老犬にスイカを与えても大丈夫?適量や与え方注意点を犬の管理栄養士が解説

COLUMN

夏の風物詩のスイカ。甘くみずみずしいスイカを愛犬に少しおすそわけしてあげたくなりますね。

スイカは犬が食べても問題なく、喜んで食べる犬も多い果物です。

とはいえ、年齢とともに体の状態が変化していく老犬に、成犬と同じように与えてもいいのか気になるのではないでしょうか。

基本的に老犬もスイカを食べることはできますが、与え方には老犬だからこその配慮が必要です。

そこでこの記事では、老犬にスイカを与えるときの適量や注意点を犬の管理栄養士が解説します。

老犬はスイカを食べても大丈夫!スイカの主な栄養素

冒頭でもお伝えしましたが、基本的には適量であれば老犬がスイカを食べても大丈夫です。

一見栄養がなさそうなスイカですが、スイカにはさまざまな栄養素が含まれています。

【スイカの主な栄養素】
100gあたり41kcal

  • 水分
    …体温調節や体内のさまざまな働きに欠かせない
  • カリウム
    …体内の水分バランスを整え、神経や筋肉の働きに関わる
  • β-カロテン
    …体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康維持に関わる
  • ビタミンC
    …抗酸化作用があり、コラーゲンの合成などに関わる
  • リコピン
    …強い抗酸化作用をもつカロテノイドの一種
  • シトルリン
    …血流を改善する働きが期待されるアミノ酸の一種

もちろん、スイカだけで老犬が必要な栄養を補えるわけではありませんが、おやつやトッピングとして与えるものにこうした成分が含まれているのは嬉しいですね。

老犬がスイカを食べるメリット3つ

スイカは自然な甘みがあり、好んで食べる犬も多い嗜好性の高い果物です。

そのため、食事への関心が薄れがちな老犬でも、スイカなら食べてもらいやすいでしょう。

また、スイカに含まれる栄養成分は、老犬の健康維持にも役立ちます。

水分補給に役立つ

スイカは約90%が水分なので、水をあまり飲まない老犬の水分補給に役立ちます。

老犬になると、加齢によって喉の渇きを感じにくくなったり、足腰の衰えや関節の痛みなどから水飲み場まで移動する回数が減ったりして、十分に水分を摂れていないことも珍しくありません。

水だけではなかなか飲んでくれない老犬でも、甘みのあるスイカなら喜んで口にすることもあるため、食べながら自然に水分を摂ってもらうことができるでしょう。

老犬の水分量の計算方法|上手く飲めないシニア犬に水を与える工夫と対策

抗酸化成分を補える

スイカには、リコピンやβ-カロテン、ビタミンCなどの抗酸化成分が含まれており、老犬の健康維持に役立つ成分を補うことができます。

■抗酸化成分とは?
体内で増えすぎた活性酸素を抑えたり、酸化によるダメージから細胞を守る働きがある物質

老犬では加齢に伴って体内の酸化ストレスが増加しやすく、細胞や組織への酸化ダメージが蓄積することが知られています。

こうしたダメージが蓄積すると、認知機能の低下をはじめ、がんや心臓病、腎臓病など、さまざまな病気の発症や進行にも関わるため、適度な抗酸化成分を取り入れることが大切です。

もちろん、スイカを食べるだけで病気を防げるわけではありませんが、老犬の健康維持を考えるうえで、抗酸化成分を含む食品を適量取り入れることには意味があるでしょう。

血圧・尿路・肥満などの健康サポートが期待できる

スイカには、利尿作用があるシトルリンやカリウムが含まれており、血圧や尿路の健康サポートが期待できます。

カリウムは余分なナトリウムの排出に関わり、シトルリンには血管を広げて血流を促す働きがあるため、血圧の調整にも役立つ成分です。

犬を対象とした研究では、スイカエキス飲料を3か月間与えたところ尿中に見られていた結晶が確認されなかったため、尿路結石を予防する可能性があると報告されています。

また、同じ研究ではスイカエキス飲料を飲んだ犬の血清レプチン濃度が低下したことから、肥満抑制への効果も期待されているため、ダイエット中のおやつとしても取り入れやすいでしょう。

■血清レプチン濃度とは?
レプチンは主に脂肪細胞から分泌され、食欲やエネルギー消費の調整に関わるホルモン。血清レプチン濃度は血液中のレプチン量を示し、犬では体脂肪が多いほど高くなる傾向がある

もちろん、研究に使用されたのはスイカそのものではありませんが、適量を取り入れることは老犬の健康維持をサポートする食品のひとつとして活用できるでしょう。

老犬が1日に食べていいスイカの量

老犬に与えるスイカは、1日に必要なカロリーの10%以内を目安にしてください。

以下に愛犬の体重と状態、スイカの100gあたりのカロリー「41kcal」を入力すると、自動で与える目安量が算出されます。

必要カロリー&おやつ・トッピング計算

体重

kg

状態

おやつ・トッピング100g/mlあたりのカロリー

kcal

1日あたりに必要なカロリー:
— kcal

おやつ・トッピングの許容量(10%):
— kcal

おやつ・トッピングの目安量:
— g / ml

ただし、これは主食以外すべてスイカを与えた場合の目安量の上限です。

スイカは水分が豊富なため、与えすぎると下痢や軟便の原因になることもあるので、便の状態を見ながら調整してください。

また、ほかにおやつを与えたりトッピングをする場合は、それらのカロリーも含めて10%程度になるように調整しましょう。

おやつやトッピングのカロリー分の主食の量を減らすことも忘れないでくださいね。

シニア犬の1日のカロリーは?老犬の年齢・体重別の目安と活動係数を解説

老犬にスイカを与えるときの注意点

スイカは老犬にとってメリットのある果物ですが、与え方を間違えれば負担になってしまうこともあります。

ここでは、老犬にスイカを与えるときの注意点を見ておきましょう。

初めて与えるときは少量から試す

初めてスイカを与えるときは、アレルギー反応が起こらないか確認するためにも、まずは少量から試しましょう。

スイカで食物アレルギーを起こすケースは多くはありませんが、どの食材でも体質によって合わない可能性はあります。

食べたあと30分~48時間の間に、皮膚の赤みやかゆみ、顔まわりの腫れ、嘔吐、下痢などが見られないか様子を見ることが大切です。

【犬の食物アレルギーの主な症状】

  • 皮膚の赤みやかゆみ
  • 目元や口元の腫れやかゆみ
  • 足先を執拗に舐めたり噛んだりしている
  • 下痢や軟便、嘔吐
  • 排便回数が増える

症状の現れ方には個体差がありますが、異変が見られたら自己判断せずに獣医師に相談してください。

冷たいものは与えない

老犬に与えるスイカは、冷たいスイカではなく、常温に戻したものを与えましょう。

冷たいものを一度に多く食べると、胃腸が刺激されて下痢や軟便につながることがあります。

特に老犬は胃腸の働きが低下していたり、お腹が敏感になっていたりすることもあるため注意が必要です。

種と皮は取り除く

老犬にスイカを与えるときは、種と皮を取り除き、果肉だけを与えましょう。

スイカの種や皮に犬に有害な物質は含まれていませんが、種や皮はとても硬く消化しにくいため、食べた量によっては嘔吐や下痢などの消化器症状につながることもあります。

また、スイカの皮部分を大きいまま丸のみしてしまえば、喉に詰まらせてしまったり胃や腸に詰まって閉塞(腸閉塞など)を引き起こしたりする恐れもあるため、与えないようにしてください。

食べやすい大きさにカットする

老犬にスイカを与えるときは、塊ではなく、細かく刻んだり薄くスライスしたりして与えましょう。

塊では喉に詰まらせてしまうこともあり、食べやすい形にしてあげると安心です。

また、老犬では、歯が少なくなっていたり噛む力が弱くなっていたりして、若いころのようにうまく噛めないことがあります。

特に食べにくそうな場合は、フォークでつぶしたり、すりおろしたりしてあげましょう。小さくすることは、消化の負担の軽減にも役立ちます。

持病がある老犬は事前に獣医師に相談する

腎臓病や糖尿病、心臓病などの持病がある老犬や、療法食を食べている犬は、スイカを与える前にかかりつけの獣医師に相談しましょう。

たとえば、スイカにはカリウムが含まれていますが、どの程度制限する必要があるかは、病気の種類だけでなく進行度や血液検査の数値、治療内容などによって異なります。

カリウムは、神経や筋肉の働き、体内の水分バランスなどに関わる大切な栄養素であり、病気だからといって一律に制限するものではありません。

「腎臓病だからカリウムはNG」「糖尿病だから果物はNG」と一律に判断するのではなく、今の愛犬の状態に合わせて判断することが大切です。

まとめ

スイカは老犬も食べることができ、水分補給や抗酸化成分の摂取など、健康維持に役立つメリットも期待できます。

甘みがあって食いつきも期待できるため、食事のトッピングとして適量を取り入れるのもおすすめです。

愛犬の状態に合わせて量や与え方を調整し、夏ならではのおやつとして無理なく楽しんでもらいましょう。

【参考文献】
・文部科学省:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
・ResearchGate:Effects of a Watermelon Extract Beverage on Canine Lipid Metabolism and Urine Crystals
・WSAVA:Feeding treats to your dog
・VCA:Hypokalemia (Low Potassium Levels) in Dogs

たかだなつき(高田菜月)

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4匹の愛犬と暮らすペット専門ライター×ペットの専門家。長年人間の介護に携わっていたが、愛犬の介護をきっかけにペット専門ライターに転身。犬の飼育歴は20年以上...

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