老犬に栗はおすすめ!メリットや適量、注意点を犬の管理栄養士が解説
秋の味覚として親しまれている栗。栗ご飯や焼き栗、栗を使ったスイーツなど、栗は美味しいですよね。
そんな栗を、老犬に食べさせてあげたいと思うこともあるのではないでしょうか。
実は、栗は老犬にもおすすめできる食材のひとつです。
ただし、与え方や与える量には注意が必要なこともあるため、老犬に栗を与えるための正しい知識を知っておきましょう。
この記事では、老犬に栗がおすすめの理由や適量、与えるときの注意点を犬の管理栄養士が解説します。
老犬は栗を食べても大丈夫!栗の主な栄養素

栗は、味付けをせずに加熱したものであれば、老犬も食べることができます。
栗は炭水化物をはじめ、食物繊維やビタミン、ミネラルなどさまざまな栄養素を含み、その栄養価の高さから「スーパーフード」と呼ばれることもあります。
さらに、犬が体内では作れず、食事から摂る必要がある10種類の必須アミノ酸をすべて含んでいるのも特徴です。
| 【犬の必須アミノ酸10種】 アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、バリン、ロイシン、メチオニン、スレオニン、リジン、トリプトファン、フェニルアラニン |
ゆでた日本栗100gあたりに含まれる主な栄養素は、以下の通りです。
- 炭水化物:36.7g
…体を動かすためのエネルギー源になる - 食物繊維:6.6g
…腸内環境や便通の健康維持に役立つ - カリウム:460mg
…神経や筋肉の働き、体内の水分バランスに関わる - ビタミンB1:0.17mg
…糖質からエネルギーをつくるのを助ける - ビタミンB6:0.26mg
…タンパク質やアミノ酸の代謝に関わる - ビタミンC:26mg
…抗酸化作用をもち、コラーゲンの生成にも関わる
ただし、栗だけで老犬に必要な栄養をすべて補えるわけではありません。
あくまで主食を基本に、トッピングやおやつとして取り入れましょう。
老犬に栗がおすすめな4つの理由

老犬にとって、栗を与えることにはさまざまなメリットがあります。
ここでは、老犬に栗がおすすめな理由を見ていきましょう。
少量でもエネルギーを補いやすい

ゆで栗は100gあたり152kcalあるため、少量でエネルギーを補いやすい食材です。
老犬になると、食欲が落ちたり、食べられる量が少なくなったりして、必要なエネルギーを十分に摂れないことも珍しくありません。
エネルギー不足が続くと、体重や筋肉量の低下につながることもあるため、少量でもエネルギーを摂りやすい栗は、食が細くなった老犬にも役立つ食材といえるでしょう。
自然な甘みがあり食事に取り入れやすい

栗は、自然な甘みがあるため、食欲が落ちてきた老犬にも取り入れやすい食材です。
栗は収穫後に低温で貯蔵すると、でんぷんの一部が糖に変わって甘みが増すことが知られています。
もともと犬は自然な甘みを好む傾向にあるため、老犬の食いつきも期待できるでしょう。
普段のフードにトッピングしたり、食べるきっかけづくりとして活用できますよ。
食物繊維で腸内環境や便通の健康維持に役立つ

ゆでた栗には100gあたり6.6gの食物繊維が含まれており、老犬の腸内環境や便通の健康維持にも役立ちます。
老犬になると、腹筋や後肢の筋力が低下して便を押し出しにくくなったり、水分摂取量が減ったりして、排便がスムーズにいかないことがあります。
また、加齢に伴って腸内細菌が減り、腸内環境が乱れていることも珍しくありません。
栗に含まれる食物繊維は、便のかさを増やして排便をサポートするほか、一部は腸内細菌のエサとなり、腸内環境の健康維持にも役立ちます。
抗酸化成分が酸化ストレス対策に役立つ

栗にはビタミンCやγ-トコフェロール、カロテノイドなどの抗酸化成分が含まれているため、酸化ストレスの影響を受けやすい老犬の健康をサポートしてくれるでしょう。
老犬になると、体に備わっている抗酸化防御の働きが低下し、活性酸素によるダメージを受けやすくなります。
活性酸素が増えすぎて抗酸化防御とのバランスが崩れた状態を「酸化ストレス」といい、長く続くと細胞や組織にダメージが蓄積します。
こうした酸化ストレスは、認知機能の低下をはじめ、心臓や腎臓などさまざまな臓器の老化や病気の発症・進行にも関わるため、老犬では意識して摂取したい成分です。
【自動計算機で簡単!】老犬が1日に食べられる栗の量
老犬に栗を与える場合は、愛犬が1日に必要なカロリーの10%程度(多くても20%以内)を目安に与えましょう。
以下に、愛犬の状態と栗のカロリー(ゆでた日本栗:152kcal/100g)を入力することで、1日に与えられる量の目安を確認できます。
体重
kg
状態
おやつ・トッピング100g/mlあたりのカロリー
kcal
1日あたりに必要なカロリー:
— kcal
おやつ・トッピングの許容量(10%):
— kcal
おやつ・トッピングの目安量:
— g / ml
上記を目安に、愛犬の体調や便の状態を見ながら調整してください。
なお、ほかにもおやつやトッピングを与えている場合は、それらも合わせて10%程度におさめましょう。
また、そのカロリー分の主食を減らすことも忘れないでくださいね。
老犬に栗を与えるときの注意点

栗は老犬にメリットの多い食べものですが、与えるときには注意してあげなければいけないこともたくさんあります。
特に老犬は成犬とは違って加齢によるさまざまな変化が起きているため、負担がかからないように配慮してあげましょう。
ここでは、老犬に栗を与えるときの注意点を解説します。
初めて与えるときは少量から試す

栗を初めて与える老犬には、ごく少量から試して体調に変化がないか確認しましょう。
栗に食物アレルギーがあった場合、食べてから30分~48時間のうちに皮膚の赤みやかゆみ、下痢などの症状が現れます。
【犬の食物アレルギーの主な症状】
- 皮膚の赤みやかゆみ
- 目の周りや口の周り、耳をかゆがる
- 足先や皮膚を執拗に舐めたりかじる
- 下痢や軟便
- 排便回数が増える
- 嘔吐
症状には個体差もありますが、愛犬に異変が見られたときは獣医師に相談しましょう。
生ではなく加熱した栗を与える

老犬に栗を与えるときは、生のままではなく、ゆでる・蒸すなどして十分に加熱してから与えましょう。
生の栗は硬く、でんぷんも消化されにくいため、胃腸に負担がかかってしまいます。
特に老犬では消化機能が低下しているので、加熱してから与えたほうが安心です。
鬼皮と渋皮は取り除く

老犬に栗を与えるときは、鬼皮と渋皮をどちらも取り除き、実の部分だけを与えましょう。
外側の鬼皮は非常に硬く、飲み込むと喉につまったり、消化管を傷つけるおそれがあります。
また、渋皮は果肉よりも消化しにくいうえ、タンニンを多く含む部分です。
タンニンは適量であれば健康維持に役立ちますが、多く摂ると体調不良につながるため、老犬では与えないほうがいいでしょう。
細かく刻む・つぶすなど食べやすくする

老犬に栗を与えるときは、細かく刻んだり、つぶしたりペースト状にするなどして、食べやすい形にしてあげましょう。
栗は加熱するとやわらかくなりますが、大きな塊のままでは喉に詰まらせるおそれがあり、とても危険です。
細かく刻んだりつぶすことは消化の負担にも配慮できるため、老犬では食べやすさだけでなく、胃腸への負担を減らすという面でもおすすめです。
甘露煮やモンブランなどの加工品は与えない

栗の甘露煮や栗きんとん、モンブラン、マロングラッセなど、栗の加工品は与えないようにしましょう。
人間用に作られているものは、糖分が多く使用されており、特に体重管理が必要な老犬では注意が必要です。
一方で、市販のむき栗や甘栗など、原材料が栗だけのものであれば、老犬に与えることができます。
実際に私もスーパーのレトルトむき栗をよく高齢の愛犬に与えていましたよ。
自分で調理するのが大変なときに、すぐに与えられるレトルトの栗は助かりますね。
持病がある老犬は事前に獣医師に確認する

持病がある老犬は、栗を食べさせてもいいか、事前にかかりつけの獣医師に相談しましょう。
栗にはさまざまな栄養素が含まれているため、病気の種類や状態によっては与えないほうがいい場合もあります。
特に獣医師の指示で療法食を食べている場合は、治療の妨げにならないよう、獣医師に確認することが大切です。
栗に似たトチノミは老犬に与えない

栗によく似た「トチノミ」は、栗とはまったく別の植物なので、老犬には与えないでください。
トチノミはサポニンなどの毒性をもつ成分が含まれており、人でも生食は危険とされています。
また、トチノキ属は犬に有毒で、食べると嘔吐や下痢、ふらつき、震え、けいれんなどを起こすことがあるため注意が必要です。
見分け方としては、栗は先端が尖っていますが、トチノミは尖りがなく丸みがありますよ。
まとめ

栗は、自然な甘みがあり、エネルギーや食物繊維、抗酸化成分なども補える老犬にメリットのある食材です。
ただし、与えるときは必ず加熱し、鬼皮と渋皮を取り除いて、食べやすい形にしてあげましょう。
また、栗はカロリーが高めなので、与えすぎには注意が必要です。
正しい与え方を知り、老犬の食事に上手に活用してくださいね。
【参考文献】
・文部科学省:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
・Bioscience of Microbiota, Food and Health:Transition of intestinal microbiota of dogs with age
・NIH:Understanding How Dogs Age: Longitudinal Analysis of Markers of Inflammation, Immune Function, and Oxidative Stress
・厚生労働省:セイヨウトチノキ(マロニエ)
・ASPCA:Buckeye
















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