シニア犬の手足が冷たい原因は?病気のサインと温活・マッサージ法を解説
「愛犬の手を握ったら、氷のように冷たくてドキッとした」
そんな経験はありませんか?
実は、手足の冷えは単なる老化だけでなく、隠れた病気のサインの可能性もあります。
本記事では、シニア犬の手足が冷たくなる4つの原因を解説します。
病院へ行くべき危険なサインや自宅でできる温活ケアについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
シニア犬の手足が冷たいときに考えられる4つの原因
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シニア犬の手足の冷えには、筋肉量の低下や生活環境の問題、あるいは病気が隠れているケースも少なくありません。
原因を特定し適切にケアするためにも、まずはシニア犬の手足が冷たくなる主な4つの原因を見ていきましょう。
原因①加齢による体温調節機能の低下
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シニア犬の手足が冷える原因の1つは、自律神経の乱れによる体温調節機能の低下です。
若いころはスムーズに機能していた血管の動きは、加齢とともに鈍くなります。
生命維持に欠かせない内臓へ優先的に血液が集まるため、末端である手足への血流はどうしても後回しにされてしまいがちです。
その結果、気温の変化に体がついていけず、手足が氷のように冷たくなります。
とくに季節の変わり目や寒暖差が激しい時期は、こまめに手足に触れて温度を確認してあげましょう。
原因②血行不良や筋力低下による冷え

筋力の低下と心臓のポンプ機能の衰えも、手足の冷えの原因となります。
体内で作られる熱の多くは筋肉によって生み出されますが、運動量が減ったシニア犬は熱を作り出す力が弱まっているのです。
さらに、血液を全身に送り出す心臓の働きも加齢により弱くなるため、心臓から遠い手足まで温かい血液が届くのが難しくなります。
以下の特徴が見られる場合は、血行不良が疑われるので注意しましょう。
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日頃から無理のない範囲で運動を取り入れ、筋肉量を維持することが大切です。
原因③環境(床冷え・室温)の影響
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犬が生活する環境も手足の冷えにつながります。
冷たい空気は下に溜まる性質があるため、人間が快適だと感じていても、床に近い場所で暮らす犬にとっては寒すぎる場合があります。
とくにフローリングなどの床材は熱を奪いやすく、寝ている間に体温が下がってしまうケースも少なくありません。
愛犬が過ごす環境を見直し、寒さを感じさせないような工夫が必要です。
原因④病気の可能性
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単なる老化現象ではなく、何らかの病気が隠れているために手足が冷えている可能性もあります。
病気が原因の場合、ただの冷えだと思い込んで放置すると、知らぬ間に症状が悪化する危険性が高まります。
温めても改善しない場合や、ほかにも気になる症状がある場合は、早めに獣医師へ相談しましょう。
シニア犬の手足が冷たいときの危険なサイン

シニア犬の手足の冷えは、緊急性の高い病気のサインであるケースも少なくありません。
ここからは、すぐに病院へ行くべきサインを3つ解説します。
手足は冷たいのに体や耳は熱い

手足の先は冷たいにもかかわらず、体や耳の付け根が熱い場合は注意が必要です。
体や耳が熱い状態は、体温調節機能がうまく働いておらず、体の熱を外に逃がせていない可能性があります。
また、何らかの感染症や炎症により発熱しているケースも考えられます。
以下の状態が見られる際は、熱中症や高熱が出ていると疑いましょう。
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症状がひどくなる前に、早めに動物病院の受診が必要です。
片足だけが極端に冷たく痛がる

4本すべての足ではなく、片足だけ、あるいは後ろ足だけが氷のように冷たい場合は、血栓症の疑いがあります。
心臓病などが原因でできた血の塊(血栓)が血管に詰まり、その先の血流が完全に遮断されている状態で、脈拍が触れなくなり、激しい痛みを伴います。
そのため、犬は足を気にして舐め続けたり、悲鳴を上げて歩けなくなったりする場合も珍しくありません。
時間が経つと足が壊死する危険性が高まるため、夜間であっても救急対応している病院を探してすぐに連絡しましょう。
歯茎や耳の色が白い

手足の冷えと同時に、口の中の粘膜や耳の内側の色が白っぽくなっている場合は、重度の貧血やショック状態が疑われます。
本来、健康な犬の歯茎はピンク色をしていますが、血液が全身へ回っていないと色が抜けたように白くなります。
以下のような症状が見られたら、心臓のポンプ機能が低下しているか、体内で出血が起きているサインです。
| チェック部位 | 正常な状態 | 危険な状態(要受診) |
| 歯茎 | 鮮やかなピンク色 | 白、または灰色 |
| 舌 | 赤〜ピンク色 | 紫(チアノーゼ)または白 |
| 耳の内側 | 薄いピンク色 | 白く冷たい |
また、獣医師も行う血液循環のチェック方法に「CRT(毛細血管再充満時間)」というものがあります。(※1)
自宅でもできる簡単な方法なので、貧血が疑われる場合はチェックしてみましょう。
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ピンクに戻るまで3秒以上かかる場合は、血液がうまく循環していない可能性があるので、獣医師に相談することをおすすめします。
手足が冷たいシニア犬を温める4つの方法

シニア犬は筋肉量が落ち、自力で体を温める力が弱まっているため、免疫力の低下や関節の痛みを招く恐れもあります。
しかし、ママさんパパさんがケアをすると、冷えを和らげて快適に過ごさせてあげることは可能です。
ここからは、今日から取り入れられる4つの温活方法について解説します。
①マッサージで血流を改善する

凝り固まった筋肉をほぐし、血流を促すにはマッサージがおすすめです。
愛犬がリラックスしているとき、以下のマッサージを試してみてください。
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とくに、地面に接する肉球や指の間は冷えるため、丁寧に揉みほぐしましょう。
ポイントは愛犬が気持ちよさそうにしているかです。
嫌がる場合は無理に行わず、スキンシップの一環として優しく触れることから始めましょう。
また、腫瘍がある犬の場合は、腫瘍のある部位によってはマッサージが悪影響を及ぼす可能があるため、獣医師に相談してみてください。
②靴下やレッグウォーマーなどの温活グッズを活用する
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散歩中や就寝時の冷え対策には、犬用の温活グッズが役立ちます。
筋肉が落ちて血管が浮き出た足先は、外気の影響を受けやすくなります。
足先を布で覆うと、冷たい空気が肌に直接触れるのを防ぎ、手足の冷えを軽減することが可能です。
温活グッズは靴下やレッグウォーマーなど種類が豊富にあり、愛犬が嫌がらずに使用できるものを選びましょう。
③湯たんぽで腰や太い血管を温める

効率よく愛犬の全身を温めるには、太い血管が通る場所を重点的に温めましょう。
とくに、温めると良い場所は腰です。
腰には下半身へつながる血管が集まっており、冷えがちな後ろ足への血流改善が期待できます。
また首の付け根や脇の下も、効率的に温められるポイントです。
湯たんぽを使う際はタオルで包み、低温やけどに注意してください。
ママさんパパさんが触れてほんのり温かいと感じる程度が適温です。
④体を温める食材を取り入れる
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体の内側から温めるには、食事内容を見直すことをおすすめします。
犬の体を温めるといわれる食材の一例は以下のとおりです。
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いつものご飯にトッピングすると、食いつきもよくなるでしょう。
ただし、持病がある場合は、獣医師に相談してから与えてください。
シニア犬の手足が冷たい状態を防ぐ環境づくりのポイント

長時間過ごす部屋の環境は、体温の維持に直結します。
そのため、温活ケアと並行して、愛犬が過ごす部屋の環境を見直すことも欠かせません。
ここからは、シニア犬と暮らす際に快適な住環境を整えるための2つのポイントを紹介します。
断熱マットやカーペットで床からの冷気を遮断する

犬は人間よりも低い位置で生活しているため、床から伝わる冷気の影響を受けやすくなります。
とくにフローリングは体温を奪いやすく、寝ている間に体が冷え切ってしまう場合もあります。
シニア犬が寝る場所や過ごすスペースには、断熱性の高いマットを敷きましょう。
床からの冷気を遮断するおすすめのアイテムは以下のとおりです。
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アルミシートは、カーペットなどの敷物の下に敷くと、下からの冷気を遮断できます。
コルクマットや起毛ラグは底冷えを防ぐだけでなく、床の滑り止め対策にもなるため、足腰の負担軽減にもつながります。
暖房器具を活用して室温管理する
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シニア犬にとって快適な室温を保つために、暖房器具を適切に活用しましょう。
一般的に犬が快適な室温は20〜25度ですが、シニア犬は少し高めの室温がおすすめです。
愛犬の様子を見ながら、室温が22度以上になるように調整してみてください。
また、暖かい空気は天井付近に溜まるため、サーキュレーターなどを使用して空気を循環させる工夫も大切です。
さらに、加湿器も併用して湿度を40~60%に保つようにすると、乾燥による皮膚トラブルや呼吸器疾患などを予防できます。
まとめ|シニア犬の手足の冷たさは早期対策が大切
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シニア犬の手足の冷たさは、血行不良や病気などさまざまな原因があります。
「年齢のせいだから」と諦めず、日々の変化に目を向けてあげると、愛犬の健康を守るのにつながります。
手足の冷たさ以外に、いつもと違う様子が見られる場合は、迷わず獣医師に相談することが大切です。
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今回紹介した冷え対策を参考にして、愛犬と温かい毎日を過ごしましょう。
<参考文献>
※1:池田動物病院「【犬・猫の健康チェック】毎日できる!色・尿・呼吸でわかる体調サイン」


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