老犬に栄養ドリンクを飲ませてもいい?人間用の危険性と手作りする方法

COLUMN

愛犬が老犬になり、元気がなくなってきたり、病気などで体力が低下していると、少しでも元気になってほしいと思いますよね。

そんなとき、人間が疲れたときに飲む栄養ドリンクを、愛犬にも飲ませてあげられないかと考えることもあるのではないでしょうか。

人間用の栄養ドリンクは、疲労回復や滋養強壮に効果が認められているものもたくさんあり、なんだか良さそうに感じるでしょう。

でも…ちょっと待って!人間用の栄養ドリンクを与えることで、老犬に悪影響を及ぼすこともあるため注意が必要です。

そこでこの記事では、老犬に人間用の栄養ドリンクを与えてはいけない理由や、誤って飲んでしまったときの対処法、栄養ドリンクを手作りする方法について犬の管理栄養士が解説します。

老犬に人間用の栄養ドリンクを飲ませるのは絶対にNG!

結論から言うと、老犬に人間用の栄養ドリンクを飲ませるのは絶対にNGです。

確かに栄養ドリンクによっては効果効能が認められているものもありますが、人間が飲むことを前提に作られており、成分や配合量が犬に適したものではありません。

それだけでなく、老犬の健康を損なう恐れがあるため、絶対に与えないようにしてください。

人間用の栄養ドリンクは犬に危険な成分が含まれている可能性がある

人間にとっては身近な栄養ドリンク。

なぜ老犬に与えてはいけないかをちゃんと理解するためには、栄養ドリンクについても知っておくことが大切です。

栄養ドリンクは疲労回復や栄養補給などを目的とした飲料

栄養ドリンクとは、主に疲労回復や栄養補給などを目的として販売されている飲料のことです。

一般的に、ビタミンB群やタウリン、カフェイン、生薬由来の成分などが配合されており、製品によって成分や期待できる効果は異なります。

また、栄養ドリンクには医薬品や医薬部外品として販売されているものがあり、認められた効能・効果を表示することができるのです。

よく似た飲み物に「エナジードリンク」がありますが、こちらは清涼飲料水に分類され、医薬品や医薬部外品のような効能・効果を表示することはできません。

栄養ドリンクに含まれる成分

人間用の栄養ドリンクには、製品によってさまざまな成分が配合されています。

主に含まれる成分とその働きは、以下のとおりです。

  • タウリン
    …体内のさまざまな組織に存在し、正常な生理機能の維持に関わる
  • ビタミンB群
    …糖質や脂質、たんぱく質のエネルギー代謝を助ける
  • カフェイン
    …中枢神経を刺激し、眠気を抑える作用がある
  • 生薬由来成分
    …滋養強壮などを目的に使用される
  • 糖類
    …甘味をつけるほか、エネルギー源にもなる
  • アルコール
    …添加物として含まれる

※製品によって配合の有無や配合量は異なります

一見すると、老犬に与えても問題ないように見えるかもしれません。確かに、タウリンやビタミンB群は犬の体内でも重要な働きをする成分です。

しかし、カフェインやアルコールは犬にとって有害な成分であり、与えるべきではないのです。

老犬が人間用の栄養ドリンクを飲むと起こり得ること

老犬が人間用の栄養ドリンクを飲むと、含まれる成分や摂取量によっては中毒を引き起こすことがあります。

犬は人間とは成分の代謝の仕組みが異なり、人間にとって問題のない量でも、犬には悪影響を及ぼすことも珍しくありません。

カフェイン中毒

犬は人間よりもカフェインの作用に敏感で、摂取量によっては中枢神経や心臓などに強い刺激が加わります。

犬の体内に入ったカフェインは主に肝臓で代謝され、尿から排泄されますが、すぐに体外へ排出されるわけではありません。

カフェイン中毒で見られる症状は、主に以下の通りです。

  • 落ち着きがなくなる、興奮する
  • 嘔吐や下痢
  • 呼吸が速くなる
  • 心拍数の増加や不整脈
  • 体の震え
  • けいれん

重症の場合は、意識障害などを起こし、命に関わることもあります。

とはいえ、カフェインは動物用医薬品にも使用されており、犬の治療に用いられることもあるものです。

しかし、それはあくまでも獣医師が犬の体重や健康状態などを考慮して使用するものであり、医薬品として使用されることと人間用の栄養ドリンクを与えることは別なので、混同しないようにしてください。

アルコール中毒

アルコールも、犬に中毒を引き起こすことがある成分の一つです。

犬もアルコールを主に肝臓で代謝しますが、人間とは代謝能力やアルコールに対する感受性が異なり、微量でも安全とは言えません。

アルコールには中枢神経の働きを抑制する作用があり、中毒を起こすと主に以下のような症状がみられます。

  • 嘔吐や下痢
  • ふらつき、歩行困難
  • 元気消失
  • 体温の低下
  • 呼吸が遅くなる、呼吸困難
  • 意識障害

重症の場合は、低血糖やけいれん、昏睡などを引き起こし、命に関わることもあります。

特に老犬では、肝臓の働きの低下などによってアルコールの代謝に影響が出る可能性もあるため、注意が必要です。

老犬が人間用の栄養ドリンクを飲んでしまったときの対処法

気をつけていても、老犬が誤って人間用の栄養ドリンクを飲んでしまうことがあるかもしれません。

誤った対応をすると状態を悪化させてしまうこともあるため、正しい対処法を知っておきましょう。

すぐに動物病院に相談する

老犬が人間用の栄養ドリンクを飲んでしまった場合は、症状が現れていなくても、すぐに動物病院に相談しましょう。

栄養ドリンクに含まれる成分によっては、飲んでから時間が経って症状が現れることもあるため、自己判断で様子を見ることはおすすめできません。

動物病院に連絡する際は、

「栄養ドリンクの商品名」「飲んだ時間」「飲んだ量」「現在の様子」

を伝えるとスムーズです。

また、けいれんや呼吸の異常、意識の低下の症状が現れている場合は緊急性が高いため、時間帯にかかわらず、すぐに動物病院を受診してください。

自己判断で対処しない

人間用の栄養ドリンクを飲んでしまったとき、水やミルクを飲ませて薄めれば、体への影響を抑えられるのではないかと考えるかもしれませんが、自己判断で対処しないようにしましょう。

何かを飲ませても、摂取した有害成分の量が減るわけではありません。無理に大量の水分を飲ませると、嘔吐や誤嚥につながることもあります。

また、自己判断で無理に吐かせることもやめてください。塩やオキシドールなどを使って吐かせようとすると、逆に老犬の健康に悪影響を及ぼします。

愛犬の状態を悪化させないためにも、自己判断で何かを飲ませたり、吐かせたりせず、動物病院に連絡して獣医師の指示を仰いでください。

犬用の栄養ドリンクはある?栄養ドリンクはないが栄養補助飲料はある

犬には、人間用のような栄養ドリンクはありません。

しかし、犬の栄養補給をサポートする飲料は市販されています。

こうした製品には、エネルギーや特定の栄養素を補うための「栄養補完食」のほか、犬に必要な栄養素をバランスよく摂取できる「総合栄養食」もあります。

老犬に栄養ドリンクを飲ませたいと思ったときは、こうした犬用の製品を活用しましょう。

老犬のために栄養ドリンクを手作りする方法

老犬のために栄養補給ができるドリンクを手作りしたい場合は、米麹を使った甘酒がおすすめです。

米麹甘酒はエネルギー源となるブドウ糖をはじめ、ビタミン類やアミノ酸類、ミネラル類などをバランスよく含み、「飲む点滴」とも呼ばれるほど!

特にブドウ糖は、体内で速やかに吸収されてエネルギー源として利用されるため、食が細くなった老犬の補助的なエネルギー補給にも役立つでしょう。

【材料】
・米麹(乾燥タイプ):100g
・水:200mL【作り方】
1.米麹を手でほぐし、耐熱容器に入れる。
2.約60℃に温めたお湯を加え、よく混ぜ合わせる。
3.発酵調理器やヨーグルトメーカーを使い、55~60℃で6~8時間ほど保温する。
4.保温中に1〜2回かき混ぜ、全体を均一にする。
5.甘味が出たら完成。人肌程度まで冷まし、必要に応じて水で薄めて与える。

甘酒というとお酒をイメージするかもしれませんが、米麹から作る甘酒には基本的にアルコールが含まれません。

そのため、老犬にも安心して与えることができます。(※市販の米麹甘酒を購入する際は、酒粕不使用・米麹のみのものを選ぶ)

ただし、米麹甘酒は砂糖を加えなくても糖分が含まれるため、与えすぎには注意しましょう。

また、獣医師から栄養制限を指示されている老犬は、事前にかかりつけの獣医師に与えてもいいか確認してください。

なお、栄養価が高いとはいえ、手作りの甘酒だけでは老犬に必要な栄養素を十分に補うことはできません。あくまでも栄養を補助するものとして活用しましょう。

まとめ

老犬に元気になってほしいからといって、人間用の栄養ドリンクを飲ませるのはやめましょう。

犬用には栄養ドリンクはありませんが、栄養補助飲料や液体タイプの総合栄養食があるほか、米麹甘酒を手作りして補助的な栄養補給に活用する方法もあります。

もちろん、いつも食べているフードと水をミキサーにかけ、液体状にしてもいいですよ。

ただし、老犬の元気がない原因はさまざまです。

気になることがあるときは、早めに獣医師に相談しましょう。

たかだなつき(高田菜月)

8,009 views

4匹の愛犬と暮らすペット専門ライター×ペットの専門家。長年人間の介護に携わっていたが、愛犬の介護をきっかけにペット専門ライターに転身。犬の飼育歴は20年以上...

プロフィール

ピックアップ記事

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。