老犬にぶどうは絶対NG!食べてはいけない理由や対処法を専門家が解説
秋の味覚として親しまれているぶどう。ポリフェノールなどを含み、人では健康によいイメージもあることから、「老犬にも良いのでは?」と思うことがあるかもしれません。
しかし、ぶどうは老犬に限らず、犬にとって危険な食べ物の1つです。
場合によっては命に関わることもあるため、絶対に与えないようにしてください。
この記事では、老犬がぶどうを食べてはいけない理由や、誤って食べてしまったときの対処法について犬の管理栄養士・愛玩動物救命士が解説します。
老犬がぶどうを絶対に食べてはいけない理由

ぶどうは人にとって身近な果物ですが、犬ではぶどう中毒を起こすことが知られています。
実際、ぶどうを食べて病気を発症した犬や亡くなってしまった犬もおり、世界中で問題が報告されています。
ここでは、犬にぶどうを与えてはいけない理由を、もう少し詳しく見ていきましょう。
ぶどう中毒は腎臓だけでなくさまざまな臓器に影響を及ぼす

犬がぶどうを食べると、腎臓の尿細管がダメージを受け、急性腎障害を起こすことがあります。
重症化すると尿の量が減ったり、まったく出なくなったりして、命に関わることもあるため注意が必要です。
また、ぶどう中毒の影響は腎臓だけとは限りません。
過去の報告では、肝酵素値の上昇や腸からの出血、脾臓の炎症など、ほかの臓器にも異常が見られています。
さらに、ぶどう中毒による急性腎障害から回復したあとも腎機能の低下が残り、継続的な治療が必要になるケースもあります。
中毒の原因は酒石酸が有力と考えられている

これまで、ぶどう中毒の原因は長いあいだ特定されていませんでしたが、現在ではぶどうに含まれる「酒石酸」が原因物質なのではないかと考えられています。
2022年には、酒石酸を多く含むタマリンド(フルーツ)やクリームオブターター(スパイス)を食べた犬でも、ぶどう中毒とよく似た急性腎障害が起こったことが報告されました。
ただし、現時点で酒石酸がぶどう中毒の原因であると完全に証明されたわけではありません。
老犬がぶどうを食べたときに見られる症状

ぶどう中毒では、食べてから5〜24時間以内に以下のような症状が見られます。
- 嘔吐
- 下痢
- 食欲不振
- 元気がなくなる
- 腹痛
- 脱水
- ふるえ
- 水をたくさん飲む
- 尿の量が減る
症状が出るまでの時間や程度には個体差がありますが、比較的早い段階で見られる症状が嘔吐です。
老犬がぶどうを食べてしまったときは、症状が出るのを待たずに適切に対応してください。
老犬がぶどうを食べてしまったときの対処法は?症状がなくても動物病院に連絡する
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老犬がぶどを食べてしまったら、冷静に対応することが大切です。
ぶどう中毒は、食べた直後には目立った変化が見られないこともあります。
しかし、時間が経ってから症状が現れたり、状態が悪化したりする可能性があるため、元気そうに見えても安心はできません。
食べた時間や量などを獣医師に伝える

老犬がぶどうを食べてしまったことに気づいたら、症状の有無にかかわらずできるだけ早く動物病院に連絡して、獣医師の指示を仰ぎましょう。
その際、いつ、どのくらいの量のぶどうを食べたのかを、わかる範囲で伝えてください。
ぶどうの種類や、生のぶどう・レーズンのどちらを食べたのかも重要な情報です。
また、愛犬の体重や現在の様子、持病、服用している薬なども伝えておくと、獣医師が判断しやすくなります。
急性腎不全になってしまった場合は1日で命を落とすこともあるため、自己判断しないことが大切です。
自己判断で吐かせない

ぶどうを食べたことに気づくと、「できるだけ早く吐かせたほうがいいのでは」と考えるのではないでしょうか。
しかし、飼い主さんが自己判断で吐かせるのは危険です。
インターネットなどで紹介されている塩やオキシドールを使う方法は、塩中毒や消化管へのダメージ、吐いたものを気管に吸い込む誤嚥など、別の問題を起こすことも少なくありません。
ぶどう中毒では、「自宅で吐かせる」という対応に時間を使うこと自体が、適切な処置の遅れにつながります。
すでに症状が現れている場合は、夜間や休日に関わらず、早急に動物病院を受診してください。
ぶどうは1粒なら大丈夫?1粒で中毒を起こす犬もいる

ぶどう中毒は個体差が大きく、たくさん食べても症状が出ない犬がいる一方で、1粒食べただけで中毒を起こす犬もいます。
さらに、どのくらいの量を食べると中毒を起こすのか、明確な基準がわかっていないことも、ぶどう中毒の怖いところです。
そのため、「1粒だけなら大丈夫」「少量だから様子を見よう」と自己判断するのは危険です。
ぶどうは量にかかわらず、絶対に老犬に与えないようにしましょう。
老犬にレーズンやシャインマスカットもNG!注意したいぶどう製品
ぶどうは、品種や加工方法が変わっても注意が必要です。シャインマスカットや巨峰などもぶどうの一種なので、老犬には与えないでください。
特に気をつけたいのが、レーズン(干しぶどう)です。レーズンは成分が凝縮されているため、生のぶどうよりもさらに少量で中毒症状を起こしやすいといえます。
レーズンはパンやシリアル、グラノーラ、焼き菓子などに入っていることもあるため、飼い主さんが意図せず老犬の口に入ってしまうこともあるので注意しましょう。
また、一部のドッグフードや犬用サプリメントでは、ぶどう由来の原料が使われているものもあります。
こうした加工原料は、ぶどうやレーズンをそのまま配合しているわけではなく、同じ中毒リスクがあるとは一概にいえませんが、心配な場合は避けたほうが安心でしょう。
まとめ

ぶどうは老犬に限らず、犬には与えてはいけない食べ物です。レーズンやシャインマスカットなども同様で、少量でも中毒を起こす可能性があります。
また、ぶどう中毒は症状の出方や重症度に個体差が大きく、「これくらいなら危険」という量もわかっていません。
愛犬が誤って食べてしまった場合は、症状がなくても自己判断で様子を見ず、すぐに動物病院へ連絡してください。
ぶどうを使った食品は犬の手が届かない場所に保管し、誤食を防ぐことも大切です。
老犬に穏やかな毎日を過ごしてもらうためにも、ぶどうは与えないようにしてくださいね。
【参考文献】
・日本小動物獣医学会誌:ブドウ接種後に急性腎不全を発症して死亡した犬の一例
・獣医師会会報:ぶどう中毒を発症した犬の考察
・NlH:Retrospective evaluation of the clinical course and outcome following grape or raisin ingestion in dogs (2005-2014): 139 cases
・JVECC:Acute kidney injury in dogs following ingestion of cream of tartar and tamarinds and the connection to tartaric acid as the proposed toxic principle in grapes and raisins
















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