老犬に離乳食を与えても大丈夫?注意点や選び方を犬の管理栄養士が解説

COLUMN

老犬になると、硬いフードを食べづらそうにしたり、食欲が落ちたりすることがありますね。

そのため、「離乳食のようなやわらかいものなら食べられるかも」と考えることもあるのではないでしょうか。

離乳食はやわらかく消化しやすいため、老犬の状態によっては取り入れることにメリットもあります。

しかし、本来は子犬向けに作られているため、注意が必要な老犬もいます。

そこでこの記事では、老犬に離乳食を与えてもいい場合や、注意点と選び方についてペットフーディストや犬の管理栄養士が解説します。

老犬に離乳食を与えても大丈夫!ただし人間の赤ちゃん用は控えよう

結論から言うと、老犬に犬用の離乳食を与えることは問題ありません。

離乳食はやわらかく消化しやすいことにくわえ、栄養価も高いので老犬の状態によっては食事の選択肢のひとつになるでしょう。

ただし、人間の赤ちゃん用離乳食は基本的にはおすすめできません。

犬の栄養基準に合わせて作られていないだけでなく、商品によっては犬が食べてはいけない食材が使用されていることもあります。

もちろん、栄養バランスよりも食べてもらうことだけを優先する場合では、原材料を確認したうえで人間の赤ちゃん用離乳食を一時的に使用することもありますが、基本的には犬用を選ぶことが大切です。

老犬に離乳食が役立つケース

老犬は離乳食を食べることができますが、離乳食は基本的に子犬用です。

離乳食は子犬の成長に必要な栄養バランスで作られており、栄養価がとても高いという特徴があります。

そのため、ただ硬いものが食べにくいというだけでは、肥満につながるおそれもあり、離乳食が適しているとは言い切れません。

ここでは、離乳食が役立つ老犬について見ておきましょう。

食欲が低下しているとき

食欲が低下している老犬では、離乳食のようなやわらかい食事が役立つことがあります。

老犬の食欲低下には、歯周病や口内炎などの口腔トラブル、嗅覚の衰え、消化機能の低下、病後の体力低下など、さまざまな原因が関係しています。

離乳食は嗜好性が高い傾向にあり、噛む負担も少ないため、食欲が低下している老犬が食べてくれることも珍しくありません

ただし、食欲低下が見られるときは病気が隠れていることもあるので、自己判断せずに早めに動物病院を受診することが大切です。

少量でしっかり栄養を摂りたいとき

一度に食べられる量が少ない老犬では、少量でも栄養を摂りやすい離乳食は与えやすいでしょう。

老犬になると、胃腸の動きが弱くなったり、消化液の分泌が変化したりして、食べ物を消化するのに時間がかかるようになります。

そのため、一度にたくさん食べると胃もたれや吐き戻しにつながり、結果として食べられる量が減ってしまうことも珍しくありません。

また、食べる姿勢を保つ筋力が落ちたり、食事に時間がかかって疲れやすくなったりすることも食事量が減る原因になります。

十分に栄養を摂れないと、エネルギーやタンパク質が不足して、体力や筋肉、免疫力などの低下につながりやすくなるため、少量でもしっかり栄養を摂れる食事を与えることが大切です。

シニア犬に子犬用フードをあげても大丈夫?OK条件と注意点【専門家解説】

病中や病後で消化負担を減らしたいとき

病中や病後の老犬では、離乳食のような消化しやすい食事を意識することが大切です。

体調を崩したあとや回復期などの体力が低下しているときは、胃腸の動きや消化吸収の働きが一時的に落ちていることも珍しくありません。

そのため、いつもの食事では消化に負担がかかってしまうこともあります。

消化に負担がかかって食べたものをうまく消化・吸収できないと、必要なエネルギーや栄養を体に取り込みにくくなります。

その結果、回復に必要な栄養を十分に確保しづらくなるため注意が必要です。

ただし、病気の種類によって適した食事は異なるため、病中や病後の食事内容は獣医師に相談しましょう。

【シニア犬】消化の良い食べ物5選|摂取したい栄養素と簡単手作りレシピ

老犬向け離乳食の選び方

老犬向けの離乳食を選ぶときは、食べやすさはもちろん、老犬の状態に合ったものを選ぶことが大切です。

また、離乳食だけでなく、介護食や流動食なども選択肢になりますよ!

ここでは、老犬向け離乳食を選ぶときに見ておきたいポイントを見ていきましょう。

形状やタイプから選ぶ

離乳食にはさまざまな形状があるため、愛犬が食べやすいものを選んであげましょう。

  • ウェットフードタイプ
    …やわらかいが具材の形が残っており、食べ応えがある
  • ペーストタイプ
    …なめらかな形状で、噛む力が落ちた老犬も食べやすい
  • リキッドタイプ
    …液状に近く、固形物が食べられない老犬でも口にしやすい
  • 粉末タイプ
    …水やぬるま湯で溶いて使う。水分量を調整しやすく愛犬の好みに合わせやすい
  • ふやかしを前提としたドライフードタイプ
    …ふやかしやすい粒に設計されている。ふやかす時間で硬さを調整しながら使える

老犬によって、食べやすい形状や好みは異なります。

ちなみに、ドライフードをふやかして、ミキサーにかけることで離乳食のようにすることもできますよ。

シニア犬のフードをふやかす理由とは?量・時間・注意点まで徹底解説

総合栄養食かを確認する

老犬に離乳食を主食として与える場合は、基本的には総合栄養食と表示されているものを選びましょう。

総合栄養食とは、そのフードと水だけで必要な栄養を摂れるように設計されているフードです。

離乳食や流動食は総合栄養食として作られているものが多いですが、介護食の中には、一般食や副食、栄養補完食として作られているものもあります。

一般食は、食欲が落ちたときのトッピングや補助として使うにはとても便利なものですが、それだけを主食として続けると栄養バランスが偏りやすくなるため注意が必要です。

老犬のフードの選び方については、以下の記事で詳しく解説しているのでチェックしてみてくださいね。

犬の管理栄養士解説|シニア犬用フードの選び方!健康寿命をサポートするポイントは?

老犬に離乳食を与えるときの注意点

離乳食は食べやすく便利な一方で、老犬の状態によっては注意しなければならないこともあります。

ここでは、気をつけておくべきポイントについて見ておきましょう。

形状が合わないと誤嚥のリスクがある

老犬では飲み込む力が低下しているため、食事の形状によっては誤嚥のリスクが高まります。

とくに水分が多くサラサラしたものは、飲み込むタイミングが合わず、むせたり気管に入ったりすることもあるので注意が必要です。

食事中にむせたり、咳き込む、口からこぼすなどの様子が見られる場合は食事の形状が合っていない可能性があるため、一度見直してみましょう。

一度にたくさん与えず少量ずつ回数を分けて与える

老犬に離乳食を与えるときは、一度にたくさん与えず、少量ずつ回数を分けて与えましょう。

離乳食はやわらかく食べやすいため、食欲が戻ったように見えると、つい多めに食べてもらいたくなることもあるかもしれません。

しかし、老犬は胃腸の働きが低下していることもあり、一度に多く食べると消化に負担がかかります。

そのため、老犬では1日の食事回数を3回以上にしてあげることが大切です。

シニア犬のご飯の回数は何回が最適?1日の食事量(グラム)と計算方法

 

愛犬に合った給餌量で与える

入力項目
kg
kcal

※計算結果は目安です。体型・活動量・持病の有無に合わせて調整してください。

計算結果

1日あたりのドッグフードの必要量

g

2回に分けた場合: g/回

3回に分けた場合: g/回

4回に分けた場合: g/回

1日あたりに必要なカロリー

kcal

上記に、愛犬の体重や状態、与えるフードの100gあたりのカロリーを入力すると、1日に必要な食事量が自動で算出されるので目安にしてください。

食事量は老犬の穏やかな毎日を支えるためにも重要なポイントです。

特に離乳食は栄養価が高く、与えすぎは肥満につながることもあります。

パッケージの記載通りの給餌量や目分量で与えるのではなく、適切な量を把握しておきましょう。

ただし、代謝の働きや活動量などは個体差があるため、上記で出た数字もあくまでも目安です。

老犬では1週間に1回は体重を測り、体重の増減に合わせて給餌量を5~10%の範囲内で調整してください。

シニア犬の1日のカロリーは?老犬の年齢・体重別の目安と活動係数を解説

持病がある場合は獣医師に相談する

持病がある老犬は、獣医師に相談してから離乳食を使用すると安心です。

老犬では、腎臓病や心臓病、膵炎や糖尿病などの病気を抱えていることも少なくありません。

病気の状態によっては栄養素の制限が必要になることもあるため、事前に獣医師に確認することが大切です。

まとめ

離乳食は、食欲が低下した老犬や、少量でしっかり栄養を摂りたい老犬にとって取り入れやすい食事です。

ただし、犬用離乳食は子犬向けに作られているため、老犬に与える場合は給餌量に注意しましょう。

また、人間の赤ちゃん用離乳食は基本的にはおすすめできませんが、どうしても食べないときに一時的に使う場合は、原材料をよく確認することが大切です。

離乳食だけにこだわらず、介護食や流動食も活用しながら、愛犬が無理なく必要な栄養を摂れる方法を探してあげましょう。

たかだなつき(高田菜月)

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4匹の愛犬と暮らすペット専門ライター×ペットの専門家。長年人間の介護に携わっていたが、愛犬の介護をきっかけにペット専門ライターに転身。犬の飼育歴は20年以上...

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