シニア犬に子犬用フードをあげても大丈夫?OK条件と注意点【専門家解説】
シニア犬に子犬用フードをあげている飼い主さんを見かけたり、子犬用フードをあげても大丈夫という情報を見聞きして、
「本当に大丈夫なの?」
「愛犬にあげてもいいの?」
と迷っているのではないでしょうか。
確かに、シニア犬用フードと子犬用フードは栄養バランスが違うため、扱いを間違えれば体の負担となったり肥満の原因になることもあります。
しかし、シニア犬によっては子犬用フードのほうが良い場合もあるのです。
そこでこの記事では、ペットフーディストや動物介護士の私が、子犬用フードを与えても大丈夫なシニア犬や注意点、選び方のポイントを解説します。
子犬用フードの正しい活用方法を知っておくことで、何かと役に立ちますよ!
子犬用フードとシニア犬用フードの違いは?実はそこまで変わらない

そもそも、子犬用フードとシニア犬用フードの違いは何だと思いますか?
ドッグフードのパッケージには、「子犬用」「シニア犬用」など対応年齢が書かれており、それを見ただけだと、大きな違いがあるように感じるでしょう。
しかし、基本的な構造はほぼ同じです。
違いは、年齢によって配慮してあげる栄養素が若干異なるという点にあります。
ここでは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
子犬用フードの特徴

子犬用フードは、成長期の体づくりをサポートするための設計になっています。
ドッグフードメーカーによって異なりますが、基本的には以下のような特徴があります。
- 高タンパク
…からだのすべてを作る基本となるのがタンパク質。筋肉や骨などの発達を効率よくサポート - 高脂質
…成長を支えるためのエネルギー消費が大きい。脂質は少量で効率よくエネルギーを補える - 高カロリー
…活発に動く子犬の成長を支えるために十分なエネルギー量が必要 - オメガ3脂肪酸が必ず含まれる
…オメガ3は脳細胞や神経組織の構成成分。成長期の脳・神経・目・免疫・皮膚・被毛をしっかりサポートする
また、子犬は消化器官が未熟なため、消化吸収に配慮されたものが多いです。
シニア犬用フードの特徴

シニア犬用フードは、シニア犬の体の変化に合わせた設計になっています。
犬はシニア期に入ると、代謝が落ちて太りやすくなったり、筋肉量が減って関節に負担がかかりやすくなったり、消化吸収能力や内臓機能の低下などが起こります。
こうした変化に対応するために、シニア犬用フードは以下のような特徴が見られることが多いです。
- 中~高タンパク
…筋肉や体力の維持をサポートするため。シニア犬は成犬よりも多くのタンパク質が必要 - 低脂質
…代謝が落ちて太りやすくなった体への配慮 - 低~中カロリー
…代謝が落ちた犬が必要以上にカロリーを摂らない工夫 - 関節サポート成分配合
…グルコサミンやコンドロイチンなど関節の健康に配慮した成分を配合
実は、ドッグフードはどれくらいが高タンパク、どれくらいが低脂質といった明確な基準はありません。
そのため、メーカーによっては「低脂質」としても、一般的に販売されている子犬用フードとそこまで変わらない栄養バランスだったりすることもあります。
ただその場合でも、カロリーは控えめになっていることがほとんどです。
シニア犬に子犬用フードを与えてもOKな条件

基本的に、シニア犬には年齢や体の状態に合ったシニア犬用フードを与えたほうが体への負担が少なく、体重管理もしやすいです。
しかし、すべてのシニア犬にシニア犬用フードを与えるべきかというとそういうわけでもありません。
体の状態や目的によっては、子犬用フードのほうが良い場合もあります。
ここでは、子犬用フードを与えても良いシニア犬について見ていきましょう。
痩せ気味や食欲低下のシニア犬

加齢とともに代謝が落ち、筋肉量や脂肪が減って体が細くなってくるシニア犬も少なくありません。
また、食欲が落ちているシニア犬は、必要なカロリーや栄養を摂りきれないことがありますね。
愛犬になんとか食べてもらいたいと、さまざまなドッグフードを試しているママさんパパさんもいるのではないでしょうか。
そんなときに、子犬用フードの「高カロリー・高脂質・高嗜好性」が役立ちます。
子犬用フードは少ない量でも効率よくエネルギーを補給でき、食いつきの改善にもつながるでしょう。
実際にわたしの高齢の愛犬も、同居犬がお空組になってショックで何も食べられなくなってしまったときに、子犬用フードが再び食べるきっかけを作ってくれましたよ。
病後・体力回復中のシニア犬

病気や手術のあとで体力が落ちているシニア犬にも、子犬用フードが一時的に向く場合があります。
子犬用フードはエネルギー密度が高く、体の回復に必要な栄養をしっかり摂れるように作られているからです。
また、食欲が戻りにくい回復期でも、香りが強く食べやすい子犬用フードが食欲を刺激してくれるでしょう。
シニア犬に子犬用フードを与えるときの注意点

子犬用フードは栄養価が高いため、シニア犬に与えるときは注意してあげることもあります。
持病があるシニア犬は必ず獣医師に相談する

腎臓や心臓、肝臓などの持病があるシニア犬に子犬用フードを与える場合は、必ず獣医師に相談してください。
子犬用フードは高タンパク・高脂質・高カロリーの設計が多く、持病によっては内臓への負担がかかる可能性もあります。
もちろん、持病があっても子犬用フードを食べて良いという判断をされることも多々あるため、自己判断せずに相談することが大切です。
血液検査の結果に影響することもあるが神経質になりすぎない

子犬用フードは高タンパク・高脂質でエネルギー密度も高めのため、血液検査の数値が少し変わることがあります。
たとえば肝臓の一部の数値が一時的に上がるなどはよくあることで、必ずしも健康に問題があるわけではありません。
大切なのは、血液検査の結果だけに一喜一憂せず、体重や体調の変化、食欲の様子と合わせて総合的に判断することです。
また、子犬用フードを与えていることを事前に獣医師に報告しておくと、血液検査の数値の変化がフードの影響によるものかどうかを判断しやすくなります。
これにより、数値の変動に過剰に不安になることなく、安心して子犬用フードを続けられますよ!
体調や体重の変化を観察する
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子犬用フードをシニア犬に与える場合は、日々の体調や体重の変化をしっかり観察することが大切です。
たとえば体重が急に増えたり減ったりする場合や、便の状態、食欲の変化がある場合は、フードの量や種類を見直してみましょう。
こうした日常の小さな変化をチェックすることが、肥満や内臓への負担を防ぐことに役立ちます。
シニア犬に子犬用フードを選ぶポイント

シニア犬に子犬用フードを与える場合は、ただ「子犬用だから」と選ぶのではなく、愛犬の状態や目的に合ったフードを選ぶことが大切です。
栄養バランスだけでなく、良質なタンパク質や脂質が使用されているか、消化吸収や嗜好性に配慮されているかなどを確認しましょう。
子犬用フードといってもさまざまな種類があり、選ぶときは悩んでしまうかもしれません。
そこで、シニア犬が子犬用フード選びのポイントをまとめてみました。
- 主原料が肉や魚
…肉や魚は良質なタンパク質。犬は動物性タンパク質の消化を得意とする - レバーやハツなど内臓肉が使用されている
…栄養価が高く、犬の嗜好性が期待できる食材 - 犬の健康に不要な添加物が使用されていない
…香料や着色料、人工保存料などが使用されていないもののほうが安心。人工添加物の中には腸内環境をマイナスに変化させるものもある - フリーズドライやフレッシュフードも検討する
…消化吸収率が95%以上と高く、嗜好性も抜群。柔らかいので食べやすさにも配慮できる
基本的に子犬用フードは、オメガ3脂肪酸が含まれていたり小粒だったりと、シニア犬にも向いている要素があります。
これらのポイントを参考に、愛犬の好みや状態に合わせて選んでみてくださいね。
まとめ

子犬用フードは基本的に子犬向けに作られていますが、シニア犬でも役立つことがあります。
体重が減っている、食欲が落ちている、病後で体力を回復させたい場合などは、試してみると良いでしょう。
ただし、持病がある場合は獣医師に相談したり、日々の体調・体重の変化を観察することが大切です。
子犬用フードを上手に取り入れて、シニア犬の毎日の元気を支えてあげましょう。


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