老犬に牛肉はあげていい?適切な量・部位・注意点を専門家が徹底解説
成犬のときは普通にあげていた牛肉。しかし、老犬になると「牛肉は体に負担がかかるのでは?」と、あげていいか迷ってしまいますよね。
牛肉は犬の嗜好性が高く、食欲が落ちてきた老犬にとって魅力的な食材です。
しかし、老犬だからこそ与え方には注意してあげたいこともあります。
この記事では、4匹の高齢愛犬と暮らしていたペットフーディストや動物介護士の私が、老犬に牛肉を与えるメリットや適量、注意点を解説します。
老犬に牛肉はあげても大丈夫?基本的には加熱すればOK!

適量でしっかり過熱してあれば、老犬に牛肉を与えても大丈夫です。
牛肉は良質なタンパク源で、体に必要な必須アミノ酸をバランスよく含み、部位によっては消化しやすいという特徴があります。
タンパク質は体にとって重要な栄養素であり、老犬の体にも欠かせません。
また、「老犬になるとタンパク質量を抑えたほうがいい」という情報を見聞きしたこともあるかもしれませんが、それは大きな誤解です。
確かに、タンパク質を過剰に摂取すると肝臓や腎臓に負担がかかりますが、老犬は成犬よりも多くの良質なタンパク質を摂取する必要があります。
制限しすぎれば逆に体に負担をかけてしまうことになるため、適度に取り入れることが大切なのです。
老犬に牛肉を与える3つのメリット

老犬に牛肉を与えることは、日々の食事のサポートになるだけでなく、健康維持にも役立ちます。
ここでは、老犬に牛肉を与えるメリットについて見ていきましょう。
筋肉量の維持・サルコペニア対策

牛肉は、老犬の筋肉量の維持やサルコペニア対策に役立つ食材です。
老犬は加齢とともに筋肉を作る働きが低下して、筋肉量が減少(サルコペニア)しやすくなります。
筋肉が落ちると、疲れやすくなったり体温を保ちにくくなったりするだけでなく、体力の低下や歩行の不安定さなど、さまざまな影響を及ぼすことも珍しくありません。
そのため、老犬の食事では、筋肉の維持を意識した栄養管理がとても重要なのです。
牛肉に含まれるタンパク質は体内で利用されやすく、無駄になりにくいため、効率よく栄養を補いやすいという特徴があります。
鉄・亜鉛による貧血・免疫サポート

牛肉は鉄分や亜鉛が豊富に含まれるため、老犬の貧血予防や免疫機能の維持に役立ちます。
鉄分は血液中のヘモグロビンの材料となり、全身に酸素を運ぶために欠かせない栄養素です。
不足すると、活動量の低下や元気のなさといった変化が見られることも珍しくありません。
また、亜鉛は皮膚や被毛の健康維持や、免疫機能に関わる重要なミネラルで、不足すると皮膚トラブルや感染症への抵抗力の低下につながります。
老犬は、食事量の低下や吸収力の変化によってこうした栄養素が不足しやすくなるため、効率よく補える牛肉は取り入れやすい食材といえるでしょう。
食いつきアップで食欲低下対策

牛肉は香りが強く嗜好性が高いため、食欲が低下しやすい老犬でも食べてくれることが多い食材です。
老犬になると、これまで食べていたフードに興味を示さなくなることがありますよね。
これは加齢によって嗅覚や味覚が鈍くなったり、脳の前頭葉の働きが低下して嗜好性に変化が見られるためですが、愛犬がご飯を食べないのは心配ですね。
牛肉は加熱することで香りが立ちやすく、食欲を刺激しやすいので、いつものフードにトッピングをしたり、そのまま与えることで食べてくれやすいでしょう。
老犬におすすめの牛肉の部位

老犬に牛肉を与える場合は、脂肪分の少ない赤身肉(もも・ヒレなど)を選んでください。
赤身肉は高たんぱくでありながら脂質が控えめなため、消化への負担が比較的少なく、老犬でも取り入れやすいです。
一方で、バラ肉や霜降り肉など脂身の多い部位は避けたたほうがいいでしょう。
脂質はたんぱく質や炭水化物に比べて消化に時間がかかり、消化酵素(特に膵臓)の働きが必要になります。
老犬はこの機能が低下しやすいため、未消化のまま腸に届くことで下痢を引き起こしたり、胃腸への負担から嘔吐につながることがあります。
老犬に牛肉を与える量の目安

老犬に牛肉を与える場合は、与えすぎないことが大切です。
牛肉は栄養価の高い食材ですが、脂質も含まれているため、与えすぎると消化の負担になったり、下痢や体重増加につながる可能性があります。
そのため、おやつやトッピングで与える場合は、老犬が1日に必要な摂取カロリーの10%程度にとどめましょう。
以下に老犬に与えていい牛肉の1日の目安量を体重別にまとめたので、参考にしてください。
| 体重 | 避妊・去勢なし老犬 | 避妊・去勢済み老犬 |
| 2kg | 7g | 6g |
| 3kg | 10g | 9g |
| 4kg | 13g | 11g |
| 5kg | 15g | 13g |
| 6kg | 17g | 15g |
| 7kg | 19g | 17g |
| 8kg | 22g | 18g |
| 9kg | 24g | 20g |
| 10kg | 26g | 22g |
| 15kg | 35g | 30g |
| 20kg | 43g | 37g |
| 25kg | 51g | 44g |
| 30kg | 59g | 50g |
※うし[和牛肉]もも 皮下脂肪なし 生 / 100gあたり212kcal(参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」)
上記を目安に愛犬の体調や便の状態を見ながら、調整しましょう。
なお、輸入牛肉の場合はもう少しカロリーが低くなりますよ!
老犬に牛肉を与えるときの注意点

牛肉は老犬にとってメリットのある食材ですが、与えるときは注意してあげたいこともあります。
初めて与えるときは少量にとどめる

牛肉を初めて与えるときはごく少量にとどめ、食後30分~48時間程度様子を見てあげましょう。
牛肉に限らず、どんな食材にも体質に合う・合わないはあり、アレルギー反応を起こすこともあります。
【犬の食物アレルギーの主な症状】
- 皮膚の赤みや痒み
- 目の周りや口の周り、耳を痒がる
- 足先を執拗に舐めたりかじっている
- 下痢や軟便、排便回数が増える
- 嘔吐
症状には個体差もありますが、こうした症状が見られるときは与えるのを控え、獣医師に相談してください。
特に老犬は若い頃に比べて反応が出やすいことがあるため、よく観察してあげてくださいね。
必ず加熱する

牛肉は、必ず加熱してから与えましょう。
牛肉はほかの肉類と比べて生でも比較的安全ですが、老犬のは加齢によって免疫力や消化機能が低下しています。
そのため、生のままでは体に負担がかかることもあるので、加熱してから与えたほうが安心です。
適度に加熱することで肉がやわらかくなるほか、消化酵素が働きやすくなる構造に変化するため、体内で処理しやすい状態になりますよ。
ただし、加熱しすぎると硬くなるので、加熱する際は中までしっかり火が通り、赤みが残っていない状態を目安にしましょう。
食べやすいサイズにする

牛肉は、食べやすいサイズにしてから与えましょう。
老犬は噛む力や飲み込む力が弱くなっていることがあり、大きいまま与えると食べにくかったり、喉につまらせてしまう可能性があります。
そのため、細かく刻んだり、やわらかく煮込むなどして、無理なく食べられる状態にしてあげましょう。
特に歯が弱くなっている場合は、より小さくするなどの工夫が必要です。
持病がある老犬は獣医師に相談してから与える

持病がある老犬に牛肉を与える場合は、事前に獣医師へ相談したほうが安心です。
特に、腎臓病や膵炎の老犬では、病気の状態によって栄養制限が必要になることもあります。
また、療法食を与えている場合では、自己判断で食材を追加するのは絶対にNG!与える前に必ず獣医師に確認しましょう。
まとめ

老犬にとって、牛肉は与えても大丈夫な食材です。
良質なタンパク質を効率よく摂取できるため、食欲が低下している場合でも取り入れやすいでしょう。
ただし、老犬の体は若い頃とは違うため、加熱をしたり食べやすくするなどの配慮は必要です。
牛肉は老犬にとってもメリットがあるため、正しい与え方で上手に活用してくださいね。















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