老犬が嘔吐する原因とは?考えられる病気や受診の目安を獣医師が解説

COLUMN

愛犬が高齢になり、嘔吐する様子が増えてくると心配ですよね。

そんなとき、
「何かの病気にかかったのかな?」
「フードを変更した方がいいのかな?」
「動物病院を受診した方がいいのかな?」
といった疑問を感じてはいませんか?

犬は人よりも嘔吐しやすい動物ですが、実は、老犬の嘔吐は病気のサインであることも少なくありません。

特にシニア期に入ると、消化機能の低下や慢性的な疾患が増えるため、嘔吐の原因も多岐にわたることをご存じでしょうか?

本記事では、老犬が嘔吐する主な原因や受診の目安、自宅でできる対処法について、獣医師が分かりやすく解説します。

最後までお読みいただき、愛犬に嘔吐が見られた際の参考にしていただければ幸いです。

老犬が嘔吐する主な原因

老犬の嘔吐には、生理的なものから病気までさまざまな原因があります。

具体的には、

  • 長時間の空腹
  • 異物の誤食
  • 不適切な食事
  • 消化機能の低下
  • 内臓の病気

といったものが挙げられます。

特に、加齢により消化機能が衰えると、食べ物をうまく消化できず嘔吐することも少なくありません。

その場合はフードを変更したり、少量ずつ与えたりすることで嘔吐が改善することもあります。

老犬が嘔吐するタイミング

では、老犬が嘔吐する場合は、どのようなタイミングが多いのでしょうか?

嘔吐のタイミングは原因を推測する手がかりにもなります。

それぞれを詳しく見ていきましょう。

①空腹時の嘔吐

特に朝方や夕方など、ご飯前の空腹の時間帯に黄色い液体や白い泡を吐く場合があります。

これは、長時間の空腹によって胃が刺激されて起こります。

空腹時の嘔吐への対策としては、

  • 食事回数を増やす
  • 就寝前に少量のフードを与える
  • 腹持ちのよいフードに変更する

といった方法で、空腹時間を短くすることが一般的です。

②食後すぐの嘔吐

老犬では、フードを食べた直後に吐く場合があります。

その原因としては、

  • 食べすぎ
  • 早食い
  • 消化不良

などが挙げられます。

成犬の頃は問題がなかった食事量でも、年齢を重ねることで嘔吐が見られることも少なくありません。

また、老犬の場合は、食道や胃の病気が隠れていることもありますので、注意が必要です。

老犬が嘔吐したときに考えられる4つの病気

では、老犬が嘔吐した場合は、どのような病気が考えられるのでしょうか?

それぞれを詳しく見ていきましょう。

①胃腸炎

老犬では、さまざまな原因で胃や腸に炎症が起こり、一時的な嘔吐が見られることがあります。

具体的な原因としては、

  • 細菌感染
  • ウイルス感染
  • 不適切な食事や誤食
  • 環境変化のストレス

などが挙げられます。

軽症であれば自然に回復することもありますが、症状が続く場合は受診が必要です。

②慢性腎臓病(腎不全)

慢性腎臓病は老犬に多い病気の一つで、犬の三大死因の一つといわれています。

慢性腎臓病により腎機能が低下し体内に老廃物が溜まると、症状として嘔吐が見られることがあります。

そのほかの症状として、

  • よく水を飲む
  • おしっこの量が増える
  • 食欲がない
  • 体重が減る
  • 下痢を起こす
  • 痙攣が起きる

といった症状が見られることも少なくありません。

これらの症状が同時に見られる場合は、早急に動物病院を受診しましょう。

③腫瘍

老犬では、消化管や内臓の腫瘍から嘔吐が起こることも少なくありません。

腫瘍によって胃腸が刺激されたり、通過障害が起きたりすることで、嘔吐が起きることがあります。

老犬でよく見られる消化管の腫瘍には、

  • 消化管型リンパ腫
  • 腺癌
  • 肥満細胞腫
  • GIST

などが挙げられます。

これらの病気は、末期になるまで症状を示さないこともあり、健康診断で偶然診断されることも少なくありません。

④膵炎

膵炎とは、脂肪を消化する臓器である「膵臓」に炎症が起き、嘔吐を引き起こす病気です。

膵炎の主な原因としては、

  • 高脂肪の食事
  • 誤食や盗食
  • ホルモンの病気

などが挙げられます。

犬種としては、ミニチュアシュナウザーやヨークシャーテリアに多いといわれています。

膵炎は進行すると、血栓症や腹膜炎を引き起こし命に関わる病気であるため、早めの受診が重要です。

老犬が嘔吐したときの受診の目安

では、老犬が嘔吐した場合、どのようなタイミングで受診するべきなのでしょうか?

まず、空腹や早食いなど、病気以外の原因に心当たりがないか確認しましょう。

次に、愛犬の体調に関して、

  • 誤食した形跡がないか
  • 下痢はないか
  • ぐったりしていないか
  • どこか痛そうではないか
  • 呼吸が荒くないか
  • 粘膜の色が白っぽくなっていないか

といった点を確認しましょう。

これらの様子に当てはまる場合は、病気が原因で嘔吐をしている可能性が高まるため、早めに動物病院を受診することをおすすめします。

特に老犬では、脱水や体調の悪化が急激に進むことがあるため、注意が必要です。

老犬の嘔吐に対して自宅でできる4つの対処法

では、老犬が病気ではない原因で嘔吐をしている場合、どのようなケアができるのでしょうか?

それぞれを詳しく見ていきましょう。

①食事回数を増やす

もし、空腹時間が長くて嘔吐をしている場合は、食事回数を増やす対処を行いましょう。

1回の食事量を減らし、1日のトータル量を3〜4回に分けて与えます。

1回の食事でたくさんの量を食べられない老犬にもおすすめの方法です。

②消化しやすいフードに変更する

高齢になり消化機能が低下している場合は、シニア犬用や消化器ケア用のフードに切り替えることで、嘔吐が改善することがあります。

しかし、急に新しいフードに変更すると、胃や腸に負担をかけることが少なくありません。

1週間程度かけて、少量からゆっくり切り替えることが大切です。

また、ドライフードをふやかしたり、ウエットフードを使ったりした方が、より胃や腸への負担が少ないと言われています。

③早食いを防止する

嘔吐の原因が早食いである場合は、ゆっくりフードを食べさせる工夫をすることで、嘔吐が改善することがあります。

具体的な対策としては、

  • 早食い防止の食器を使用する
  • フードをふやかす
  • 少量ずつ与える

といった方法が一般的です。

特に硬いものが食べにくい老犬では、ふやかすことでより食べやすくなるメリットもあります。

④ストレスを減らす

老犬では、環境の変化や不安によるストレスが原因で、おなかの調子を崩すことがあります。

そのため、日頃から愛犬が落ち着いて過ごせる環境を作ってあげることが大切です。

特に老犬がストレスを感じやすい状況としては、

  • 新しいペットが増える
  • 家族構成が変化する
  • 引っ越しをする
  • ペットホテルに預けられる

といったことが挙げられます。

このような変化があった後は、老犬の体調に変化が無いかよく観察してあげましょう。

まとめ

老犬の嘔吐は、加齢による消化機能の低下だけでなく、腎臓病や腫瘍などの病気が関係していることも少なくありません。

特に、嘔吐以外の症状も見られる場合は注意が必要です。

老犬の場合は、軽い症状に見えても、その後急激に悪化するケースも少なくありません。

少しでも普段と違う様子が見られる場合は、自己判断せず早めに獣医師へ相談することが大切です。

また、嘔吐の回数やタイミングを記録しておくと、診察の際に原因の特定に役立つでしょう。

本記事を参考に、日頃の食事内容や生活環境を見直し、愛犬の体調の変化に気づいてあげることが、シニア期を支える大切なポイントになります。

浅川 雅清

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2016年日本大学生物資源科学部獣医学科卒。 同年よりペットショップ併設の動物病院にて勤務。 犬・猫・うさぎ・ハムスターの診察を中心に、ペットショップの生体...

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