老犬が寝ながらうんちをするのはなぜ?老化と病気の見分け方と介護のコツ
朝起きて愛犬の寝床を見たら、眠ったままの姿勢でうんちが出てしまっていた……。
そんな朝を迎えて、胸がつぶれる思いをしたことはありませんか?
「あんなにトイレを覚えていた子なのに、どうして」
「本人はまるで気づいていない様子だけれど、どこか悪いのかな」
私は20年以上犬と暮らして5匹を飼育し3匹を看取ってきました。
だからこそ、汚れた寝床を片付けながら「この子はもう元には戻らないのだろうか」と考えてしまう気持ちが、痛いほど分かります。
愛犬の介護を通じて正しい知識の大切さを痛感し、JKC愛犬飼育管理士の資格を取得しました。
結論からお伝えすると、老犬が寝ながらうんちをする背景には、肛門をしめる筋肉の衰えや、便意を伝える神経の変化があることが多いといえます。
ただし、なかには病気が隠れているケースもあるため、老化による変化との見分けが大切です。
この記事では、老犬が寝ながらうんちをする原因の整理から老化と病気の見分け方、自宅でできる排便介助や寝床のケアまでを解説します。
読み終える頃には、愛犬を責めずに向き合う方法が見えてくるでしょう。
老犬が寝ながらうんちをするのはなぜ?主な原因4つ
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眠ったまま便が出てしまう状態は、専門的には「便失禁」と呼ばれます。
まずは、老犬に起こりやすい4つの原因を見ていきましょう。
原因1.肛門括約筋の衰えで便を止めておけなくなる

もっとも多いのが、肛門をしめている筋肉(肛門括約筋)が加齢とともに衰えるケースです。
VCA動物病院の解説によると、犬の便失禁には肛門括約筋がうまく閉じられなくなる「括約筋性」と、直腸に便をためておけなくなる「貯留性」の2つのタイプがあるとされています(※)。
このうち括約筋性のタイプでは、犬自身が気づかないまま少量の便が漏れるという特徴があります。
【肛門括約筋の衰えで見られやすいサイン】
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「さっきまで何ともなかったのに」と感じるのは、老犬自身にも自覚がないためです。
決してしつけを忘れたわけではなく、体の変化として受け止めてあげましょう。
※出典:VCA Animal Hospitals「Bowel Incontinence in Dogs」
原因2.便意を伝える神経の働きが鈍くなる
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「そろそろ出そう」という感覚は、腸から脳へ神経を通じて伝わります。
加齢によって腸から脳への神経伝達が鈍くなると、便意を感じ取る前に便が出てしまうことがあるのです。
椎間板ヘルニアや脊髄の病気など、神経そのものにトラブルがある場合も同じような状態が起こります。
特におしっこの失禁も同時に見られる場合は、神経が関係している可能性があるため、一度動物病院で相談しておくと安心です。
後ろ足のふらつきや、しっぽの動きが鈍くなるといった変化がないかもあわせて観察してみてください。
原因3.認知機能の低下で排泄の意識が薄れる

認知機能不全症候群、いわゆる犬の認知症が関係していることもあります。
コーネル大学獣医学部によると、認知機能不全症候群では「以前はトイレを覚えていたのに室内で排泄してしまう」という症状がみられ、9歳ごろから発症することがあるとされています(※)。
【認知症が疑われるときにあわせて見られるサイン】
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排泄の失敗だけでなく、こうした行動の変化が重なっているようなら、認知機能の低下を疑ってみましょう。
早めに相談することで、進行を穏やかにするケアを提案してもらえることもあります。
※出典:Cornell University College of Veterinary Medicine「Cognitive Dysfunction Syndrome」
原因4.下痢や便秘など消化器のトラブル
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便そのものの状態が原因で漏れてしまうこともあります。
やわらかい便は肛門括約筋でせき止めるのが難しく、健康な犬でも我慢しきれないことがあるためです。
先ほどのVCA動物病院の解説では、下痢や腸の炎症などで直腸に便をためておけなくなる状態を「貯留性」と説明しています。
このタイプは犬自身に便意の自覚があり、間に合わずに寝床や部屋の中で出てしまうという違いがあります。
| 便の状態 | 考えられる原因 |
| 水様便・軟便が続く | 消化器のトラブルや食事の影響 |
| コロコロと硬い便 | 水分不足や便秘。いきむ力の低下も関係する |
| 黒っぽい便・血が混じる | 消化管からの出血が疑われるため早めに受診 |
| 強いにおいや粘液が混じる | 腸に炎症が起きている可能性がある |
便がゆるい状態が続いているなら、まず便の状態を整えることが失禁の軽減につながるでしょう。
食事内容の見直しについては、自己判断で変えず獣医師に相談しながら進めてください。
老犬の便失禁は老化と病気のどちらか見分ける方法

「これは年齢のせいなのか、それとも病気なのか」という迷いは、多くのママさんパパさんが抱えるものです。
ここからは、判断の手がかりになるポイントを整理します。
老化による便失禁に見られる特徴

加齢に伴う変化の場合、便失禁の症状だけがゆるやかに進み、ほかの元気さは保たれているという特徴があります。
食欲がしっかりあり、便の見た目もふだんと変わらないなら、体の衰えによるものと考えられるケースが多いでしょう。
【老化による変化と考えやすいケース】
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ただし、老化と決めつけてしまうと病気の発見が遅れることもあります。
一度は動物病院で診てもらい、そのうえで「加齢による変化」と確認できると、日々のケアにも落ち着いて向き合えるでしょう。
動物病院を受診すべき便失禁のサイン

次のような様子が見られる場合は、加齢のせいと決めつけず早めに動物病院を受診しましょう。
【早めの受診をおすすめするサイン】
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特に急に始まった便失禁と、後ろ足の異常をともなう場合は、神経や脊髄のトラブルが隠れていることがあります。
夜間や休日であっても、ぐったりして反応が鈍いときはすぐに連絡してください。
受診の際は、後述する排便の記録を持参すると診察がスムーズになります。
老犬が寝ながらうんちをするときの排便記録のつけ方

日々の排便を記録しておくと、変化に気づきやすくなり、獣医師へ伝える材料にもなります。
難しく考える必要はなく、スマホのメモやカレンダーに数行書き残すだけで十分です。
| 記録する項目 | 書き方の例 |
| 時間 | 朝6時ごろ/夜中2時ごろ |
| 状態 | コロコロ/ふつう/やわらかい/水様 |
| 色 | 茶色/黒っぽい/血が混じる |
| 愛犬が気づいていたか | 自分でトイレに行った/寝たまま出ていた |
| そのほか | 食欲あり/後ろ足がふらついた |
写真を撮っておくと、色や形を言葉で説明するより正確に伝わります。
1〜2週間分の記録が集まると、「夜中に多い」「食後に多い」といったパターンが見えてくることがあるでしょう。
パターンがつかめれば、その時間の前にトイレへ促すなど、先回りしたケアにつなげられます。
老犬の寝ながらうんち対策|自宅でできる排便介助とケア

原因や傾向がつかめたら、次は毎日のケアです。
ここでは、自宅で取り入れやすい方法を紹介します。
排便介助のやり方と押さえておきたいコツ

自力で排便姿勢を保てなくなった老犬には、体を支える介助が助けになります。
後ろ足の付け根あたりにタオルを通して軽く持ち上げると、踏ん張る力の弱い子でも姿勢を保ちやすくなるでしょう。
【排便介助の基本的な流れ】
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強く押したりこすったりするのは避け、あくまでやさしく行ってください。
なお、便が出ない日が続くときや、いきんでも出ない様子があるときは、自己判断で浣腸などを行わず獣医師に相談しましょう。
肛門まわりの毛を短くカットしておくと、汚れが絡みにくくなり手入れがぐっと楽になりますよ。
老犬のオムツはいつから使う?サイズ選びのポイント

オムツを使い始めるタイミングに決まりはなく、寝床が汚れる日が続き、掃除の負担が大きくなってきたころがひとつの目安です。
「まだ早い」と我慢する必要はなく、ママさんパパさんが楽になることは愛犬の穏やかな時間にもつながります。
| 選ぶポイント | 確認したいこと |
| 胴まわり | 指が1本入る程度のゆとりがあるか |
| 吸収体 | 便や尿が逆戻りしない構造か |
| しっぽ穴 | 位置がずれず、動いても漏れにくいか |
| 素材 | 通気性がよく、肌にやさしいか |
人間の赤ちゃん用や介護用のオムツを、しっぽの部分に穴を開けて代用しているご家族も多くいます。
コスト面の負担が軽くなるので、続けやすい方法を選んでみてください。
ただし、つけっぱなしは蒸れや皮膚のトラブルにつながるため、こまめに交換して肌の状態を確認しましょう。
寝床を清潔に保ち床ずれを防ぐ工夫

便が皮膚についたままの状態が続くと、かぶれや皮膚炎を起こすことがあります。
寝たきりの子は特に、汚れが同じ場所に触れ続けるため床ずれのリスクも高まります。
【寝床を清潔に保つための工夫】
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自分で寝返りを打てない老犬では、2〜3時間に1回を目安に体の向きを変えると負担が軽くなります。
皮膚が赤くなっていたり、じゅくじゅくした傷ができていたりする場合は、早めに獣医師へ相談してください。
老犬の排泄介護で飼い主の負担を減らす考え方

排泄の介護は、体力よりも心がすり減っていくものです。
私自身、深夜に汚れた寝床を替えながら、ため息をついた夜が何度もありました。
| 抱えがちな悩み | 考え方のヒント |
| 失敗にイライラしてしまう | 愛情が薄れたのではなく、疲れているサイン |
| 叱ってしまい自己嫌悪になる | 犬に自覚はないため、環境を整える方が届きやすい |
| 一人で抱え込んでしまう | 家族や獣医師、ペットシッターに頼ってよい |
| 終わりが見えず不安になる | 記録をつけると、変化と向き合いやすくなる |
失敗を叱っても、犬には理由が伝わりません。
なぜ怒られているのか分からないまま、「怖い」という気持ちだけが残ってしまいます。
汚れを完璧に防ごうとするより、汚れても片付けやすい仕組みを作るほうが、結果として気持ちが楽になるでしょう。
老犬ホームの一時預かりやペットシッターなど、外部の手を借りることも立派な選択肢です。
まとめ|老犬が寝ながらうんちをしても責めずに向き合おう

老犬が寝ながらうんちをするのは、肛門をしめる筋肉や神経の変化によることが多く、犬自身に自覚がないケースがほとんどです。
決してしつけを忘れたわけでも、ママさんパパさんを困らせたいわけでもありません。
【この記事の振り返り】
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汚れた寝床を片付ける時間は、決して無駄ではありません。
愛犬が安心して眠れる場所を整えているという、確かなケアの時間です。
ママさんパパさんと愛犬が穏やかな時間を重ねられるよう、心から願っています。















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