老犬の膿皮症が治らない…その意外な原因と対処法を獣医師が解説
愛犬が年齢を重ね、皮膚の赤みやかゆみを繰り返すようになると、心配になりますよね。
そんなとき、
「なぜ膿皮症が治らないのだろうか?」
「何か病気が隠れているのかな?」
「自宅ではどのようなケアができるのだろうか?」
といった疑問をお持ちではありませんか?
実は、犬は年齢を重ねると皮膚のバリア機能が低下し、膿皮症が治りにくくなることが少なくありません。
そのほかにも、ホルモン疾患やアレルギー、耐性菌などが原因となり、膿皮症が治りにくくなるケースがあることをご存知でしょうか?
本記事では、老犬の膿皮症が治らない主な原因や受診の目安、自宅でのケア方法まで獣医師がわかりやすく解説します。
最後までお読みいただき、老犬の膿皮症が治らないときの対策について理解を深めましょう。
老犬の膿皮症が治らない主な原因

まず、なぜ老犬では膿皮症が治りにくくなるのでしょうか?
老犬では、加齢による免疫力や皮膚のコンディションの変化、アレルギー、ホルモンの病気など、さまざまな原因で膿皮症が治りにくくなります。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①皮膚のバリア機能低下

老犬になると皮膚が乾燥しやすくなったり、免疫力が低下したりして、皮膚のバリア機能が低下しやすいと言われています。
その結果、原因となる細菌が皮膚に侵入しやすくなるため、膿皮症が治りにくくなります。
②不適切な環境

蒸れやすい、乾燥しやすいなどの環境も、膿皮症につながることがあります。
梅雨時や夏場など高温多湿の環境では、皮膚が蒸れ細菌が繁殖しやすくなり、逆に冬場など湿度が低下する時期は、皮膚が乾燥して膿皮症を引き起こしやすくなります。
若い頃は問題がなくても年齢を重ねることで、このような環境の変化が原因で膿皮症が治りにくくなることも少なくありません。
さらに、老犬になるとおむつを使用する機会が増えます。
おむつを長時間着けていることで陰部が蒸れ、膿皮症が起こりやすくなるということも、よくある原因の一つです。
③アレルギー体質

犬のアレルギー性皮膚炎には、大きく分けて「食物アレルギー」と「アトピー性皮膚炎」があります。
なかでも食物アレルギーは、食べ物(フード)に含まれるアレルゲンが原因で、皮膚のかゆみや炎症、下痢や嘔吐などの症状を起こす病気です。
食物アレルギーは、今まで問題なく食べていた食材でも何らかのきっかけでアレルゲンとなるため、老犬になってから発症することもあります。
このようなアレルギー体質が背景にあることで、膿皮症が治りにくくなることも珍しくありません。
④内分泌疾患
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一見、皮膚だけのトラブルに見える膿皮症ですが、内臓の病気が背景に隠れていることで、膿皮症が治りにくくなることがあります。
具体的な例として、老犬では、
- 甲状腺機能低下症
- 副腎皮質機能亢進症
- 性ホルモン異常
- 糖尿病
といった内分泌疾患(ホルモンの病気)が挙げられます。
なかでも、副腎皮質機能亢進症は通称「クッシング症候群」と呼ばれる病気で、皮膚の感染や脱毛が起こりやすくなる病気として知られています。
放置すると、皮膚だけではなく全身的に体調が悪くなることも珍しくないため、注意が必要です。
⑤耐性菌

そもそも膿皮症は、
- ブドウ球菌
- 緑膿菌
- 大腸菌
といった細菌が原因で起こる病気です。
一般的にこれらの細菌に対しては、抗生物質を使用します。
しかし、繰り返し同じ抗生物質を使用することで、細菌が耐性を獲得し、抗生物質が効かなくなるケースも珍しくありません。
「いつもと同じ症状だから」と考え、手持ちのお薬を漫然と使用することは避けましょう。
老犬の膿皮症の症状

では、老犬に膿皮症が起こっている場合、どのような症状が見られるのでしょうか?
代表的な症状として、
- 毛が抜ける(脱毛)
- 皮膚をかゆがる
- 皮膚が赤くなる
- フケやかさぶたが見られる
- 足先をよく舐める
といった様子が挙げられます。
そのような症状に気づいたときは、早めに獣医師に相談することが大切です。
老犬で膿皮症にかかりやすい犬種

では、どのような犬種で皮膚病は起こりやすいのでしょうか?
膿皮症は多くの犬種で見られる病気ですが、以下に挙げる犬種は特に膿皮症が起こりやすいと言われています。
- 柴犬
- フレンチブルドッグ
- シーズー
- ゴールデン・レトリバー
- ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア
- アメリカン・コッカー・スパニエル
これらの犬種では、日頃からこまめに皮膚をチェックし、異常がないか確認しましょう。
老犬の膿皮症で動物病院を受診するタイミングとは?

ここまでは、老犬の膿皮症の症状や原因について解説しました。
では、実際に膿皮症が疑われる場合、どのような様子が見られたら動物病院を受診すべきなのでしょうか?
具体的な例として、
- 皮膚の赤みが広範囲である
- かゆみが強い
- 脱毛が進行している
- よく水を飲むようになった
- 嘔吐や下痢をしている
- 皮膚がべたつく
といった様子が挙げられます。
これらの症状が老犬で見られた場合は、単純に膿皮症が起きているだけではなく、前述した基礎疾患のサインであることも珍しくありません。
自己判断せず、早めに動物病院を受診しましょう。
老犬の膿皮症に対する自宅でのケア

では、実際に愛犬の皮膚に膿皮症が起きた場合、再発防止のために自宅ではどのような対処ができるのでしょうか?
具体的な方法を詳しく見ていきましょう。
①適切なスキンケアを行う

老犬の皮膚は乾燥しやすいので、保湿力の高いシャンプー剤を使用し、定期的にシャンプーを行いましょう。
洗いすぎや洗浄力の強いシャンプーは皮脂を過剰に奪い、皮膚バリア機能の低下につながる可能性があるため、注意が必要です。
また、皮膚の細菌をコントロールするために、薬用シャンプーを使用するケースもあります。
ただし、薬浴シャンプーには多くの種類があるため、自己判断で使用せず、獣医師の指導のもとで使用しましょう。
②サプリメントで皮膚の健康をサポートする

一般的に老犬の皮膚の健康には、
- オメガ3脂肪酸(DHA / EPA)
- ビタミンE
- 亜鉛
- プロテオグリカン
といったサプリメント成分が用いられます。
ただし、サプリメントはあくまで補助的なものであり、治療の代わりになるものではありません。
また、すべての老犬に効果が見られるわけではないため、自己判断で使用するのではなく、事前に獣医師へ相談することが大切です。
③環境管理を行う

夏は湿度や気温が高くなるため、蒸れやすい部位(脇、内股、耳の裏など)は清潔に保つことが大切です。
涼しい室内環境を作り、毛が長い部位は短めにカットして通気性を向上させましょう。
また、おむつを使用している場合は、可能な限り短時間の使用にとどめるよう心がけましょう。
さらに、冬は加湿器を使用し、湿度を適切に保つことも重要です。
一般的に犬が快適な温度と湿度は、温度20〜24℃、湿度40〜60%ほどと言われています。
まとめ

今回は、老犬で膿皮症が治らない原因や症状、受診すべきタイミング、自宅での対処法などを解説しました。
老犬の膿皮症が治りにくいときは、さまざまな原因が隠れていることが多いため、正しい原因の特定が重要となります。
そのうえで、適切な治療を行うことが、膿皮症の完治への第一歩となります。
治りにくい膿皮症を放置すると、皮膚だけではなく全身のトラブルへと発展してしまう可能性もあるため、早めに動物病院を受診するよう心がけましょう。
また、膿皮症が治ってもすぐに繰り返す場合は、自宅でのスキンケアの見直しやサプリメントの使用を検討するタイミングかもしれません。
本記事を参考に、愛犬の皮膚の健康をサポートする一助になれば幸いです。


















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