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シニア犬(老犬)にりんごを食べさせても大丈夫!与え方や与える量を解説

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犬がりんごを食べても大丈夫なことは、すでに知っているママさんパパさんも多いでしょう。

しかし、愛犬がシニア期にはいると、「シニア犬にも同じように与えていいの?」という疑問が湧いてきますよね。

シニア犬になると、噛んだり飲み込む力が衰えてきたり、消化機能が衰えてきます。

さらに、持病を抱えていたり、体調に波があったりと気をつけてあげたいことがたくさん出てくる時期です。

そのため、今までと同じ感覚で与えてしまうと、負担になってしまうことも珍しくありません。

そこで、高齢の愛犬たちと暮らしてきた犬の管理栄養士や動物介護士の私が、シニア犬のりんごの与え方を徹底解説します。

与える量や注意点についてもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

まず基本!シニア犬がりんごを食べても大丈夫!

結論から言ってしまうと、シニア犬がりんごを食べることは問題ありません。

りんごには、ショ糖や果糖といった甘み成分が含まれています。

こうした自然な甘みは犬が好みやすく、食欲が落ち気味なシニア犬でも受け入れられやすいでしょう。

また、シニア犬になると視覚や聴覚は少しずつ衰えていきますが、嗅覚は比較的最後まで残りやすい感覚です。

りんご特有の甘い香りは、食事やおやつへの興味を引き出すきっかけになり、「食べたい」という気持ちを刺激してくれることもあります。

シニア犬がりんごを食べるメリット5つ

シニア犬にとって、りんごのメリットは「受け入れられやすい」ということだけではありません。

ここでは、シニア犬がりんごを食べるメリットを見ていきましょう。

①食物繊維でお腹の調子を整えやすい

りんごには水溶性食物繊維(ペクチン等)と不溶性食物繊維(セルロース等)がバランスよく含まれており、お腹の調子を整えるサポートが期待できます。

シニア犬になると、筋力の低下や自律神経の働きの変化により、腸を動かす力が弱まりやすくなります

その結果、便秘になったり、軟便が続いたりと、お腹の調子が安定しないことも珍しくありません。

りんごを食べることで、便の硬さや排便のスムーズさが安定しやすくなり、排便トラブルを起こしにくくしてくれます。

ただし、食物繊維は多く摂れば良いというものでもないため、与える量に注意してあげることが大切です。

②抗酸化成分がエイジングケアに役立つ

りんごには、皮だけでなく果肉にも抗酸化成分(プロシアニジン)が含まれているため、加齢に伴う酸化ダメージから体を守るサポートが期待できます。

体内には、増えすぎてしまった活性酸素を無毒化してくれる機能が備わっていますが、加齢とともにその働きは低下してしまいます。

本来、適量の活性酸素は体を守るためにも必要な存在です。

しかし、過剰になってしまうと体中の細胞を傷つけやすくなり、ガンや認知症、心血管疾患、免疫機能の低下など、さまざまな病気を引き起こすことも少なくありません。

シニア犬がりんごを食べることは、日々の食事の中で抗酸化成分を取り入れ、体への負担をやわらげることにつながります。

③水分補給をサポートしやすい

りんごは約84%が水分の果物なので、食事やおやつとして自然に水分を取り入れやすいという特徴があります。

シニア犬になると、感覚の衰えに加えて、立ち上がる・歩くといった動作が負担になり、水飲み場まで行く回数が減りがちです。

そのため、のどの渇きを感じにくくなったり、水を飲む量が減ったりして、知らないうちに水分摂取量が不足してしまうことも珍しくありません。

【シニア犬の水分不足のリスク】

  • 便が硬くなり、排便に時間がかかりやすくなる
  • 尿の量が減り、体内の老廃物が排出されにくくなる
  • 軽い脱水状態となり、元気や食欲が落ちやすくなる
  • 疲れやすくなり、活動量がさらに低下しやすい
  • 皮膚が乾燥しやすくなり、被毛のパサつきやフケにつながる
  • 体温調節がうまくいかず、暑さや寒さの影響を受けやすくなる
  • 持病がある場合、症状悪化のきっかけになることもある

りんごを取り入れることで、水を飲んでもらうことを意識しすぎなくても、食べる行動の中で水分を補えるのはメリットと言えるでしょう。

もちろん、りんごだけで十分な水分補給ができるわけではありませんが、日常の中で水分摂取を意識するひとつの方法として役立ちます。

老犬の水分量の計算方法|上手く飲めないシニア犬に水を与える工夫と対策

④状態に合わせて食感を調整しやすい

りんごは、シニア犬の状態に合わせて食感を調整しやすい果物です。

りんごに含まれるペクチン(水溶性食物繊維)は、実の形や食感を保つ働きを持ち、状態を変えることで口当たりが変わりやすいという性質を持っています。

シニア犬では、そのときの状態に合わせて食べ方を変えられることは、取り入れやすさのひとつと言えるでしょう。

りんごは、生の状態ではシャキシャキとした食感を楽しめますが、すりおろしたり加熱すると柔らかく、やさしい口当たりになります。

シニア犬の食事で大切なのは、年齢だけで判断しないことです。

今、どれくらい噛めるか、飲み込みに無理がないか、どんな気分かを見てあげることで、食べやすさと食べる楽しみを両立した食事につながりますよ!

⑤食べるきっかけを作りやすい

りんごは犬の嗜好性が高く、食感の変化もつけやすいため、シニア犬が「食べてみよう」と思うきっかけを作りやすいというメリットもあります。

シニア犬は、嗅覚や代謝の衰え、嗜好の変化、気分のムラなどで、体調不良がなくても食事への興味が薄れることがあります。

ママさんパパさんの愛犬でも、昨日は食べたのに、今日は食べない、なんてことも普通にあるのではないでしょうか。

シニア犬では、一度口にするとそのまま食事が進むことも多く、りんごが最初のひと口を後押しする存在として役立ちます

食べる量そのものよりも、食べる行動につながるかどうかが大切になるのがシニア期です。

シニア犬が1日に食べてもいいりんごの量

りんごはシニア犬にも取り入れやすい果物ですが、主食ではなくあくまでも補助的な食材として考えることが大切です。

りんごは糖質や食物繊維が含まれているため、1日の摂取カロリーの10%程度(多くても20%以内)にとどめ、そのカロリー分のドッグフードを減らしましょう

【体重別目安】※りんごは可食部(皮・芯・種を除いた部分)で計算
りんごの100gあたりのカロリー:225kcal

体重 1日の上限
目安量
摂取カロリーの
10%目安
2kg 約7g 17kcal
3kg 約10g 22kcal
4kg 約12g 28kcal
5kg 約15g 33kcal
6kg 約17g 38kcal
7kg 約19g 42kcal
8kg 約21g 47kcal
9kg 約23g 51kcal
10kg 約25g 55kcal
15kg 約33g 75kcal
20kg 約41g 93kcal
りんごの重さの目安
※通常(中)サイズのりんごの皮、種、芯を取り除いた可食部
・1/2個…約100g
・1/4個…約50g
・1/6個…約30g
・1/8個…約25g

これはあくまでも1日の上限の目安であり、この量をMAXで与える必要はありません。

特にシニア犬は基礎代謝や活動量が低下しやすい、消化に時間がかかることがあるなど、若い頃と同じではないことを考えてあげる必要があります。

与えたときの体調や便の状態、体型、食欲などを見て、調整しましょう。

シニア犬にりんごを食べさせるときの与え方と注意点4つ

シニア犬にりんごを食べさせるときは、与え方など注意してあげなければいけないこともあります。

①食物アレルギーに注意する

りんごは比較的アレルギーが起こりにくい食材ですが、体質によっては食物アレルギーを起こす可能性もあります。

シニア犬に初めて食べさせるときは、ほんの少量から始め48時間ほどは様子を見てあげましょう

食物アレルギーは食べて30分〜48時間で以下のような症状が見られます。

  • 皮膚の赤みや痒み
  • 目の周りや口の周り、耳を痒がる
  • 足先を執拗に舐めたりかじっている
  • 下痢や軟便
  • 嘔吐

こうした症状が見られたときは、無理に食べさせずに獣医師に相談しましょう。

シニア犬は若い頃よりも体の反応が出やすいことがあるため、「今まで大丈夫だったから」と過信しないこともポイントです。

②芯、種、茎、葉は与えない

りんごを食べさせるときは、芯、種、茎、葉を与えないようにしてください。

芯や種、茎、葉には「アミグダリン」という有害成分が含まれ、摂取すると体調不良につながるおそれがあります。

誤って食べることがないよう、生ゴミの処理にも注意しましょう。

③食べやすい形に工夫する

シニア犬にりんごを与えるときは、今の噛む力や飲み込みやすさに合った形を意識してあげることが大切です。

【シニア犬におすすめの与え方】

  • 薄くスライスする
  • みじん切りにする
  • すりおろす
  • 加熱して柔らかくする

年齢を重ねると、歯が抜けてきたり、あごの力が弱くなったりと、口まわりの状態には個体差が出やすくなります。

そのため、「シニア犬だから必ずこの形」と決めつける必要はありません。

ただし、犬は人間のように咀嚼して物を食べるというわけではなく、飲み込める大きさになったら飲み込むという習性があります。

サイズが大きければ喉に詰まらせてしまったり、消化に負担をかけてしまうことにもつながります。

④皮を与える場合はすりおろす

りんごの皮は、必ずしも剥かなければいけないものではありません。

皮にはポリフェノール(抗酸化成分)が豊富に含まれており、皮ごと与えることもできます。

ただし、りんごの皮は消化しにくいため、すりおろしてあげることが大切です。

また、りんごの皮には農薬やワックスがついていることも多いので、皮ごと与えたい場合は無農薬や有機栽培されたりんごを選んであげましょう。

シニア犬にりんごを与えるときによくあるQ&A

ここでは、シニア犬にりんごを食べさせるときによくある疑問を解決していきましょう。

Q1.シニア犬に毎日りんごを与えていい?

A.適量であれば、毎日与えることに問題はありません。

りんごを使用したドッグフードもあります。

ただし、あくまでもおやつやトッピングの範囲内にしましょう。

Q2.りんごジュースを飲ませても大丈夫?

A.りんごだけを使用したりんご100%のジュースであれば飲ませても大丈夫です。

原材料を確認し、糖分や添加物など、りんご以外のものが含まれているものは控えましょう。

また、りんごジュースは犬にとっても飲みやすく、ついついたくさんあげてしまいがちですが、与え過ぎないように注意してください。

なお、人間用に加工されたりんごジャムやりんごゼリー、りんごの缶詰などは糖分がとても多く肥満の原因になるため、与えないようにしましょう。

Q3.腎臓病のシニア犬にりんごはダメ?

A.腎臓病のステージやシニア犬の状態によって異なるため、獣医師に確認しましょう。

りんごは、タンパク質やリン、ナトリウムなどが少なめな果物ですが、カリウムを含んでいます。

自己判断せず、かかりつけの獣医師に確認したほうが安心です。

Q4.シニア犬がりんごの種を食べちゃったけど大丈夫?

A.ほんの少量であれば、便と一緒に排出されるため問題ありません

ただし、たくさん食べてしまった場合は、注意が必要です。

りんごの種には有害成分が含まれおり、中毒を起こした場合は食べてから30〜1日以内に以下のような中毒症状が現れます。

  • 嘔吐や下痢
  • よだれが増える
  • 元気がなくなる
  • 呼吸困難
  • 痙攣

これらの症状が現れた場合は、たとえ夜中であっても動物病院を受診してください。

また、たくさん食べても何も症状が見られなかった場合でも、早めに獣医師に相談することが大切です。

まとめ

りんごは、与え方や量に気をつければ、シニア犬に与えても大丈夫な果物です。

最後に、りんごの与え方や注意点をおさらいしておきましょう。

  • 適量を与える
  • 芯、種、茎、葉は取り除く
  • 食べやすさに配慮する
  • 皮を与えたいときは無農薬や有機栽培されたりんごを選ぶ

りんごを好きな犬は多いため、シニア犬の食べる楽しみを負担のない形で支えてあげましょう。

<参考文献>

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「アミグダリン」
農林水産省「主な果物の健康機能性」

たかだ なつき(高田菜月)

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4匹の愛犬と暮らすペット専門ライター×ペットの専門家。長年人間の介護に携わっていたが、愛犬の介護をきっかけにペットライターに転身。犬の飼育歴は20年以上。こ...

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