老犬にサプリメントは必要?選び方や与え方の注意点を獣医師が解説
愛犬がシニア期に入って、
「最近、足腰が弱ってきた」
「皮膚や被毛がパサついてきた」
「目が白くなって、耳が遠くなってきた」
といった変化に気づいてはいませんか?
実際、多くの飼い主の方がそのような変化に気づき、サプリメントを取り入れるべきか迷っています。
サプリメントを上手に活用することは良いことですが、必要な成分や選び方を理解しないまま与えるのはおすすめできません。
今回は、老犬にサプリメントが必要な理由や成分の選び方、与え方の注意点などを獣医師がわかりやすく解説します。
最後までお読みいただき、サプリメント選びの一助になれば幸いです。
老犬の体調管理にサプリメントは有効

老犬は人と同様に、加齢とともに体の機能が衰えていきます。
具体的な例としては、
- 筋力の低下
- 関節の可動域の減少
- 内臓機能の低下
- 免疫力の低下
などが挙げられ、その結果として関節の痛みや皮膚・被毛のトラブル、認知機能の低下など、さまざまな老犬特有の不調が現れやすくなります。
そこで、こうした体調の変化をサポートする方法の一つが、「サプリメント」です。
実際、サプリメントを使用した飼い主の方から、
- 便の調子がよくなった
- 毛づやがよくなった
- 歩き方がスムーズなった
との声も寄せられています。
通常の食事では補いにくい栄養素を効率的に摂取できる点が、サプリメントの大きなメリットといえるでしょう。
老犬にサプリメントを使用する具体的な例

では、実際にどのような状況でサプリメントが使用されるのでしょうか?
よくある老犬での典型的なパターンを紹介します。
①関節のトラブル

よくあるトラブルとしては、
- 子犬の頃から関節のトラブルがある
- 高齢になって歩きにくそうにしている
- 過去に関節の手術をしたことがある(膝蓋骨脱臼、前十字靭帯断裂など)
などが挙げられます。
その際に使用される成分は、
- グルコサミン
- コンドロイチン
- ASU(アボカド大豆不鹸化物)
- MSM(メチルスルホニルメタン)
- プロテオグリカン
- オメガ3脂肪酸(EPA、DHAなど)
といったものが一般的です。
②皮膚や被毛のトラブル

よくあるトラブルとしては、
- アレルギーによる皮膚炎を繰り返す
- 乾燥肌や脂っぽい肌で皮膚トラブルを繰り返す
- 年齢や病気で被毛が薄くなっている
などが挙げられます。
その際に使用される成分は、
- オメガ3脂肪酸(EPA、DHAなど)
- 亜鉛
- ビタミンE
- コラーゲン
といったものが一般的です。
③腸内環境のトラブル

よくあるトラブルとしては、
- よく下痢や軟便をする
- 便秘気味である
- 腸内環境を整えて全身のケアをしたい
などが挙げられます。
その際に使用される成分は、
- 乳酸菌
- ビフィズス菌
- フラクトオリゴ糖
- ガラクトオリゴ糖
- 酪酸菌
- イヌリン
といったものが一般的です。
④肝臓のトラブル

よくあるトラブルとしては、
- 子犬の頃から肝臓の数値が高い
- 病気で肝臓の数値が高い
- エコー検査で肝臓に異常がある
などが挙げられます。
その際に使用される成分は、
- SAMe
- シリマリン
- オルニチン
- プラセンタ
- BCAA(分岐鎖アミノ酸)
といったものが一般的です。
⑤認知機能のトラブル

よくあるトラブルとしては、
- 徘徊行動が増えた
- 夜鳴きが増えた
- トイレの場所が分からなくなった
- 留守番ができなくなった
などが挙げられます。
その際に使用される成分は、
- オメガ3脂肪酸(EPA、DHAなど)
- MCT(中鎖脂肪酸)
- GABA
- ホスファチジルセリン
といったものが一般的です。
⑥尿のトラブル

よくあるトラブルとしては、
- 膀胱炎を繰り返している
- 頻尿や血尿を繰り返している
- 結石ができている
などが挙げられます。
その際に使用される成分は、
- N-アセチルグルコサミン
- クランベリー
- ウラジロガシエキス末
といったものが一般的です。
⑦目のトラブル

よくあるトラブルとしては、
- 目が白くなってきた
- 白内障と診断された
- 目が見えにくくなってきている
などが挙げられます。
その際に使用される成分は、
- ルテイン
- アントシアニン
- アスタキサンチン
- ゼアキサンチン
- クルクミノイド
といったものが一般的です。
⑧心臓トラブル

よくあるトラブルとしては、
- 聴診で心臓に雑音があると言われた
- 心臓病が多い犬種と言われている
- 運動すると疲れやすい様子が見られる
などが挙げられます。
その際に使用される成分は、
- コエンザイムQ10
- タウリン
- フランス海岸松樹皮抽出物
- オメガ3脂肪酸(EPA、DHAなど)
といったものが一般的です。
⑨口内環境のトラブル

よくあるトラブルとしては、
- 口臭が気になる
- 歯石がついていると言われた
- 歯磨きができない
などが挙げられます。
その際に使用される成分は、
- アスコフィラムノドサム
- グロピゲンPG
- ラクトフェリン
- リゾチーム
といったものが一般的です。
老犬のサプリメントの選び方

ここまでは、老犬へのサプリメントの必要性とトラブルに合った成分を解説しました。
では、実際にサプリメントを選ぶ際に、どのように選べばよいのでしょうか?
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①ケアしたい体調に合った成分が入っている

当然ではありますが、現在愛犬に見られているトラブルに合った成分が含まれているサプリメントを選びましょう。
どれだけ良質なサプリメントであっても、目的と異なるサプリメントを選んでは効果が表れません。
また、上記のようにサプリメントにはさまざまな種類があるので、与えるべき成分が分からない場合は一度獣医師に相談すると良いでしょう。
②成分表示が明確で信頼できるメーカー

現在、サプリメントはインターネットでもさまざまな商品が発売されています。
人のサプリメントとは異なり、すべての商品が同じ基準で品質管理されているとは限らないため、パッケージの成分表示や製造元の確認も必要です。
例えば、人においては2024年には人用の紅麹を含む健康食品で健康被害が報告されました。
犬も同様で、過去にはペット用おやつで健康被害が疑われた事例もありますので、信頼できる商品を選ぶようにしましょう。
③与えやすい形状

どれだけ愛犬にピッタリのサプリメントが見つかったとしても、与えられなければ意味がありません。
愛犬がどのようなタイプの形状であれば、無理なくサプリメントを与えられるか考えましょう。
特に粉末タイプや液体タイプだと、ウエットフードなどに混ぜることで、シニア犬でも無理なく与えられることが多いです。
④続けやすい価格

サプリメントは、長期的に使用することで効果が表れることが一般的です。
そのため、長期に継続できるようコスト面も考えてサプリメントを選ぶことが大切です。
老犬にサプリメントを与える際の注意点

最後に、サプリメントを与えるにあたって注意すべきことをまとめました。
以下のような点に注意しながらサプリメントを使用しましょう。
- 用量・用法を守る
- 成分の重複に注意する
- 薬との飲み合わせに注意する
- 体調に変化があった場合は中止する
- 定期的に健康チェックを受ける
また、持病がある犬や治療中の犬では、サプリメントが体調や薬の効果に影響を与える可能性があります。
自己判断での併用は避け、必ず獣医師に相談した上で使用するようにしましょう。
まとめ:老犬の健康をサプリメントでサポートしよう

老犬には、加齢とともに現れる体調の変化がつきものです。
シニア期の生活の質を高めるためにも、サプリメントは健康維持の心強い味方となります。
ただし、選び方や与え方を誤ると、十分な効果が得られないだけでなく、体に負担をかける可能性もあります。
まずは、愛犬がどのような健康状態で、どのようなサプリメントが必要なのかを獣医師に相談しましょう。
愛犬の年齢や体調をしっかりと見極めながら、本当に必要な成分を選び、無理なく続けることが大切です。


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