老犬のフケがすごいのはなぜ?シニア犬特有の原因と自宅でできるケア方法
愛犬がシニア期に入り、「最近、黒い服で抱っこすると肩に白い粉が…」「ブラッシングするとフケが前より目立つようになった」と悩んでいませんか?
老犬のフケは単なる老化現象として見過ごされがちですが、皮膚のバリア機能の低下や、何らかの病気のサインかもしれません。
この記事では、トリマーの資格を持つ私が老犬のフケが出やすくなる原因について解説します。
さらに、フケの状態から見分けるべき病気のサインや今日から自宅で実践できる具体的なケア方法も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
なぜ老犬はフケが出やすい?シニア犬特有の4つの原因
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若い頃はつやつやしていた皮膚や被毛も、シニア期に入ると乾燥しがちになり、白い粉のようなフケが目立つようになることがあります。
特に老犬の場合、単なる乾燥だけでなく、さまざまな体調の変化によってフケが出やすくなります。
ここでは、フケを引き起こすシニア犬特有の原因を4つ見ていきましょう。
原因①皮膚のバリア機能の低下

犬の皮膚は人間よりもデリケートで、角質層が薄いのが特徴です。
健康な皮膚は表面を覆う「皮脂膜」と、角質細胞の間を埋める「セラミド」などの脂質によって、外部の刺激から体を守っています。
老犬になると、皮脂やセラミドの分泌が減り、皮膚を守る力(バリア機能)が弱まるのが一般的です。
そのため老犬の皮膚は乾燥しやすく、軽い刺激でも角質がはがれてフケが増えやすくなるのです。
原因②新陳代謝(ターンオーバー)の乱れ

皮膚の細胞が一定のサイクルで新しく生まれ変わることを「新陳代謝(ターンオーバー)」と呼び、健康な犬の皮膚は、約21日周期で生まれ変わるとされています。(※1)
しかし、老犬になると新陳代謝の機能が低下し、サイクルが遅れがちになります。
ターンオーバーが遅れると古い角質が皮膚の表面に蓄積し、まとまって剥がれ落ちるため、フケが多くなったと感じやすくなるでしょう。
原因③免疫力の低下と血行不良

加齢は皮膚表面だけでなく、体内の機能にも影響を与えてフケが出やすくなる場合があります。
特に「免疫力」と「血行」は、皮膚の健康に直結するとされています。
シニア犬は免疫力が低下しやすく、皮膚にある常在菌のバランスが崩れ、皮膚炎や脂漏症を起こすケースが珍しくありません。
また、年齢と共に心臓の機能が低下したり、寝ている時間が増えて運動不足になったりすると、血行不良を引き起こします。
血行不良は、皮膚細胞が正常に働くための栄養が行き渡らなくなる原因となります。
栄養が行き渡らないと乾燥やターンオーバーが乱れ、フケが出やすい状態になるのです。
原因④栄養バランスの変化

日々の食事の栄養バランスが乱れると、フケの原因となります。
シニア犬になると食事量が減ったり、消化吸収機能が衰えたりします。
食事がうまく摂れないシニア犬は、皮膚の材料となる良質な「タンパク質」や「脂質」、皮膚の代謝を助ける「ビタミン・ミネラル類」が不足しがちです。
特に、健康な皮脂を分泌するための脂質が不足すると、皮膚の乾燥はさらに進みます。
その結果、健康な皮膚細胞を作れずにバリア機能が低下し、フケが発生しやすくなるのです。
老犬のフケが止まらないときに見逃してはいけない病気のサイン

「老犬のフケが目立つけれど、老化現象だから仕方ない」と様子を見ていませんか。
確かにシニア犬は乾燥しやすくフケが目立つことが多くなります。
しかし、日々のケアをしても「フケが止まらない」「以前よりひどくなっている」場合は、注意が必要です。
ここからはフケが多い老犬の病気のサインを4つ解説します。
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①かゆみ・赤み・脱毛(皮膚炎)

老犬は皮膚バリア機能が低下しているところに、アレルギーや細菌感染などが加わって皮膚炎を発症するケースが少なくありません。
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フケと一緒に上記のような症状がある場合、皮膚炎の可能性が高いといえます。
②脂っぽいフケ(脂漏症)

フケが少し黄色っぽくベタベタする感触で、独特のニオイを伴う場合は「脂漏症(しろうしょう)」のサインかもしれません。
脂漏症は皮脂の分泌が過剰になったり、皮膚のターンオーバーが異常に早まったりする状態です。
老犬では、甲状腺機能低下症やクッシング症候群といった病気が背景にあったり、マラセチアというカビの一種が異常増殖したりして引き起こされる場合もあります。
③大量の白く乾燥したフケ(乾性皮膚炎)
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シニア犬のフケで多いのが、乾性皮膚炎が原因になっているケースです。
「乾性皮膚炎(かんせいひふえん)」は、皮脂の分泌が減少し、皮膚のバリア機能が極端に低下すると起こる皮膚病です。
白くカサカサした細かいフケが大量に出るのが特徴で、皮膚の潤いが失われているため、わずかな刺激でかゆみやひび割れを起こしやすくなります。
加齢による乾燥が主な原因ですが、保湿ケアをしても改善が見られない場合は、獣医師に相談してください。
④黒い粒やかさぶた(寄生虫・感染症)

フケに混じって黒い小さな粒や黒いかさぶたが見つかる場合、寄生虫または感染症を疑う必要があります。
ブラッシングのときに黒い砂のような粒が落ちるなら、ノミのフンかもしれません。
ノミのフンかどうかは、水に濡らしたティッシュに黒い粒を乗せ、赤くにじむかどうかで判別できます。
また、寄生虫や皮膚糸状菌症に感染すると、激しいかゆみや脱毛と共に、フケや多数のかさぶたが見られる場合があります。
寄生虫や感染症の場合は薬による治療が不可欠になるため、フケの様子がいつもと違うと感じたら早めに獣医師に相談しましょう。
自宅でできる老犬のフケ対策
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シニア犬のフケ対策として大切なのは、日々の自宅でのケアです。
老犬のデリケートな皮膚は、日々のケアを怠るとすぐに乾燥が進んでしまいます。
皮膚のバリア機能を守りつつターンオーバーを正常化するために、自宅でできる5つの対策を紹介します。
①ブラッシングで古い角質を除去する
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毎日のブラッシングは被毛のもつれをほぐすだけでなく、皮膚の健康維持に不可欠です。
ブラッシングの刺激は皮膚の血行を促進し、ターンオーバーを正常にする効果を期待できます。
また、皮膚の表面に蓄積したフケや汚れを物理的に取り除くと、皮膚を清潔に保てます。
ただし、シニア犬の皮膚は薄く傷つきやすいため、スリッカーブラシのような硬いもので強くこするのは禁物です。
毛並みに沿って、ラバーブラシなどの柔らかい素材で優しくマッサージするようにしましょう。
②低刺激シャンプーを適切な頻度で使用する

フケが目立つとつい頻繁にシャンプーをしたくなるかもしれませんが、洗いすぎは逆効果です。
シャンプーの頻度は、月1回程度が目安に行いましょう。
シャンプーのやりすぎは、犬にとって必要な皮脂まで洗い流してしまい、皮膚のバリア機能の低下と乾燥を悪化させる原因となります。
シニア犬や乾燥肌の犬には、洗浄力がマイルドかつ保湿成分が配合された犬用の低刺激シャンプーを選びましょう。
シャンプー液は必ず手で泡立ててから皮膚を優しく洗い、すすぎ残しがないよう洗い流すことが大切です。
③保湿ケアで乾燥を防ぐ

シャンプー後の皮膚は人間と同様に水分が蒸発しやすく、乾燥しやすい状態です。
皮膚のバリア機能を補うために、シャンプー後は保湿ケアをセットで行いましょう。
タオルドライの後、被毛をかき分けて、地肌に直接犬用の保湿剤を塗布します。
シャンプー時以外でも、日常的に背中・脇腹といった乾燥しやすい部分に保湿剤を使用すると、皮膚の乾燥を防ぐことができ、フケの予防に効果的です。
④食事の栄養バランスを見直す

健康な皮膚と被毛は、日々の食事から作られます。
特にシニア犬は、消化吸収機能の低下や食事量の減少によって、皮膚の健康に必要な栄養素が不足しがちです。
栄養バランスを整えるためには、毎日与えているドッグフードの栄養バランスを確認しましょう。
良質なタンパク質や脂質、ビタミン・ミネラル類がバランス良く含まれていると、皮膚の健康維持につながります。
また、シニア犬の皮膚・被毛の健康維持に配慮したドッグフードも市販されています。
食事内容の変更やサプリメントの追加については、まずはかかりつけの獣医師との相談がおすすめです。
⑤部屋の湿度を管理する
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老犬のフケを予防するには、室内の湿度管理が不可欠です。
特に冬場の暖房や夏場の冷房が効いた室内は、空気が乾燥します。
乾燥した空気は老犬の皮膚から水分を奪い、フケが多くなる原因となります。
加湿器を使用するなどして、部屋の湿度が常に50%~60%程度に保たれるよう管理しましょう。
また、愛犬のベッドを置く場所はエアコンの風が直撃しないか、ヒーターのすぐ近くにないかも確認して快適な環境を整えてあげてください。
まとめ|老犬のフケは適切にケアしよう

シニア犬のフケの原因は、加齢による皮膚のバリア機能の低下や新陳代謝の乱れ、免疫力や血行の低下などさまざまです。
多くは愛犬が年を重ねたことが原因ですが、中には脂漏症や皮膚炎、寄生虫などの病気が隠れている可能性もあります。
特に「かゆみがある」「フケが脂っぽい」「急に量が増えた」といった場合は注意が必要です。
愛犬のフケが気になり始めたら、まずは自宅でできる保湿ケアや被毛ケア、食事内容などを見直してみましょう。
日々のケアで改善が見られない場合や、フケ以外の異常に気づいた場合は、「老化だから」と自己判断せず、早めにかかりつけの動物病院に相談してください。
<参考文献>
※1参考:ひがしっぽ動物病院「皮膚病」


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