老犬にバナナは与えていい?シニア犬の体に合う量と注意点を専門家が解説

COLUMN

甘くて柔らかくて美味しいバナナ。栄養もたっぷりで、老犬に食べさせてあげたいと思っているのではないでしょうか。

ただ、老犬は若い頃と違ってさまざまな機能が衰えているため、バナナが負担にならないか気になりますよね。

基本的には、バナナは老犬に与えても大丈夫な果物で、上手に活用すれば役立つこともたくさんあります。

そこでこの記事では、ペットフーディストや犬の管理栄養士の私が、老犬にバナナを与えるときの量や注意点について解説します。

老犬にバナナは与えても大丈夫!

バナナは犬にとって有害成分を含まず、基本的に老犬でも安全に食べられる果物です。

特に完熟したバナナは水分を多く含み、繊維もやわらかいため、噛む力や飲み込む力が弱くなった老犬でも食べやすいでしょう。

ただし、青いバナナは消化されにくいデンプン(難消化性デンプン)が多く、老犬ではお腹が張ったり軟便になることがあります。

一方、完熟バナナは難消化性デンプンが糖に変わっているため消化はしやすくなりますが、糖分が増えるため与えすぎには注意が必要です。

老犬に与える場合は、黄色く熟したものを適量にとどめましょう。

老犬にバナナが役立つ4つの場面

バナナは糖質や食物繊維、カリウムを含む果物で、少量でもエネルギーを補いやすく、腸の動きや体の働きに関わる成分を含んでいます。

ここでは、老犬にバナナが役立つ場面について見ていきましょう。

①便秘傾向があるとき

老犬の便が硬く出にくいときは、少量のバナナが補助になることがあります。

老犬の便秘は食物繊維の不足だけが原因ではなく、加齢による腸の動きの低下や水分摂取量の減少、踏ん張る筋力の低下によって、便が腸内に長くとどまり乾いてしまうことで起こることも珍しくありません。

バナナに含まれるペクチンなどの成分は水分を保ち、硬くなった便をやわらかくする働きがあります

排便のリズムを整えるというより、出にくくなった便を出しやすくすると言えば分かりやすいのではないでしょうか。

なお、2日続けて排便がない場合や、腹部の張りや嘔吐を伴う場合は様子を見ず、早めに動物病院を受診してください。

②食欲が落ちているとき

老犬がごはんを食べ始めないとき、フードに少量のバナナを混ぜると口をつけるきっかけになることがあります。

老犬になると胃腸の不調だけでなく、嗅覚の低下によって食事への反応が弱くなることも珍しくありません。

においを感じにくくなると、空腹でも「食べ物」と認識しにくくなり、食器の前に来ても食べ始めない状態が起こってしまうのです。

バナナは甘い香りが立ちやすく、フードに少量絡めることで、においの刺激を加えることに役立つでしょう。

老犬がご飯を食べないのはなぜ?原因と対処法を獣医師が解説

③体重が減ってきたとき

体重が減ってきたときにバナナを与えることで、エネルギー不足を補うことに役立つでしょう。

老犬は、加齢により筋肉の分解が進みやすくなるうえ、食べる量も減りやすいため、必要なカロリーが不足しがちです。

とはいえ、急にフード量を増やすと食べきれなかったり、胃腸の負担になることも少なくありません。

完熟したバナナは、体が分解する手間が少ない形のエネルギーになっているため、少量でカロリーを補いやすいという特徴があります。

ただし、急激な体重減少や、食べているのに痩せていく場合は病気が隠れていることもあるため、早めに動物病院を受診してください。

④噛む力が弱くなったとき

噛む力が弱くなってきた老犬でも、バナナは取り入れやすい食材です。

加齢により歯の状態やあごの筋力が低下すると、食事に時間がかかったり、途中で食べるのをやめてしまうことも珍しくありません。

その点、バナナは押すだけでつぶれるほどやわらかく、咀嚼の負担をほとんど増やさずに与えることができます

ただし、食べづらそうな様子が続く場合は、口腔内のトラブルがないか確認することも大切です。

老犬に与えていいバナナの量

バナナは糖分やカロリーが高いため、与えすぎれば肥満や栄養バランスの崩れにつながります。

おやつやトッピングとして与えるのは、老犬が1日に必要なカロリーの10%以内にしましょう。

体重別に1日に与えていいバナナの量をまとめてみたので、参考にしてください。

体重 避妊・去勢なし老犬 避妊・去勢済み老犬
2kg 18g 15g
3kg 24g 21g
4kg 30g 26g
5kg 35g 30g
6kg 40g 35g
7kg 45g 39g
8kg 50g 43g
9kg 55g 47g
10kg 59g 51g
15kg 80g 69g
20kg 100g 85g
25kg 118g 101g
30kg 135g 116g

※バナナ生 / 100gあたり93kcal(参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

上記を目安に、愛犬の体調や便の状態、食欲などを見ながら量を調整しましょう。

もっと具体的に愛犬のカロリーを知りたい場合は、以下の記事をチェックしてみてくださいね。

シニア犬の1日のカロリーは?老犬の年齢・体重別の目安と活動係数を解説

老犬にバナナを与えるときの注意点

バナナは、上手に活用することで老犬に役立つ果物ですが、与えるときには注意することもあります。

ここでは、老犬にバナナを与えるときの注意点を見ておきましょう。

アレルギーに注意する

老犬に初めてバナナを与える場合は、ごく少量にとどめ、体調に変化がないか様子を見てあげましょう

バナナに食物アレルギーがあった場合、食べてから30分~48時間以内に以下のような症状が見られます。

  • 皮膚の赤みや痒み
  • 目の周りや口の周り、耳を痒がる
  • 足先を執拗に舐めたりかじる
  • 下痢や軟便、便の回数が増える
  • 嘔吐

症状には個体差がありますが、上記のような症状が1つでも見られたときは与えるのを控え、獣医師に相談してください。

与え過ぎない

バナナは与えすぎないことが大切です。

やわらかく食べやすい一方で、バナナは糖質が多く、少量でもカロリーがあります。

老犬は活動量が低下しているため、余分なエネルギーは脂肪として蓄積されやすくなるので適量を守りましょう

皮は与えない

バナナの皮は、与えないようにしてください。

バナナの皮は犬にとって有害な成分を含むわけではありませんが、消化しにくく胃腸の負担になってしまいます

さらに、皮部分は繊維が硬く分解されにくいため、嘔吐や便秘、腸閉塞の原因になることもあります。

また、バナナの白い筋も有害ではありませんが、繊維が硬く老犬では消化しにくい部分なので、体への負担を避けるため、できるだけ取り除いてから与えましょう。

細かく刻んだりペースト状にして与える

バナナはそのまま大きな塊で与えず、細かく刻むかつぶしてから与えましょう。

老犬では噛む力や飲み込む力が低下しており、やわらかい食材でも大きいまま飲み込むと、喉につまらせてしまうことがあります

フォークでつぶしたり、水分を少量加えてペースト状にすると飲み込みやすくなり、胃腸への負担も抑えられますよ。

持病がある犬は獣医師に確認してから与える

腎臓病や糖尿病などの持病がある老犬では、自己判断でバナナを与えないようにしましょう。

バナナにはさまざまな栄養素が含まれており、病気で栄養制限が必要な老犬にとって負担となってしまうことがあります。

現在治療を受けていたり、療法食を使用している場合は、必ず獣医師に相談してから与えてください。

老犬に与えるバナナによくある質問

ここでは、バナナに関するよくある疑問を解説していきます。

Q1.毎日あげてもいい?

A.少量であれば毎日与えても問題はありません。

ただし、毎日与えるかどうかは、「フードも食べているか」「体重が安定しているか」「便の状態が変わっていないか」を目安に判断するといいでしょう。

どれかに変化が見られる場合は、量や頻度を見直すことが大切です。

Q2.冷凍してもいい?

A.バナナの冷凍保存は可能ですが、完全に解凍してから与えましょう。

バナナは冷凍しても栄養面の問題はありません。ただし凍ったままのバナナは硬く、喉に詰まらせない大きさにするのは難しいです。

また、冷たいと胃腸を刺激し、吐き戻しや下痢の原因になることがあります。老犬では体温調節や消化機能が低下しているため、特に注意が必要です。

Q3.バナナチップを与えてもいい?

A.老犬にはあまりおすすめできません。

犬用のバナナチップは砂糖や油を使っていない製品も多く、安全性に問題があるわけではありません。

しかし、乾燥して水分が少ない分硬いため、噛む力や飲み込む力が弱くなった老犬では食べにくく、吐き戻しや消化の負担につながることがあります。

老犬では、生のバナナを少量つぶして与える方がよいでしょう。

Q4.黒くなったバナナをあげてもいい?

A.皮に黒い斑点(シュガースポット)が出ている程度であれば与えて大丈夫です。

バナナは熟すにつれて、でんぷんが糖に変わりやわらかくなります。

そのため未熟なものより消化の負担が少なく、老犬にも与えやすいバナナと言えます。

ただし、異臭がする・汁が出ている・カビが見られるなど明らかに傷んでいる場合は与えないでください。

まとめ

バナナは、食欲や体調の変化が出てきた老犬の食事を支えるために、無理なく取り入れられる食材のひとつです。

甘くやわらかいバナナは、喜んで食べてくれる老犬も多いでしょう。

ただし、与えすぎないように適量を守ることが大切です。愛犬の状態を見ながら、上手に活用してくださいね。

たかだ なつき(高田菜月)

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4匹の愛犬と暮らすペット専門ライター×ペットの専門家。長年人間の介護に携わっていたが、愛犬の介護をきっかけにペットライターに転身。犬の飼育歴は20年以上。こ...

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