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【相場10万円】老犬の抜歯費用&重度歯周病のリスクと放置する危険性

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愛犬の口臭が急に強くなったり歯ぐきが腫れていたりして、「病院で老犬の抜歯を勧められたけど費用が心配……」と悩んでいませんか?

そして何より、「高齢なのに全身麻酔なんてリスクが高すぎるのでは?」と不安になっている飼い主さんは多いでしょう。

実は、多くの方がママさんパパさんと同じように費用とリスクの壁にぶつかっています。

しかし結論をお伝えすると、適切な検査と麻酔管理を行えば、高齢でも安全に手術を受けられるケースがほとんどです。

放置してしまうと、重度歯周病は顎の骨を溶かし、心臓や腎臓といった全身に危険性を及ぼします。

この記事を読めば、老犬の抜歯費用の相場が10万円前後になる内訳や、麻酔リスクを回避する方法が明確になります。

不安を解消し、愛犬のために自信を持って次の行動に移せるでしょう。

老犬の抜歯費用は総額10万円前後が目安

老犬の抜歯費用が10万円前後と聞くと「高すぎる!」と感じるかもしれませんが、これは単に歯を抜くだけの費用ではありません。

愛犬の命を守るために必要な検査や管理にかかる費用です。

ちなみに、獣医療の診療料金は独占禁止法により一律に定められておらず、動物病院ごとに自由に設定されています。

そのため、都市部や高度医療センターでは高くなり、地方や一次診療施設では安くなるなど、病院の規模や設備、立地によって数万円単位で変動します。

それを踏まえたうえで、費用の内訳や相場を見ていきましょう。

老犬の抜歯費用の内訳は麻酔管理費と処置料

老犬の抜歯費用が高い最大の理由は、安全を確保するための「麻酔管理費」と「術前検査代」が含まれているからです。

これは、人間でいう「高度医療」にあたる処置だと考えてください。

動物病院で老犬の抜歯費用として請求される主な内訳と平均的な価格帯は以下の通りです。

【抜歯1本と入院1泊の場合の概算】

項目 料金目安(平均的な価格帯) 詳細
術前検査(老犬) 20,000円〜40,000円 血液検査、レントゲン、心エコーなど。高齢で項目増加
麻酔管理料(全身) 30,000円〜50,000円 モニタリング機器の使用料、麻酔専門スタッフの人件費
歯石除去・スケーリング 15,000円〜30,000円 口腔内全体を徹底的にクリーニング
抜歯処置料(1本あたり) 3,000円〜10,000円 重度になるほど処置が複雑になり高額化
入院費(1泊) 5,000円〜10,000円 老犬や重症例では入院が推奨される
合計(概算) 73,000円〜140,000円 処置や抜歯本数により大きく変動する

このように、「老犬の抜歯費用=手術費用」ではなく安全を最大限に高めるための費用だと理解すれば、ママさんパパさんの納得感が深まるのではないでしょうか。

この安全管理のための費用が、特に高齢犬では割高になる傾向があります。

歯周病が重度の老犬は抜歯本数で費用が増加

「歯周病が重度の老犬」の場合、老犬の抜歯費用はさらに高くなる傾向があります。

これは、重症化すればするほど抜歯する本数が増えたり、処置自体が難しくなったりするためです。

歯周病が重度の老犬に見られる重症例では、歯の根元の骨が溶けて歯がぐらつく状態。

炎症が深部に達していると単純な抜歯ではなく、歯肉切開や歯根分割といった複雑な外科処置が必要です。

手術時間が長くなると、麻酔管理費も高くなります。

実際に多くの飼い主さんは、老犬の抜歯費用が10万円以上になると聞いて一度は不安を感じることも少なくありません。

しかし、手術後に長年痛みを隠していた愛犬が美味しそうにご飯を食べる姿を見て、結果として「高額であっても手術を決断して本当に良かった」と感じる方がほとんどです。

このように、老犬にとって抜歯は痛みを断ち切って快適な生活を手に入れるために欠かせません。

術前検査が高額になるのは高齢犬特有

老犬の抜歯費用が若齢犬より高くなるのは、安全を確保するための「術前検査」が強化されるためです。

特に高齢になると、心臓や腎臓といった臓器に何らかの持病を抱えている老犬が多く見られます。

これらの持病は、麻酔薬の代謝や排泄に影響を及ぼし、手術中に命のリスクを高める可能性があります。

そのため、全身麻酔の前に以下の検査が必須です。

  • 血液検査
  • 胸部レントゲン検査
  • 心エコー検査(心臓の動きを詳細にチェック)

ママさんパパさんも「うちの子はもう歳だから……」と不安でいっぱいでしょう。

しかし、これらの検査は老犬にこそ必要不可欠であり、検査でリスクを把握できれば麻酔科医が麻酔薬の種類や量を調整し、安全性を最大限に高めるための「設計図」になります。

術前検査は高額ですが、「愛犬を守るための命綱」として捉えてくださいね。

老犬の抜歯リスクは年齢より全身状態

丸まって寝る犬

「老犬の抜歯リスク」と聞くと単純に「年齢=危険」だと考えがちですが、実は獣医療において「年齢そのもの」は麻酔リスクの最大の要因ではありません。

術前検査の結果を理解する「ASA分類」とは

麻酔リスクの評価は、米国麻酔科学会(ASA)が定める基準を用いて行われます。

これは老犬の抜歯において、麻酔科医が安全性を判断するための共通言語です。

愛犬がどのグレードに該当するかを知ることで、飼い主さんも獣医師との会話で納得感が得やすくなります。

【ASA身体状態分類と麻酔リスクの目安】

グレード 身体状態の概要 麻酔時のリスク
PS1 健康(若齢犬など) 低い
PS2 軽度の全身疾患(軽度肥満など) わずかに高い
PS3 中等度の全身疾患(安定した心臓病、軽度の腎機能低下など) 中程度
PS4 重度で生命を脅かす全身疾患 高い
PS5 瀕死の状態 非常に高い

参考:ASA Physical Status Classification System

特にPS3以上になると、麻酔管理の難易度が高まると判断されます。

ただし、「PS3」であっても、適切なモニタリングや麻酔薬の調整を行うことで、安全に手術を行うことは可能です。

大切なのは、リスクを正しく把握して対策を講じることです。

老犬の抜歯リスクは心臓や腎臓で決まる

老犬の全身麻酔で本当に注意すべきなのは、年齢ではなく心臓や腎臓、肝臓などの内臓機能の状態です。

麻酔薬は全身を巡るため、特に以下の状態にある老犬は麻酔リスクが高まります。

  • 心臓機能が低下していると血圧が大きく変動しやすくなる
  • 腎臓や肝臓の機能が低下していると薬物が体内に残り、回復が遅れる

実際、老犬の抜歯リスクについて「15歳だから危ないのではなく、腎臓の数値が悪いから危ないんです」と語る獣医師は少なくありません。

つまり、臓器に持病がある老犬こそ、若齢犬より入念な術前検査と麻酔管理が求められるのです。

老犬の抜歯を安全に行うためには、老犬の抜歯リスクを正しく評価し、個体に合わせて麻酔計画を立てることが何よりも重要だと言えます。

老犬の抜歯のための麻酔リスクは術前検査で制御できる

老犬の抜歯に伴う麻酔リスクは、術前検査の結果に基づいて麻酔方法や管理体制を調整すれば最大限に制御できます。

老犬の麻酔管理におけるリスク制御は、主に以下の対策に重点を置いて行われます。

  • 麻酔薬の選択
    …代謝・排泄が速く、臓器への負担が少ない薬剤を選択する。
  • モニタリングの強化
    …術中は心電図、血圧、体温、酸素飽和度を厳重に監視する。
  • 体温維持
    …温風マットや加温輸液装置を使用し、体温低下を防ぐ。

術前検査の結果、麻酔リスクが極めて高いと判断された場合は、無理に手術を強行せず、内科的な治療や対症療法に切り替えることもあります。

このように、手術の可否も含めて、老犬に合わせた選択肢を検討することが不可欠なのです。

老犬の麻酔については、以下の記事で詳しく解説しているので、気になる方はチェックしてみてください!

シニア犬の全身麻酔のリスク|何歳まで可能か解説&短頭種・老犬の注意点

手術不可なら内科的治療を選択する

術前検査で麻酔リスクが高すぎると判断され、老犬の抜歯手術ができない場合でも、選択肢は残されています。

その場合は、全身麻酔を伴わない「内科的治療(対症療法)」に切り替えることになります。

内科的治療の目的は「歯周病の完治」ではなく、「歯周病による痛みを和らげ感染の広がりを抑えること」です。

具体的な治療方法は以下の通りです。

  • 抗生物質(抗菌薬)や消炎鎮痛薬の投与
  • 消毒成分を含むデンタルジェルや歯磨きシートによる自宅での口腔ケア

この方法は、歯周病菌の進行を完全に止められるわけではありませんが、炎症による痛みを緩和し食欲低下を防ぐ助けになります。

しかし、根本的な感染源である歯石や膿のたまった歯を放置するため、獣医師と相談しながら愛犬の生活の質を優先したケア計画を立てることが欠かせません。

老犬の歯周病を放置する危険性は?麻酔リスクと放置リスクの比較が重要

「麻酔が怖いから抜歯をしない」という選択肢は、愛犬にさらなる危険性をもたらす可能性があります。

飼い主さんの頭の中には、「全身麻酔による老犬の抜歯リスク」「重度歯周病を放置する危険性」の二つの天秤があるでしょう。

麻酔への不安はよく理解できますが、冷静に比較すべきは「治療しないことで愛犬にどんな未来が待っているか」という点です。

歯周病菌は腎臓や心臓病を悪化させる

重度歯周病を患っている老犬の場合、口腔内に慢性的に存在する歯周病菌の毒素や炎症性物質が血管を通じて全身に広がり、腎臓や心臓などの重要臓器にダメージを与えます。

  • 心臓病や腎臓病を持つ老犬の病気をさらに悪化させる
  • 高齢で臓器の予備能力が低下しているため、病状が一気に進行する危険性がある

「まさか口の中のバイ菌が心臓に関係しているなんて…」と驚かれるかもしれませんね。

実際、日本の獣医療における複数の調査でも、重度歯周病と全身疾患との関連が報告されています。

歯周病は、口腔だけの問題ではなく心臓、肺、肝臓、腎臓など様々な臓器の病気と関連していることがわかっています。

出典:日本小動物獣医師会「愛犬の口腔内の健康維持のために『歯周病』を正しく管理しましょう!」

だからこそ、老犬の抜歯費用を検討する際は目の前の費用だけでなく、放置した際の将来的な治療費用や老犬の命にかかわるリスクも考慮に入れてください。

顎の骨が溶けて顎骨折や口鼻瘻の原因となる

歯周病が重度の老犬特有の目に見える深刻な危険性として、「顎骨折」「外歯瘻(がいしろう)」「口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう)」があります。

重度歯周病では、歯の根元を支えている顎の骨(歯槽骨)が細菌によって溶かされていきます。

特に、トイプードルやチワワなどの小型犬や老犬では顎の骨が薄いため、病変が進行すると少しの衝撃で顎の骨が折れてしまう危険性があります。

【重度歯周病を放置する具体的な危険な症状】

症状名 概要 治療に伴うリスク
病的顎骨折 顎の骨が溶け、食事中などに折れてしまう 激しい痛み、緊急手術と高額な費用
外歯瘻 目の下や頬に膿の袋ができ、皮膚を破って膿が出る 顔の変形、感染の拡大
口鼻瘻 口腔と鼻腔が繋がり、鼻水や鼻血、くしゃみが続く 誤嚥性肺炎、慢性的な不快感

これらの症状は老犬に激しい痛みを与えるだけでなく、治療にもさらに大掛かりな手術と高額な費用が必要になります。

抜歯で痛みが取れQOLが向上する理由

老犬の抜歯は、「痛みの除去」という点で、愛犬のQOL(生活の質)を劇的に改善する最大のメリットをもたらします。

犬は本能的に痛みを隠す動物です。

飼い主さんが気づいていないだけで、グラグラの歯や歯ぐきの膿は老犬に慢性的な痛みを与え続けています。

その痛みは、以下の行動の原因になります。

  • 食事のたびに不快感を感じる
  • 食欲が落ち、体重が減少する
  • 性格が不機嫌になる

手術後、麻酔から覚めた愛犬が感染源と痛みから解放された状態を見てみましょう。

痛みがなくなることで、愛犬は食事を「美味しい!」「食べたい!」という気持ちで勢いよく食べるようになるでしょう。

口臭が消え、飼い主さんが顔を近づけても嫌な臭いがしない。

そして何より、慢性的な不快感が消えたことで性格が穏やかになり、また元気だった頃のように尻尾を振ってくれるようになるのです。

老犬の抜歯費用は一時的な出費かもしれませんが、それは愛犬が「痛みなくご飯を食べて、穏やかに過ごせる時間」を買うための選択です。

抜歯後の痛みを抑え愛犬のQOLを上げる3つの生活ケア

老犬の抜歯後に愛犬が快適に過ごせるかどうかは、術後ケアにかかっています。

手術自体は成功しても、抜歯後の傷口を清潔に保ち痛みをコントロールし続けることが、愛犬の回復とQOL維持には非常に重要です。

特に術後1週間のケアは徹底しましょう。

QOLを上げるためのポイントは以下の3つです。

  1. 食事は原則「ペースト状」に
    …傷口を刺激しないよう、最低1週間は普段のフードに水を加え、ミキサーやフォークで潰したペースト状の食事に切り替えましょう。
  2. 硬いオモチャ・おやつは禁止
    …骨や固いガムなど、顎に負担がかかるものは傷口が完全に塞がるまで(約2週間)厳禁です。
  3. 痛み止めの確実な投与
    …処方された痛み止めや抗生物質は、愛犬が元気に見えても必ず飲み切らせて、痛みをコントロールしたり感染を防いだりしましょう。

老犬の抜歯費用はペット保険の補償対象?保険会社によって異なる

老犬の抜歯費用の大部分は高額になりがちですが、加入しているペット保険によっては自己負担額を大きく軽減できる可能性があります。

治療目的の老犬の抜歯は保険が使えるところが多い

老犬の抜歯費用は、その目的が「歯周病の治療」の場合なら多くのペット保険で補償対象となります。

歯周病は、動物病院で「病気」として診断されます。

したがって、以下の治療行為は保険の定める「疾病治療」に該当する可能性が非常に高いです。

  • 病変が進行した歯の老犬の抜歯
  • 抜歯に伴う全身麻酔や投薬の費用

※注意:歯石除去(スケーリング)は、たとえ抜歯と同時であっても「予防医療」とみなされ、補償対象外(自己負担)となる保険会社がほとんどです。

高額な費用を全額自己負担しなくて済むというのが最大のメリットです。

ただし、補償割合や年間上限額は商品によって異なりますので、必ずご自身の契約内容を確認してください。

予防目的の歯石除去は対象外となる

一方で注意が必要なのは、「予防目的の歯石除去」はすべてのペット保険で補償対象外となる点です。

たとえば、まだ重度歯周病に至っておらず「歯石をきれいにして病気を予防したい」という目的で全身麻酔下でのスケーリングを行う場合は、治療ではなく予防に該当するため保険が使えません。

この場合の費用は全額自己負担です。

老犬の歯周病治療において保険を使う際は、「病気として診断された重度歯周病に対する治療」であるという点が重要になってきます。

この線引きは動物病院と保険会社間で厳格に定められているため、治療前に保険会社に「これは保険の対象となる治療ですか?」と確認しておくと安心です。

高額な抜歯費用に備えて加入内容を確認する

高額な老犬の抜歯費用に備えるためにも、手術を決定する前に加入しているペット保険の契約内容は必ず確認してください。

飼い主さんが請求時のトラブルや想定外の自己負担を防ぐための重要な手順として、以下の点をチェックしましょう。

【抜歯前に確認すべき保険の重要事項】

確認事項 チェックすべき理由
補償割合 支払総額の何割が自己負担になるか把握できる
年間補償上限額 老犬の抜歯費用が年間上限に達しないか確認
歯科治療の特約 歯科疾患自体が補償対象外の契約もあるため
免責金額 一定額までは自己負担になるため

ママさんパパさんも「いざという時に困りたくない」という気持ちでしょう。

実際、「愛犬が14歳で抜歯が必要になった時、契約書を探し出すのに非常に苦労しました。もう少し早く確認しておけば良かったと後悔しています。」という飼い主さんもいます。

高額な抜歯費用で慌てないためにも、今すぐ保険証券を確認し不明点は保険会社に問い合わせて、安心して治療に臨める準備をしてください。

まとめ|老犬の抜歯費用は高額だが治療すべき理由と安心へのステップ

今回の記事では、老犬の抜歯費用がなぜ10万円前後になるのか、そして高齢での手術リスクをどう制御すべきかをお伝えしました。

重要なポイントは以下の3点です。

  1. 費用は命を守るための対価
    …10万円前後の費用は、術前検査やASA分類に基づく麻酔管理など、老犬の抜歯リスクを低減し安全を確保するための費用です。
  2. 放置は全身の危険性
    …歯周病が重度の老犬の場合、放置すると心臓や腎臓の病気を悪化させ、顎骨折などの取り返しのつかない危険性があります。
  3. QOL向上が最大のメリット
    …抜歯は愛犬を慢性的な痛みから解放し、穏やかで美味しい食事ができる未来につながります。術後のケアを徹底すれば、愛犬の回復は早まります。

愛犬が痛みのない快適な生活を送れる未来こそ、高額な費用を支払う最大の理由です。

まずは麻酔リスクを正確に把握するため、動物病院で術前検査を受け、獣医師と治療計画についてじっくり話し合ってみましょう。

大場聖也

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保有資格「JKC愛犬飼育管理士」。幼い頃から犬が大好きで、幼稚園の頃には犬の図鑑をボロボロになるまで読み込んでいた。 10歳のとき、不登校だった私を支えてく...

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