老犬に人参はおすすめ!適量や与え方の注意点を犬の管理栄養士が解説
愛犬が老犬になると、これまで以上に「少しでも体にいいものを食べさせてあげたい」と思うのではないでしょうか。
人参は犬が食べても問題のない野菜ですが、実は老犬におすすめの野菜ということを知っていますか?
もちろん、老犬では与え方に注意が必要なこともありますが、上手に活用することで健康維持にも役立ちます。
そこでこの記事では、老犬に人参を与えるメリットや適量、与えるときの注意点について犬の管理栄養士が解説します。
老犬に人参を与える5つのメリット

人参は身近すぎてそのありがたみがわかりにくいですが、実は栄養面でもさまざまな魅力がある野菜です。
人参を好きな犬も多いため、老犬のおやつや食事にも取り入れやすいでしょう。
ここでは、老犬に人参を与えるメリットをご紹介します。
水分補給をサポート

人参は約90%が水分でできているため、老犬の水分補給をサポートする食材としても役立ちます。
老犬になると、加齢によって喉の渇きを感じにくくなったり、足腰の衰えによって水飲み場まで移動することを控えたりして、十分に水を飲めていないことも珍しくありません。
人参を食べることで少しでも水分を補えることは、自分から水を飲む量が少ない老犬の水分不足を防ぐためのサポートになるでしょう。
エイジングケアをサポート

人参に豊富に含まれるβ-カロテンは、老犬が抱えやすいさまざまな悩みのサポートが期待できます。
生の人参(皮つき)100gには6,900μgのβ-カロテンが含まれており、これはブロッコリーの約7.7倍、西洋かぼちゃの約2.8倍の量!
β-カロテンには、主に以下のような働きがあります。
- 抗酸化作用
…増えすぎた活性酸素による細胞へのダメージを抑え、酸化ストレスから体を守る働きが期待される - 免疫機能のサポート
…免疫細胞の働きを調節し、体の防御機能を支える可能性がある - 目・皮膚・粘膜の健康維持
…体内で必要に応じてビタミンAに変換され、視覚機能や皮膚・粘膜の正常な状態を保つ
特に老犬で注目したいのが、免疫機能への働きです。
海外の研究では、β-カロテンを補給した高齢犬で、加齢に伴って低下していたT細胞の増殖反応など、一部の免疫機能の指標が改善したことが報告されています。(※1)
また、抗酸化作用は、老犬の認知機能の健康維持という面でも役立ちます。
年を取ると、体内の抗酸化防御機構の働きが追いつかなくなり活性酸素が増えすぎてしまいますが、活性酸素は細胞にダメージを与え、認知症の一因となることも珍しくありません。
そのため、抗酸化成分は意識して摂取したい成分なのです。
実際に高齢犬を対象とした研究では、複数の抗酸化成分などを強化した食事を6か月間与えたところ、学習課題の成績が改善したことが報告されていますよ。(※2)
なお、β-カロテンは油と一緒に摂取することで吸収率が上がるため、少量の良質なオイルや普段のフードと一緒に与えるといいでしょう。
腸内環境や排便をサポート

老犬の腸内環境の健康やスムーズな排便をサポートするのに役立つのが、人参に含まれる食物繊維です。
老犬になると、運動量が減ったり腸の動きの低下などによって便秘になることも珍しくありません。
生の人参(皮つき)100gには2.8gの食物繊維(水溶性食物繊維が0.7g、不溶性食物繊維が2.1g)が含まれており、それぞれ異なる働きで腸の健康をサポートしてくれます。
- 水溶性食物繊維
… 善玉菌などのエサとなり、短鎖脂肪酸を産生することで腸内環境の健康維持をサポートする - 不溶性食物繊維
…便のかさを増やし、腸のぜん動運動を促すことでスムーズな排便をサポートする
特に短鎖脂肪酸は、大腸の細胞のエネルギー源となるほか、腸内環境を維持するうえでも重要な役割を担っています。
腸内環境は免疫機能とも密接に関係しているため、腸内環境を良好に保つことは、老犬の体を守る仕組みを支えるうえでも大切です。
体重管理をサポート

人参は100g当たり35kcal(生・皮つき)と低カロリーで、脂質も0.2gと少ないため、体重管理が必要な老犬にも与えやすいでしょう。
老犬になると、代謝や活動量の低下などにより、太りやすくなる犬もいます。
特に肥満は足腰への負担を増やし、関節などにも悪影響を及ぼすため、適正体重を維持することが大切です。
私も経験がありますが、愛犬のダイエットが必要なときに、食べる楽しみをできるだけ維持してあげたくて、おやつ選びですごく悩みました。
そんなときに、人参などの野菜をおやつにすることで、カロリーを抑えながら愛犬の喜ぶ顔をみることができましたよ。
人参はドッグフードのかさ増しなどにも利用できるため、たくさん食べたい老犬にもおすすめです。
食いつきをサポート

人参は甘みがあるため、食欲が落ちた老犬の食いつきをサポートする食材としてもおすすめです。
犬は自然な甘みを好む傾向にあり、人参が好きな犬も少なくありません。
老犬になると、加齢によって嗅覚や味覚が衰え、これまで食べていたフードに興味を示さなくなることもあるでしょう。
そんなときに、普段のごはんに人参を少量加えることで、食欲を刺激するきっかけになることもあります。
特に人参は、加熱するとより甘みを感じやすくなるため、茹でたり蒸したりしたものをトッピングに活用するといいでしょう。
老犬が1日に食べてもいい人参の量

基本的に、老犬に与えるおやつやトッピングの量は、その犬が1日に必要な摂取カロリーの10%以内が目安です。
しかし、人参は低カロリーのため、カロリー計算を基準にすることができません。
例えば、体重5kgの避妊・去勢済み老犬では、約80gもの人参が食べられることになります。
これは標準的な人参の2分の1本程度で、そんなに食べたらお腹がいっぱいになってご飯が食べられなくなってしまうでしょう。
また、人参は水分や食物繊維が豊富なため、食べすぎれば下痢や嘔吐を引き起こすこともあります。
そのため、以下の量を目安に、愛犬の体調や便の状態を見ながら調整してください。
| 大きさ | 1日の目安量 |
| 超小型犬(4kg未満) | 5~15g |
| 小型犬(体重4~10kg未満) | 15~30g |
| 中型犬(体重10~25kg未満) | 30~60g |
| 大型犬(体重25kg以上) | 60~90g |
老犬に人参を与えるときの注意点

人参は老犬にメリットのある野菜ですが、与えるときには配慮してあげたいこともたくさんあります。
ここでは、老犬に人参を与えるときの注意点を見ていきましょう。
食物アレルギーに注意する

もし、老犬に初めて人参を与える場合は、少量から試し、食べた後30分~48時間は食物アレルギーがないか様子を観察しましょう。
犬の食物アレルギーは、食べ物に含まれるたんぱく質などに免疫が過剰に反応することで起こります。
【犬の食物アレルギーの主な症状】
|
症状には個体差がありますが、こうした様子が見られたときは自己判断せずに獣医師に相談してください。
大きい塊のまま与えない

老犬に人参を与える際は、大きい塊のままではなく、食べやすい大きさにしてから与えましょう。
大きいままでは喉に詰まらせてしまったり、消化不良を起こすことがあります。
人参は生でも食べられますが、硬さがあるため、老犬ではすりおろしたり、ミキサーで細かくするなど消化に負担がかからないようにしてください。
人参の細胞壁が壊れることで、β-カロテンなどの栄養素も利用されやすくなりますよ。
また、加熱する場合も、薄くスライスする、細かく刻む、つぶす、ペースト状にするなどの配慮が必要です。
葉や皮を与えるときはよく洗う

人参の葉や皮は根の部分より栄養が多く含まれており、食べても問題のない部分ですが、人参の表面には土や汚れ、農薬、細菌などが付着していることもあるので丁寧に洗ってから使用してください。
体力が低下している老犬では、食中毒などによる体調悪化が大きな負担になることもあるため、食材の衛生管理にも十分配慮してあげましょう。
まとめ

人参はメリットがたくさんあり、老犬の毎日の食事に取り入れたい野菜のひとつです。
ただし、体にいいからといって与えすぎるのはNG!どんなものでも、与えすぎれば体の負担になります。
今回ご紹介した量や注意点を参考に、老犬の健康維持に上手に活用してくださいね。
また、獣医師から栄養制限の指示を受けている老犬では、かかりつけの獣医師に確認してから与えるようにしましょう。
【参考文献】
※1:J Vet Intern Med「Effects of age and dietary beta-carotene on immunological variables in dogs」
※2:Neurobiol Aging「Dietary enrichment counteracts age-associated cognitive dysfunction in canines」

















この記事へのコメントはありません。