいという排泄のサインが隠れていることがあります。

老犬になると、加齢によって膀胱や排泄をコントロールする機能が低下したり、便秘や下痢などの消化器トラブルが起こりやすくなったりするため、朝まで排泄を我慢できなくなる犬も少なくありません。

アニコム損害保険株式会社が公表している「家庭どうぶつ白書2024」では、高齢犬ほど泌尿器系疾患の割合が高くなる傾向が示されています(※)。

こうした疾患や加齢による身体機能の変化によって、夜間の排泄回数が増えたり、トイレを我慢しにくくなったりする犬もいます。

【排泄トラブルを引き起こす主な要因】

  • 加齢による膀胱機能の低下
  • 泌尿器系疾患による頻尿や尿意の増加
  • 便秘や下痢などの消化器トラブル
  • 夜間にトイレまで移動する体力や足腰の衰え

私も、最初にお迎えした愛犬は、夜中になるとトイレで家族を起こすことがありました。

夜中に何度も起こされるようになった場合は、排泄の回数やタイミングに変化がないかを確認し、必要に応じて動物病院へ相談すると安心です。

※出典:アニコム損害保険株式会社「家庭どうぶつ白書2024」pdf,P12

夜間に徘徊する原因は関節の痛みや不安感

老犬になると、変形性関節症などによって同じ姿勢で寝続けることが負担となり、痛みを和らげようとして体勢を変えたり、歩き回ったりするケースがあります。

また、視覚や聴覚の衰えによって周囲の状況を把握しにくくなり、不安から落ち着きを失って歩き回る犬も少なくありません。

日本小動物整形外科協会の「関節炎」の解説では、関節炎の犬には「立ち上がるのに時間がかかる」「動きたがらない」「運動後に歩き方がぎこちなくなる」といった症状がみられると紹介されています(※)。

【痛みのサインを見落とさないためのチェック項目】

  • 起き上がるときに動作がゆっくりになったり、足元が震えたりする
  • 触ろうとすると嫌がって怒ったり、鳴き声を上げたりする
  • 体の一部を何度も舐めたり、気にして見つめたりする
  • 散歩や階段を以前より嫌がるようになった

ただし、単に寝床の温度や硬さが合わず、より快適な場所を探して移動しているだけの場合もあります。

私の知人の老犬も、寝床のマットが硬くなってから夜中に何度も起きて歩き回るようになりました。

体圧を分散するマットへ替えたところ、夜中に起きる回数が減り、以前より落ち着いて眠れるようになったそうです。

夜間の徘徊が続く場合は、「年だから仕方ない」と決めつけず、関節の痛みや視覚・聴覚の衰えなどが関係していないかを確認し、必要に応じて動物病院で相談することをおすすめします。

出典:日本小動物整形外科協会(VOA Japan)「関節炎」

老犬に夜中起こされる行動を防ぐ正しい対策

愛犬の夜間行動の原因が見えてきたら、次は具体的な環境改善に移りましょう。

ちょっとした日常の工夫を取り入れるだけで、夜の静けさを取り戻せます。

老犬が夜に寝ないときの対処法は日中の日光浴が基本

老犬になると体内時計が乱れやすくなり、昼夜逆転のような生活になってしまうことがあります。

そのため、朝から昼にかけて日光を浴びながら散歩をしたり、窓辺で過ごしたりして日中に活動する時間を確保しましょう。

環境省が公表しているパンフレットでも、高齢のペットが快適に暮らせるよう、適度な運動や生活環境を整え、規則正しい生活を心がけることの大切さが紹介されています(※)。

【日中にできるおすすめの刺激方法】

  • 朝や午前中に10~15分ほど散歩や日光浴をする
  • ベランダや窓辺で外の景色や風を感じさせる
  • 知育玩具を使っておやつを探させる
  • 軽いブラッシングやマッサージで心地よい刺激を与える

実際に、これまで多くの老犬と接してきた経験からも、日中に適度な刺激を与えた日は、夜に落ち着いて眠れる犬が多く見られました。

もちろん体調によっては十分な運動が難しい日もありますが、その場合でも日光を浴びたり、ママさんパパさんさんとの触れ合いを増やしたりするだけで生活にメリハリが生まれます。

夜中に何度も起きてしまう場合は、無理のない範囲で日中の過ごし方を見直しましょう。

※出典:環境省「共に生きる 高齢ペットとシルバー世代」

夜間のトイレ対策は寝床近くの環境整備

排泄トラブルで起こされるのを防ぐには、寝床のすぐ隣に広いトイレスペースを作る方法が有効です。

高齢の犬は尿意を我慢しにくくなり、離れた場所にあるトイレまで歩いていく前に間に合わないことがあります。

サークルの中に、シーツを敷き詰めてあげましょう。

【理想的な夜間トイレ環境の条件】

  • 寝床から段差なしで移動できる配置にする
  • 足元が滑らないように吸着マットを敷き詰める
  • 普段の排泄場所の匂いがついたシーツを置いておく

そうすれば、夜中に目が覚めても数歩歩くだけで安全に用を足せます。

トイレの位置をベッドの近くへ配置し直す環境整備が、夜間のママさんパパさんへの呼び出しを減らす有効な手段です。

急にトイレの場所を変えるとパニックになる場合があるため、日中から少しずつ慣れさせておきましょう。

老犬に夜中起こされるときの受診目安とケア

家庭での対策を試しても改善しない場合や、愛犬の様子がおかしいときは、医療の手を借りる判断が必要です。

ママさんパパさん自身の生活を守るための工夫も合わせて解説します。

早めに病院を受診すべき症状は呼吸の乱れ

すぐに動物病院へ連れて行くべき危険サインは、夜間のハァハァという激しい呼吸の乱れです。

単なる老化現象ではなく、心臓の病気や肺水腫、あるいは強い内臓の痛みに苦しんでいる可能性が高いからです。

一時的な興奮という例外もありますが、横になって寝ているはずなのに、呼吸が浅く速い、またはチアノーゼで舌が紫っぽくなっている場合は一刻を争う状況を意味します。

【動物病院受診が推奨される夜間症状一覧】

  • 1分間の呼吸数が40回を超えてハァハァしている
  • 歯ぐきや舌の色が白っぽかったり紫に変色したりしている
  • 体を小刻みに震わせたり、突然の痙攣を起こしたりする

呼吸困難やチアノーゼが出ている場合は、様子見をせず直ちに病院へ連絡を入れましょう。

情報の違いや対応の遅れが命を左右することもあるため、事前の準備が欠かせません。

自宅で様子見できるケースは食欲がある状態

一方で、しばらく自宅で経過を観察してよいのは、昼間にご飯をペロリと完食して元気がある状態です。

食欲があり、水分もしっかり摂れている場合は、緊急性の高い病気の可能性は比較的低いと考えられるためです。

たとえば、夜中にウロウロ歩き回るものの、朝になれば尻尾を振ってフードを催促し、お散歩にも喜んで行くようなケースが該当します。

相談先・ケアサービス 主な利用目的 受診・利用のタイミング
かかりつけの動物病院 通常の体調不良、定期健診、お薬の相談 平日の診療時間内、緊急性の低い徘徊など
夜間救急動物病院 呼吸困難、激しい痛み、突然の痙攣 夜間・休日の緊急時、一刻を争うサインがある時
老犬ホーム・デイケア 休息の確保、一時預かり 介護疲れが限界に達する前、日中のリフレッシュ

毎日の食事や排泄が普段通りにできているならば、焦って夜間救急に駆け込む必要はありません。

かかりつけ医の通常診療の時間帯に相談すれば十分ですので、まずは落ち着いて愛犬の様子を観察しましょう。

介護疲れを防ぐコツは夜間ケアの家族分担

ママさんパパさんの深刻な睡眠不足を予防するコツは、夜間の対応ルールを決めて家族で役割を分担することです。

1人だけで全ての呼び出しに応じていると、心身ともに疲弊して介護うつを引き起こすリスクが高まるからです。

私は過去に3匹の愛犬の看取りを経験しましたが、正しい知識を共有し、チームで支え合う体制を作ることの価値を痛感しました。

曜日 夜間アラーム担当 担当外の人の動き
月・水・金 パパさん ママさんは耳栓をして別室で熟睡
火・木・土 ママさん パパさんは耳栓をして別室で熟睡
日曜日 フリー(交代制) お互いの体調に合わせて柔軟に対応

「月水金はパパさん、火木土はママさん」といった形で、夜間のアラーム対応担当を明確に分けてみましょう。

担当ではない日は、耳栓をして別の部屋で朝まで眠ることで、体力を回復できます。

家族みんなで負担をシェアする仕組み作りが、共倒れを防ぎ、愛犬と笑顔で長く過ごすための防波堤となります。

まとめ|老犬に夜中起こされる悩みは解消可能

愛犬のウロウロは体や脳の大切なSOSサインです。

個体差はありますが、まずはできる環境改善から一歩ずつ始めましょう。

【今夜から実践できる環境改善の要点】

  • 朝から昼にかけて15分間の日光浴を取り入れる
  • 寝床のすぐ隣に滑らない広いトイレを設置する
  • 家族間で夜間の対応曜日をカレンダーに分担する

愛犬の介護は長期戦だからこそ、ママさんパパさん自身の心と体の健康を最優先に考えてください。

一人で全てを抱え込まず、外部のサービスを上手に頼る方法も検討しましょう。

ママさんパパさんと愛犬が笑顔で過ごせる優しい未来を、一緒に一歩ずつ歩んでいきましょう。

大場聖也

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保有資格「JKC愛犬飼育管理士」。幼い頃から犬が大好きで、幼稚園の頃には犬の図鑑をボロボロになるまで読み込んでいた。 10歳のとき、不登校だった私を支えてく...

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