老犬におすすめのきのこ3選!それぞれの特徴や与えるときの注意点を解説

COLUMN

きのこは、日々の食卓でもなじみのある食材ですね。

そんなきのこを老犬の食事に取り入れてみたいと考えることもあるのではないでしょうか。

しかし、どんなきのこを選んだらいいのか、そもそも体の機能が衰える老犬にきのこを与えていいのかなど、気になることはたくさんあると思います。

結論から言うと、きのこはドッグフードに使用されていることもあり、老犬が食べても問題のない食材です。

しかし、調理方法や与え方を間違えば、老犬の負担になってしまうので注意してあげましょう。

そこでこの記事では、老犬におすすめのきのこや適量、与えるときの注意点を犬の管理栄養士が解説します。

老犬にきのこはおすすめ?上手に活用すれば健康維持に役立つ

きのこは、犬の健康をサポートしてくれる栄養素が豊富に含まれており、老犬にもおすすめの食材です。

老犬になると、排便がスムーズにいかなかったり、代謝や免疫機能の働きが低下したりとさまざまなトラブルを抱えやすくなりますが、そうしたトラブルのサポートにもきのこに含まれる栄養素が役立ちます。

スーパーなどで売られている一般的な食用きのこは、犬に有害な成分は含まれておらず、安心して与えることができますよ。

また、きのこは低カロリーなので、体重が気になる老犬でも取り入れやすいでしょう。

老犬におすすめのきのこ3選

スーパーなどで販売されている一般的な食用きのこは、基本的にどれも老犬が食べられますが、種類によって風味や食感、含まれる栄養素などが異なります。

老犬の好みや食べやすさなども考慮して選ぶとよいでしょう。

ここでは、特に老犬におすすめのきのこ3種類について、それぞれの特徴をご紹介します。

しいたけ|抗酸化をサポート

しいたけは、うま味成分のグルタミン酸を含み、特に乾燥させることでグアニル酸が増えるのが特徴です。独特の香りもあり、普段の食事に風味を加えたいときに役立ちます。

老犬になると、加齢によって嗅覚が衰え、食事への関心が薄れてしまうことも少なくありません。そのため、しいたけの香りやうま味を活かすことで、食欲を刺激するきっかけになるでしょう。

また、しいたけにはしいたけ特有の「エリタデニン」という成分が含まれています。

この成分は、血液中の悪玉コレステロールを減らして善玉コレステロールを増やす働きが期待でき、実際に2024年に発表された犬を対象とした研究では、しいたけ粉末を4週間与えたところ、血中の総コレステロール値が低下し、体内の活性酸素を除去する抗酸化酵素の活性が高まったことが報告されています。(※1)

酸化ストレスは加齢に伴うさまざまな健康問題にも関係するため、しいたけは健康維持の面からも注目されている食材です。

舞茸|免疫力をサポート

舞茸は、独特の香りと歯ごたえがあり、食物繊維を豊富に含むきのこです。特に注目したいのが、食物繊維の一種である「β-グルカン」です。

きのこの種類 β-グルカン含有量
(生100g当たり)
舞茸 1.8g
えのき 1.4g
ぶなしめじ 0.8g
生しいたけ 0.8g

β-グルカンは、体を病原体などから守る免疫細胞の働きを活発にする作用が期待できるため、加齢に伴って免疫機能にも変化が見られる老犬にとって、健康維持の面から注目したい成分といえるでしょう。

実際、2021年に発表された論文では、舞茸から抽出されたβ-グルカンなどの多糖類が、異物を取り込んで処理するマクロファージや、ウイルスに感染した細胞などを攻撃するNK細胞の働きを高めることが報告されています。(※2)

しめじ|肝臓や脂質代謝をサポート

しめじは、クセの少ない風味で、普段のごはんにも取り入れやすいでしょう。スーパーなどで一般的に販売されているぶなしめじには、アミノ酸の一種である「オルニチン」が豊富に含まれています。

きのこの種類 オルニチン含有量
(生100g当たり)
生しいたけ 106mg
ぶなしめじ 100mg
エリンギ 30mg
舞茸 17mg

オルニチンは、たんぱく質の代謝で生じる有害なアンモニアを、肝臓で尿素に変えて排出する仕組みに関わる成分です。

2016年に発表された犬を対象とした研究では、高アンモニア血症による肝性脳症を患う犬17頭にオルニチンを含む製剤を静脈投与したところ、15頭で血中アンモニア濃度の低下と臨床症状の改善が確認されました。(※3)

アンモニアが体内に過剰に蓄積すると、脳や神経の働きにも悪影響を及ぼすため、適切に処理することは老犬の健康維持にとっても重要です。

また、2015年に発表された研究では、肥満・糖尿病モデルマウスにぶなしめじの抽出物を投与したところ、脂肪の蓄積が減少し、炎症に関わる物質の発現も抑えられたことが報告されています。(※4)

もちろん、これらはオルニチンを含む製剤の投与やしめじの抽出物を投与した研究結果であり、しめじを食べれば同様の効果が得られると証明されたわけではありませんが、老犬の健康維持に必要な栄養素を補う食材のひとつとして活用できるでしょう。

老犬が1日に食べてもいいきのこの量

基本的に、老犬におやつやトッピングを与える場合は、その犬が1日に必要な摂取カロリーの10%程度が目安です。

しかし、きのこは低カロリーのため、カロリー計算だけではかなりの量を食べられることになってしまいます。

きのこは食物繊維が豊富なため、食べ過ぎると消化の負担になったり、下痢や軟便、便秘などを引き起こすこともあり、カロリーだけを基準にすることはできません。

そのため、老犬にきのこを与える場合は、カロリーだけでなく消化への負担も考慮し、少量にとどめることが大切です。

具体的な適量に明確な基準はありませんが、最初は1〜3欠片程度から試し、便の状態や体調を確認しながら調整しましょう。

老犬にきのこを与えるときの注意点

きのこは老犬の健康維持に役立つ食材ですが、与え方によっては体調を崩してしまうこともあります。

特に老犬は、体のさまざまな機能が衰えていくため、老犬ならではの配慮が必要です。

ここでは、老犬にきのこを与えるときの注意点を見ていきましょう。

野生のきのこは与えない

自生している野生のきのこは、老犬に絶対に与えないでください。

野生のきのこの中には犬にとって有毒な種類があり、食べてしまうと中毒を起こし、場合によっては命にかかわることもあります。

しっかり加熱する

老犬にきのこを与えるときは、生のままではなく、しっかり加熱してから与えましょう。

きのこは食物繊維が多く、生の状態では硬くて消化しにくいため、下痢や嘔吐などの消化器症状を引き起こす原因になります。

また、きのこは食中毒の原因になる細菌が付着していることもあり、十分な加熱が必要です。

茹でる、蒸す、煮るなどの方法で中心まで十分に火を通し、やわらかくしてから与えてください。

細かく刻む

きのこは、細かく刻んでから与えましょう。

きのこは繊維質で噛み切りにくいため、大きいまま与えると十分に噛み砕かずに飲み込んでしまい、喉に詰まらせたり、消化不良を起こしたりすることがあります。

包丁でみじん切りにするほか、必要に応じてペースト状にするなど、老犬が食べやすいように工夫することが大切です。

栄養制限を受けている場合は獣医師に確認する

病気の治療などで特定の栄養素の摂取を制限されている老犬は、きのこを与える前に獣医師に確認しましょう。

きのこにはカリウムやリンなどのミネラルが含まれており、食事療法の内容によっては摂取量に配慮が必要です。

まとめ

きのこには食物繊維やビタミン、ミネラルなどが含まれており、老犬の健康をサポートする食材として活用できます。

しいたけや舞茸、しめじなど、それぞれ異なる特徴があるため、愛犬の好みに合わせて選ぶといいでしょう。

正しい与え方を理解し、愛犬の食事に上手に取り入れてみてくださいね。

【参考文献】
※1:Frontiers in Veterinary Science「Shiitake mushroom powder supplementation increase antioxidative activity in dogs」
※2:Foods「Bioactive Ingredients and Medicinal Values of Grifola frondosa (Maitake)」
※3:Journal of Veterinary Science「Hyperammonemic hepatic encephalopathy management through L-ornithin-L-aspartate administration in dogs」
※4:Journal of Nutritional Science and Vitaminology「Influence of Treatment with Extracts of Hypsyzigus marmoreus Mushroom on Body Composition during Obesity Development in KK-Ay Mice」

たかだなつき(高田菜月)

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4匹の愛犬と暮らすペット専門ライター×ペットの専門家。長年人間の介護に携わっていたが、愛犬の介護をきっかけにペット専門ライターに転身。犬の飼育歴は20年以上...

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