老犬の鼻から血が…その原因と注意すべき症状、自宅でのケアを獣医師が解説
年齢を重ねた愛犬の鼻から突然血が出ると、とても心配になりますよね。
そんなとき、
「なぜ鼻から血が出たのだろう?」
「大きな病気が隠れているのでは?」
「動物病院を受診したほうがよいのかな?」
といった不安や疑問をお持ちではないでしょうか?
実は、犬の鼻から血が出る原因は、外傷から腫瘍、歯周病、さらには血液の病気までさまざまです。
特に老犬では、若い頃に比べて腫瘍性疾患や全身性疾患のリスクが高まることをご存知でしょうか?
この記事では、老犬の鼻から血が出る原因や注意すべき症状、動物病院での検査、自宅でできるケアについて獣医師が分かりやすく解説します。
最後までお読みいただき、老犬の鼻から血が出たときの考え方について理解を深めましょう。
老犬の鼻から血が出る原因

まず、老犬の鼻から血が出る原因としては、どのようなものが考えられるのでしょうか?
その原因を大きく分けると、
- 外傷や異物による障害
- 感染や炎症
- 歯周病
- 鼻腔内腫瘍
- 血液凝固障害
が挙げられます。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①外傷や異物による障害

老犬の鼻血で比較的多いのが、鼻の中の粘膜が傷つくことによる出血です。
老犬では、
- 家具への衝突
- 散歩中の転倒
- 他の犬とのケンカ
といった外傷で鼻の粘膜が損傷することで、鼻から血が出ることがあります。
また、お散歩のときに草の穂先や小さな木片などの異物が鼻に入るケースも少なくありません。
異物が入ると、激しいくしゃみや鼻を気にするしぐさも見られることがありますが、老犬では粘膜が弱くなっていることが多いため、強いくしゃみや小さな異物だけでも粘膜から出血する場合があります。
特に、外傷の心当たりがある場合や、突然の発症で元気や食欲が保たれている場合は、まず外傷や異物を疑います。
②感染や炎症

老犬では、慢性的な鼻炎や感染症によって鼻の粘膜が炎症を起こし、出血することがあります。
特に、アレルギーなどによる慢性的な鼻炎がある老犬では、繰り返し鼻から血が出ることも少なくありません。
また、年齢による免疫力の低下から、鼻の中に細菌や真菌が感染を起こし、鼻から血が出るケースもあります。
③歯周病

老犬では、進行した歯周病によって鼻から血が出ることも珍しくありません。
犬の上顎の歯、特に犬歯や臼歯の歯根は鼻腔に近いため、歯周病が進行すると炎症や膿瘍が鼻の中へ波及することがあります。
【歯周病で見られる主な症状】
|
このような症状が同時に見られた場合は、口腔内のトラブルが原因で鼻から血が出ている可能性があります。
その場合は、鼻だけでなく歯や歯肉のチェックも重要になるため、早めに動物病院を受診しましょう。
④鼻腔内腫瘍

老犬の鼻から血が出たとき、特に注意したいのが「鼻腔内腫瘍」です。
鼻腔内腫瘍とは、鼻の中にできるしこりのことを言います。
鼻腔内腫瘍は悪性のものが多く、
- 腺癌
- 扁平上皮癌
- 線維肉腫
- リンパ腫
といった腫瘍が老犬ではよく見られます。
初期症状として、片側だけの慢性的な鼻血や鼻水が見られることがあり、進行すると鼻づまりや顔の変形、呼吸音の変化、両側の鼻からの出血といった症状が見られることも珍しくありません。
鼻の中には外側から確認することが難しく見逃されやすいため、注意が必要です。
「少量の鼻血だから」と様子をみることは避け、早めの受診を心がけましょう。
⑤血液凝固障害

最後に、鼻から血が出る原因として、「血が止まりにくい状態」が挙げられます。
出血が起きた場合は、多くは血小板などにより自然と止血されます。
この止血に必要な因子が、何かしらの原因により体内で不足している状況が「血液凝固障害」です。
その代表的な原因としては、
- 血小板減少症
- 血液凝固異常
- 播種性血管内凝固
- 殺鼠剤中毒
などが挙げられます。
これらが起きている場合は、鼻だけでなく皮膚や尿に出血が見られることも少なくありません。
命に関わる病気が隠れていることもあるため、早急な受診が必要です。
老犬の鼻から血が出たときに注意すべき症状

ここまでは、老犬の鼻から血が出たときに考えられる原因について解説しました。
それを踏まえ、出血以外にどのような症状に注意が必要なのでしょうか?
具体的には、
- 膿っぽい鼻水が出る
- 食欲が低下している
- 発熱している
- 出血の量が多い
- 粘膜の色が白い
- ぐったりしている
- 鼻以外にも出血が見られる
といった症状が同時に見られる場合は、鼻だけではなく全身に及ぶ病気が原因で、鼻から血が出ている可能性があります。
また、出血に関しても、一度止まってもまた出血する、出血が止まらないといった様子が見られる場合は、注意が必要です。
これらの様子が見られる場合は、早急に動物病院を受診しましょう。
| 片側からの出血と両側からの出血の違い
老犬の鼻から出血した場合、それが片方の穴から出ているのか、両方の穴から出ているのかによって、意味が異なると言われています。 片側性:鼻腔内腫瘍や異物、歯周病など局所的な疾患の可能性 両側性:血液凝固異常や進行した鼻腔内腫瘍などの可能性 もちろん例外はありますが、どちら側から出ているかは必ず確認しましょう。 |
老犬の鼻から血が出たときに行う検査でわかること

では、老犬の鼻から血が出たときに動物病院を受診した場合、どのような診察や検査が行われるのでしょうか?
動物病院を受診した際には一般的に、
- 問診と身体検査
- 画像検査
- 血液検査
などが行われます。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①問診と身体検査

まず問診では、これまでの愛犬の様子について質問されます。
具体的には、
- 今までに病気をしたことがあるか
- いつ鼻から血が出たのか
- 原因に心当たりがあるか
- 元気や食欲はあるか
といった内容を聞かれることが多いです。
また、身体検査では、全身の出血が無いか、粘膜の色、顔の変形、口腔内の状態などの確認が行われます。
その結果から、どのような原因で鼻から血が出たかを推察し、必要な検査が行われることが一般的です。
②画像検査

問診や身体検査の結果から、鼻腔内腫瘍や異物、歯周病などが疑われる場合は、レントゲン検査やCT検査が行われることが多いです。
これらの検査で、鼻の中の構造や異物の有無、歯周病の進行具合などの確認が行われます。
異物が疑われる場合は、追加で内視鏡による検査が行われることもあります。
③血液検査

これまでの検査から、血小板減少症や血液凝固異常が疑われる場合は、血液検査が行われることが多いです。
血液検査では、
- 貧血や炎症の有無
- 血小板減少の有無
- 凝固異常の有無
などの確認が行われます。
老犬の鼻から血が出る前にできる自宅でのケア

ここまでは、老犬の鼻から血が出たときの対応について解説しました。
では、老犬の鼻から血が出る前に、自宅でできるケア方法としては、どのようなものがあるのでしょうか?
具体的な方法としては、
- 室内でのケガや誤食のリスクを減らす
- デンタルケアで歯周病のリスクを減らす
- 定期健診で病気の早期発見をする
といったものが挙げられます。
現在では、3歳以上の犬の約80%に歯周病のリスクがあると言われています。
歯周病の予防は自宅でのデンタルケアが何よりも大切ですので、毎日欠かさずケアを行いましょう。
また、老犬では半年ごとの健康診断が推奨されています。
定期的な健康診断を行うことで、鼻腔内腫瘍や全身疾患の早期発見につながります。
「健康そうだから」と安易に考えず、気になる症状が無くても定期的な健康診断を受けさせましょう。
まとめ

老犬の鼻から血が出る原因は、粘膜の損傷から腫瘍、歯周病、血液疾患まで幅広いものが挙げられます。
特に老犬では、腫瘍や慢性疾患の割合が高くなる傾向があるため、鼻血には注意が必要です。
出血の様子だけでなく、粘膜の色などの全身的な症状を確認し、異常があれば早めに動物病院を受診しましょう。
また、日頃のデンタルケアや定期検診は、歯周病や全身疾患の早期発見・早期治療にもつながります。
愛犬の健康を守るためにも、些細な体調の異変を見逃さないことが大切です。


















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