シニア犬の食事と健康管理|愛犬にいつまでも食べる喜びを。
シニア犬になると、食事の量や好みが変わってきます。
「最近食べムラが増えた」「体重が減ってきた気がする」など、食事にまつわる悩みを感じているママさんパパさんも多いのではないでしょうか。
ここでは、シニア犬に合った食事と注意したいポイントを分かりやすくご紹介します。
シニア犬の食事で気をつけたいポイント

犬は年齢とともに代謝が落ち、筋肉量や臓器の機能が少しずつ低下します。
若い頃と同じ食事を続けていると、カロリーオーバーや栄養バランスの偏りが起きやすくなるため、シニア期には“年齢に合った食事内容”を見直すことが大切です。
シニア期に意識したい栄養素
シニア期の犬の体は年齢とともに少しずつ変化していきます。
加齢による体の変化には「活性酸素」が深く関わっており、体に取り入れるものを意識してあげることが大切です。
活性酸素はストレス・紫外線・環境汚染物質などによって体内で発生し、強い酸化力で細胞や遺伝子を傷つけやすくなることが分かっています。
その結果、代謝機能や組織再生力が低下し、老化につながるのです。
活性酸素の影響や加齢で起こりやすい変化として、腎臓・心臓・脳などの機能低下、筋肉量の減少、関節疾患、歯周病の進行、嗅覚の低下などが挙げられます。
これらを防ぐために、以下のような栄養素を摂らせてあげると良いでしょう。
- エイジングケア
…ビタミンC、ビタミンE、ルテイン、タウリン、βカロテン、リコピン、ポリフェノール - 関節・軟骨の健康維持
…グルコサミン、コンドロイチン硫酸、オメガ3脂肪酸 - 関節の痛み軽減
…EPA、DHA - 筋肉・体力の維持
…良質なたんぱく質、ロイシン、カルニチン - 歯石予防・口腔の健康維持
…ポリリン酸ナトリウム、グルコン酸亜鉛 - 脳・神経の健康維持
…トリプトファン、MCTオイル(中鎖脂肪酸)、ホスファチジルセリン、アルギニン - 心臓・血管の健康維持
…タウリン、コエンザイムQ10(CoQ10) - 消化・腸内環境サポート
…食物繊維(可溶性・不溶性バランス)、乳酸菌、オリゴ糖 - 皮膚・被毛の健康
…ビオチン、亜鉛、オメガ6脂肪酸(リノール酸)
カロリーの摂りすぎには注意
シニア犬になると活動量が減る一方で、食欲は変わらないケースもあります。
食事量を若い頃のままにしておくと、肥満になりやすく、関節や心臓への負担が大きくなりやすいので注意が必要です。
ごはんは1日の適正カロリー量を守り、おやつはその10%以内を目安にしましょう。
また、体重の増減をこまめにチェックし、太りやすいと感じたらフード量やおやつの見直しをするのがおすすめです。
食欲が落ちてきたシニア犬の食事の工夫

食欲の低下は一時的なこともありますが、体調の変化や病気のサインである場合もあります。
まずは焦らず、愛犬の様子をよく観察しながら「食べやすく・おいしく感じる工夫」をしてあげることが大切です。
ここでは、シニア犬の食欲が落ちてきたときに試したい工夫を紹介します。
「何を」だけでなく「どう食べさせるか」も大切
食欲が落ちてきてしまった場合、シニア犬にとって快適な食事環境を整えることで、食べる意欲が戻ることもあります。
- 消化吸収しやすいごはん
…低脂肪・高たんぱく・やわらかめに - 歯や顎の衰えに配慮
…ドライフードはふやかす、ウェットフードを活用 - 食器の高さを調整
…犬が少し下を向くくらい(肩の高さ程度)が理想 - スプーンで与える
…直接食べるのが難しい場合に有効
また、消化の負担を軽減するためにも、食事の回数は1日3~4回にしましょう。
空腹の時間を減らことは、食欲の低下を防ぎやすくなることにもつながります。
食べ残しが多いときは、ごはんを軽く温める、香りをつける、トッピングを加えるなどの工夫も効果的です。
タンパク質の見直し
食欲が落ちているときほど意識したいのが、タンパク質の質です。
特にシニア犬は成犬時よりも良質な動物性タンパク質をしっかり摂ることが大切と言われています。
※病気によっては制限が必要になることもあるので持病がある犬は獣医師に確認してください。
ドッグフードの原材料欄で最初に「肉類」が書かれているものを選びましょう。
一方で、大豆やトウモロコシは食物繊維が多く、タンパク質の吸収を妨げることがあるため、主原料が穀物中心のフードは避けるのがおすすめです。
シニア犬の水分補給
年齢を重ねると、犬の体内の水分量は自然と減少します。
また、腎臓や肝臓などの働きが衰えることで、体内の老廃物をうまく排出できなくなることも。そのため、こまめな水分補給がとても大切です。
飲水量が減ると、脱水だけでなく尿路結石や腎臓病のリスクも高まります。特に食欲が落ちている時期は、水を飲む量も減りがちなので注意が必要です。
水を飲ませる工夫としては、
- ウェットフードやスープタイプのフードを取り入れる
- ドライフードをぬるま湯でふやかす
- 低脂肪のスープやヤギミルクを少量混ぜる
- 食事や散歩の後など、飲むタイミングを増やす
- 新鮮な水を常に複数箇所に置いておく
などがあります。
シニア犬は嗅覚が衰えているため、少し香りのあるスープなどで水分を取らせるのもおすすめです。
水分補給を意識することで、腎臓や膀胱の健康維持にもつながります。
シニア犬は食事だけでなく定期的な獣医師のチェックを受けよう!

どんなにバランスの取れた食事を心がけていても、年齢とともに少しずつ体の機能は変化していきます。
だからこそ、シニア期は「食事管理+定期的な健康チェック」の両立が欠かせません。
血液検査や尿検査、体重・筋肉量のチェックを通して、今の健康状態を数値で把握しておくと、食事内容の見直しやサプリメントの選び方にも役立ちます。
小さな異変を早めに見つけてあげることが、長く健やかに過ごす第一歩です。
食事だけでは見えない体調の変化
シニア犬の体は、外見だけではわからない変化が起きています。
「よく食べているから大丈夫」「元気に見えるから安心」と思っていても、内臓機能が静かに低下していることも少なくありません。
例えば、腎臓病や肝臓のトラブル、甲状腺機能の変化などは、食欲や毛づやにわずかな変化しか出ないまま進行することもあります。
そのため、食事管理と合わせて定期的な獣医師によるチェックを受けることが大切です
定期的な健康診断・血液検査
定期的な健康診断や血液検査を受けることで、肝臓・腎臓の働き、貧血、栄養状態などを把握できます。
また、毎日の体重測定や食欲・水分摂取量のチェックも、早期異常のサインを見つける手がかりになるため、意識して観察することが大切です。
特に、
- 食欲が急に落ちた・増えた
- 飲水量や尿の量が増えた
- 口臭が強くなった
- なんとなく元気がない
といった変化がある場合は、自己判断せず、早めに獣医に相談してください。
早期発見・早期対応が、シニア犬の健康寿命を延ばすカギになります。
シニア犬と暮らす家族が気をつけたい食事以外の日常ケア

シニア犬の健康を守るためには、食事だけでなく生活全体のサポートも大切です。
無理のない運動やスキンシップの時間が、心と体の両方の健康を支えます。
- 適度な運動
…短い距離でも、毎日の散歩で筋肉や関節の衰えを防げます。気温や体調に合わせて無理のない範囲で行いましょう。 - 室内環境の工夫
…フローリングに滑り止めマットを敷く、段差を減らすなど、転倒防止の工夫しましょう。 - ブラッシングやマッサージ
…血行促進とリラックス効果に加え、体の異変にも早く気づけます。 - ストレスを減らす
…環境の変化に敏感になる時期なので、安心できる場所やルーティンを大切にしましょう。 - 愛情を伝える時間を増やす
…年齢を重ねると感覚が鈍くなる分、声かけやスキンシップが心の支えになります。
こうした日常の積み重ねが、食事や医療ケアと同じくらいシニア犬の健康寿命に影響します。
「昨日より少し元気」「今日はよく眠れている」そんな小さな変化を感じ取れるのも、ママさんパパさんならではの力です。
まとめ

食事は、シニア犬にとって生きる喜びのひとつです。
愛犬の年齢や体調に合わせて、少しずつ内容を見直すことで、毎日のごはん時間をもっと楽しいものにできます。
焦らず、無理せず、愛犬のペースに寄り添いながら食事を工夫していきましょう。
そして、定期的な健康チェックも忘れずに行ってあげてください。
小さな変化に気づき、穏やかで幸せなシニア期を一緒に過ごしていきたいですね。


この記事へのコメントはありません。